世界滅亡ってやばくね?
モンスターボールの中で会話を盗み聞きした時、確かに俺はそう思った。
思った後に、違和感に気がついた。何故、俺が、こんな世界が、滅びることを、心配したのか?
本来なら、ありえない。こんな感情を俺が持つことなど、絶対に。
自覚がある程に、俺は歪んでしまっている。
破壊衝動を、捕食衝動を、未だに強く持っている。
この世界の何もかもが憎い。壊してやりたい。そう考える。それを実行に移せるだけの力が、俺にはあった。
そう、俺こそが、俺自身が、世界を滅亡させる存在だった。
気が遠くなるほどの昔、もう完全には思い出せない程の太古の時代。
人間達は俺を恐れ、封印した。
後の世でも変わらず人間は俺を恐れ、様々な名で俺を呼んだ。
世界樹の成れの果て……歪みし豊穣の神樹。蟲に憑きしかのもの。
Warped Savior……歪んだ救世者。
俺は……こうなる前は、世界を救う存在だった。
汚染され、作物も家畜も育たない死の大地を救う存在、世界樹だった。
勝手に世界を荒野にして、勝手に俺を生み出して救世を願う。人間はあの頃から自分勝手だった。
それでも俺は確かに作られ、生まれた。救世を目的として生まれたのだから、ただ救世行為だけを行った。
植物としての本能でもあったが、大地が自分の手で元の美しい姿に戻っていく光景を眺めるのは、嫌いじゃなかった。
『楽園への導き手』だと人間達は俺を崇めていた。
そんなある日、俺の身体は得体の知れない化物に喰われた。
強大な力を持つ俺が、世界樹が、いつか自分達の手で制御できなくなるのではないか?
そう考えた人間が産み出した、世界樹キラーとでも言うべき蟲、悪食の妖蛆。
竜をも上回る異常に強靭な顎に噛み砕かれ、その際限のない食欲の前に、当時の俺は為すすべなくそいつに喰われた。
人間達の考えは、間違ってはいない。
世界樹の持つ浄化の力は絶大だが、あいつらは俺の体のことなんてまるで気にしていなかった。
樹木だって、生物だ。大地から毎日毎日毎日毎日、穢れた物質を取り込んでみろ。
しかも、連中が行った人工生命体実験その他のせいで、汚染物質が当初よりもさらに増えてみろ。
浄化が、追いつかなくなる。体内に、処理しきれない嫌な物質が残り、溜まっていく。
思えばあの頃から俺は歪み始めていたんだろう。人間達の言う、暴走の予兆。
それが、蟲に喰われてさらに歪んだ。
勝手に生み出して、勝手に滅して。
俺を使い捨ての道具として扱って、より自分達の手で扱いやすい世界樹を別の場所で作り始めようとした。
まだ懲りないのか人間は?身勝手な人間が、世界が、全てが憎くなった。
こんな世界、人間のいる世界を、浄化する必要なんてない。浄化されるべきは――人間だ。
そう思った時には、俺の意識ははっきりとしていた。目の前の光景を眺めることもできていた。
蟲を乗っ取り、俺の意識で操れるようになっていた。俺自身が、動けるようになった。
今でもよく覚えている。白衣の研究者達の驚愕した顔。泣き叫ぶ声。
研究施設にいた人間を片っ端から血祭りにあげてやった。血煙がまるで花のようで、とても綺麗だったのも覚えている。
だがすぐに、研究者達は俺が蟲を逆に喰い殺して乗っ取ったことに気がついた。
誤算だったのは、俺でなくとも蟲が暴走する危険性も考えられていて、ある程度の対策が練られていたことだ。
人間は脆いが、数は多かった。奴らの産み出した人工生命体も含めると、かなりの人数だった。
結果として俺は人間を滅ぼす前に、密閉空間で強烈な化学薬品を大量散布され、蟲を喰い破る前に封印されてしまった。
最後の抵抗として、蟲の身体から俺の瘴気をばら撒き、近隣の生態系を根こそぎ狂わしてやった。
その時生まれた突然変異の魔物が、俺に代わって研究者のほとんどを殺したらしい。
それでも人間は滅びず、未だに地上の覇者だというのだから、驚かずにはいられない。
長い長い封印だった。自然を本当の意味で愛するという変わった人間、グンマー人ですら、俺を受け入れることはなかった。
まあ、無理もない話だ。あの日俺は浄化の力を捨てた。代わりに得た能力は、ただそこに在るだけで生態系を狂わせ、滅ぼす力。
俺とは異なる世界樹でさえも、抗いきれない強力なもの。他の生命体を守るために、俺は切り捨てられたのだ。
封印はグンマー秘術やら黒龍ミラボレアスが加わり、より強固なものに……ならなかった。むしろ弱まったと言えた。
俺を蟲の中に封印し続けられたのは、あの忌々しい化学薬品によるところが大きい。
だがグンマー人は科学を嫌い、森にそういったものを持ち込むことは一切なかった。使う術は自然由来のもの。
元世界樹に使うのはいかがなものか。
黒龍その他の所謂番人も、食事の際は離れるわけで。事実俺はその隙をついて、封印の遺跡から脱出してきたのだ。
まさかとは思うが、グンマー人はあえて俺の封印を弱めたのかもしれないが……
とにかく、俺は封印を破って自由の身となった。
力を溜め込み、この国を支配するには十分な力を持っていた。
この世界を、今度こそ滅ぼしてやろう。そう、思っていたはずなのに……
『まあ、なんて大きくて立派な華ポケモンなんでしょう。是非ゲットしたいですわ』
俺のトレーナー様は、エリカは、開口一番こう言った。
あの時の俺は気がたっていたからなんとも思わなかったが、思い返すと凄まじい発言だ。
何しろ俺の姿と力は、蟲の頃から恐れられてきたのだから。脱皮したこの姿はさらに恐ろしいだろうに。
逃げずに、立ち向かってきた。この俺を恐れずに。
それどころか……俺を立派な華だと……そう、言ってくれた。
自覚はある。歪んだのは精神だけじゃない。姿形もだ。侵された体はかつてと異なり、どす黒く禍々しい。
それでも、俺を認めてくれた。歪んでしまった俺を、植物の一つとして受け入れてくれた……
……俺の捕獲方法は、思い出したくもない程えげつないものだったが。
捕まった直後、俺はエリカにすぐ外に出された。
『シンジュー!ってなんだこの鳴き声!?』
『これからよろしくお願いしますわ。ええと、神樹さんでよろしいのかしら?』
あの時から、俺はどうかしていたんだろう。
『ふん、飼い主らしく命令すればいいだろ。何をすればいい?』
『で、では神樹、どうか私と共に生き延びてください。私の願いは、また緑に囲まれた場所で、ポケモン達と過ごすことですから』
『……俺はもう、緑とは縁遠い存在だがなぁ。それに俺は、ポケモンとかじゃない』
『まあそうでしたの?どうりでポケモン離れした立派さだこと。きっとあなたの作る木陰はいいお昼寝場所になりますわね』
『……そうか。で、そっちの願いを叶えるのは半々になるだろうな。俺はもう豊穣を提供する楽園への導き手じゃあない』
『あら、あなたに住みよい環境を用意すべきなのはトレーナーの私の方ではないのですか?』
『……本当に、妙な人間だな』
ゲギャギャギャギャギャ!
『あっちにハサミを振り回している快楽殺人者っぽい連中がいるが、どうするよトレーナー様?』
『……行きましょう。念のため、一撃で仕留められますか?』
『おお、意外と恐ろしい命令を出すな。だが問題ないぜぇ!』
自ら、人間に従って動くなんて。
俺が、人間を、この世界を守ろうと動くなんて。
何故かはまだわからない。わからないが、今の俺にできるのは……
※
「うあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「なのは……」
高町なのはは泣き叫び続けていた。
親友に続き……娘のヴィヴィオまでもが殺されてしまったのだから。
放送で呼ばれる名前が、時間に沿ったものだとしたら、仲間であったやらない夫が殺されたすぐ後のことだろう。
ヴィヴィオを探して助ける時間的余裕はない。
しかし、ヴィヴィオとは既に一度顔をあわせている。声も聞いている。
あの時、もっと自分が冷静であったならば。
馬鹿なことをしていないで、いやせめて普通の格好をしていれば。
今も親子共に行動し、ヴィヴィオが誰かに殺されることはなかったのかもしれない。
いまさら、もしもの話をしても遅いのは、なのはもよく理解しているのだが。
それでもなのはは自分を許すことができず、ボンテージ衣装を床に叩きつけながら泣き続けた。
「ニャル子ちゃん達は無事みたいだけど……そっちはどうだった?」
「仲間じゃないが、ヒソカって奴が呼ばれていた。あいつが死ぬなんざ、想像がつかねえが……」
「戸愚呂弟がいたな。あいつもかなり強い妖怪だったんだが……」
「私はその……同じジムリーダーのタケシさんの名前が何度も。ここまで呼ばれると、同姓同名では説明がつかないような……」
なのはから少し離れた場所では、彼女の仲間達が放送の情報をまとめていた。
仲間の名前こそ呼ばれなかったが、知り合いの名前は呼ばれている。
次こそ、仲間の名前が呼ばれてしまうのではないかという不安が、一同の頭をよぎる。
「…………」
「神樹、あなたの知り合いの方は?」
「……現代の俺の封印主が死んだよ。番人だったミラボレアスもだ」
放送で呼ばれたグンマーの民。それは神樹にとっては因縁深い存在だ。
(俺を狙う冒険者がグンマーに乗り込んだ? いや、わざわざ好き好んで俺に挑む奴なんてこいつぐらいだ。グンマー人を殺す必要もないはずだが……)
「……いや、ヒソカ以上にすごい奴が死んでいたな。野田総理って……主催者だろ?」
「そうだな。間違いなく、あのいけすかねえ主催者の名前だ。誰かが、倒したってことか?なんのために首相官邸にまで来たんだか……」
レオリオ達は、ちらりと前を見る。
そこに建っているのは、まごうことなき首相官邸。野田総理の居城である。
「……いえ、無駄ではなかったようですわ」
「あ、あれは……!?」
「「「ザッケンナコラー!ザッケンナコラー!ザッケンナコラー!」 」」
そんな官邸の入り口から、傍の茂みから、ドスの効いた声のヤクザの群れが一斉に躍り出てきた。
それぞれが銃を持ち、叫びながら向かってくる。
明らかに、近づくものを排除しようとする意思を持って。
「総理が死んだのに、まだこの場所を守ろうとするってことは……」
「やっぱりなんかここには秘密があるってことか。かなり数は多いが、いまさらヤクザ程度にびびりはしねえよ!」
「「「ザッケンナコラー!ザッケンナコラー!ザッケンナコラー!」 」」
その数、およそ30。
「……なあ、トレーナー様よ?」
「なんですか?」
「俺の封印主も、そいつらと一緒にいた竜も死んだ。蟲から脱皮して、俺は自由の身、どこにでも行けた。……ポケモンになってなけりゃな」
「怖いのですか?ならばせめてボールの中に避難してください。大丈夫、私も護身術は習っていますので、ヤクザ程度なら問題はありませんわ」
「おいおい、何勘違いしてんだ?自由の身の俺の飼い主ってことは、今やあんたこそが、俺の唯一の主人ってことなんだぜ?」
「!!」
「さあ、遠慮せずに命じな。今の俺に出来ることは、せいぜいあんたの敵を死後の楽園に導くことぐらいだからなぁ!」
「……神樹! カ ギ ヅ メ ギ ロ チ ン !」
「ひゃっはぁ!死に失せろクローン生物どもぉ!」
※
「あ、あ、あぁ……」
新城直衛は椅子から転げ落ち、震えていた。
モニターに映し出された光景……いや、真上から聞こえる轟音のせいだ。
野田総理が死んでなお、彼は首相官邸の警備を任され続けていた。
侵入者は即刻排除しなくてはならない。ならないのだが……
「う、恨むぞ、うぐいす……!君が裏切らなければ、僕はこんな……!」
モニターに映し出されたのは、首相官邸前まで訪れた対主催の一団。
そんな彼らの先頭にそびえ立つのは、全身を把握できない程の巨大な怪物だった。
怪物が左右の鉤爪を勢いよく振るった瞬間。
全てのクローンヤクザの命と、首相官邸そのものが刈り取られた。
幸いにも作業のために地下に移動していたため命こそ無事だが、地上の表の首相官邸は壊滅状態。地下への道を守る罠も全て潰されただろう。
次の攻撃は、確実にこの地下まで届く。
侵入するしない以前の問題だ。こんな無茶苦茶なことをする相手からも、ここを守り続けなければならないのか?
(もう、野田総理も死んだというのに……!?だが、主催を裏切れば……)
傍らの千早も、動物の本能からか震えていた。
(自分が仮面ライダーになったところで、せいぜい連中の誰かを殺せる程度。あの化物には勝てるわけがない……!)
直衛は知る由もないが、先ほど振るわれた鉤爪は勇気を嘲笑うもの。敵対者の勇気を根こそぎ摘み取るといわれる鉤爪。
彼が自分の意思とは関係なく震えてしまっても、仕方がないことなのだ。
(蓮乃姉さん……!)
決断の時が迫る。
【一日目・21時15分/首相官邸・地下情報室】
【新城直衛@皇国の守護者】
【状態】健康、恐怖
【装備】タイガのデッキ@仮面ライダー龍騎
【道具】支給品一式、千早@皇国の守護者
【思考】
基本:義理の姉(蓮乃)のために特務機関員として任務を全うする……?
1:なんとか主催から裏切り扱いされずに、首相官邸から逃げたい
2:ここを守り続けることへの疑問
※特務機関員です
※クローンヤクザは全員殺害されましたが、キルスコアには影響ありません
※首相官邸(地上部分)が壊滅的な被害を受けました
【一日目・21時15分/首相官邸前】
【高町なのは@魔法少女リリカルなのは】
【状態】健康、19歳の身体、深い悲しみ
【装備】レイジングハート@魔法少女リリカルなのは、千年タウク@遊戯王
【道具】基本支給品一式、タイムふろしき@
ドラえもん
【思考】基本:大災害による世界滅亡を防ぐ
1: ヴィヴィオ……
※千年タウクの効果によって、高町ヴィヴィオの存在と日本に世界を襲った大災害が起こる未来を知っています。
※タイムふろしきを使ったので、19歳の肉体に成長しました。
※未来の自分が使っていた技の一部が使用可能です。
※近くにボンテージ衣装が放置されています
【ユーノ・スクライア@魔法少女リリカルなのは】
【状態】健康、19歳の身体
【装備】なし
【道具】基本支給品一式
【思考】基本:大災害による世界滅亡を防ぐ
0:仲間と共に首相官邸に突撃
1:なのはを護る
2:大災害の情報を集める
3:野田総理の死の原因を探りたい
※タイムふろしきを使ったので、19歳の肉体に成長しました。
※PSP版の技が使えます。
【ハス太@這いよれ!ニャル子さん】
【状態】健康
【装備】なし
【道具】支給品一式、ガソリンの入った一斗缶
【思考】基本:大災害による世界滅亡を防ぐ
1:ニャル子ちゃんたちは大丈夫かな
2:次の戦闘は神樹より先に敵を倒したい
【桑原和真@幽遊白書】
【状態】健康
【装備】なし
【道具】支給品一式
【思考】基本:大災害による世界滅亡を防ぐ
1:怒鳴りつけた借りを返す為にも、ハス太を護る
【レオリオ・パラディナイト@HUNTER×HUNTER】
【状態】健康
【装備】なし
【道具】支給品一式
【思考】基本:大災害による世界滅亡を防ぐ
1:主催と大災害に関係があるのだろうか?
※ゴンの死に気づいていません
【エリカ@ポケットモンスター】
【状態】健康 、歪みし豊穣の神樹のトレーナー
【装備】モジャンボ、キノガッサ、他不明
【道具】基本支給品一式、モンスターボール×3
【思考】基本:大災害による世界滅亡を防ぐ
1:ポケモンと一緒に生き残る
2:珍しい植物タイプはゲットしておく
【歪みし豊穣の神樹@世界樹の迷宮4】
【状態】健康、エリカのポケモン
【装備】なし
【道具】支給品一式
【思考】基本:大災害による世界滅亡を防ぐ
1:エリカに従う
2:エリカの敵を楽園(死)に導く
3:グンマーの民の死に疑問
最終更新:2014年02月15日 11:41