アットウィキロゴ
――誰かの声が聞こえた気がする

――助けてくれという、強い祈り、切なる願い



「―――――にしゃぁ」



『ソレ』はゆっくりと、口らしきものを動かし、僅かにその眼を開いた。
『ソレ』は何故自分が生まれ、このような場所にいるのかを理解していなかった。
『ソレ』は人間にとっての救世主であり、人間にとっての大災厄であった。
『ソレ』は明確な自我を持たない。ただ延々と、人間の願いを叶えるためだけに生き続けてきた。

――穢れた大地を、空気を浄化してくれ

『ソレ』は願いを叶えるために尽力した。
だが、人間の負の遺産は『ソレ』にも背負いきれるものではなかった。
汚染物資を幾千幾万もの歳月をかけ浄化し続けたが、やがて身体に異変が現れた。
分解しきれない汚染物質の残骸に蝕まれ、いつの間にか思考も変わっていく。

浄化のために必要な自分は、世界樹は滅びるわけにはいかない。
この森を守る為に、何人たりとも勝てぬ強靭な生命体にならなければならない。

「――にしゃあああああ」

『ソレ』は、フォレスト・セルは再び奇妙な鳴き声をあげる。
眠たげなその眼は、しかし時折まばたきをして覚醒はしていることがわかる。

「――――にしゃっ?」

自分を呼んだのは誰だろうか。
しかしフォレスト・セルにとって、誰が自分を呼ぼうが関係はない。
目覚めて、空腹なのであれば――まずは食事だ。

「にっしゃぁぁぁ、にっしゃぁぁぁ!」

勿論、朝の運動を済ませてから。
まずは万歳するように腕をあげて、大きく深呼吸。


その瞬間、大地が震えた。


二日目・4時30分/日本・東京都庁地下】

【フォレスト・セル@新・世界樹の迷宮】
【状態】健康、空腹
【装備】不明
【道具】不明
【思考】固定思考:樹海を守る為により強き生命体になる
0:にしゃあ!
1:にしゃ……?
※現時点では、あらゆる生物を餌としてしか認識できません
※午前6時過ぎから活動を開始するようです
※体質により、テラカオス化ナノマシンも浄化、その影響も受けません
※関東全域に地震が発生しましたが、大きな被害はでないようです
最終更新:2014年07月13日 17:07