東の空から、ようやく朝日が昇り始めた。俺は肉の入ったビニール袋を抱えて、山中で見つけたとある廃屋に戻る。
「おい、食い物を探してきてやったぞ」
俺は廃屋の中に置いた生首に声をかける。生首は答えない。俺の目を見ようともせずにむくれている。
まあ、俺が悪いといえば悪いのだろう。
だが、こんなことを言うのもイヤだが所詮二次元キャラは二次元キャラだ。
実在の人物ではないのだから、俺はその人格を尊重する気持ちは無い。
さっきのアレは、エロ同人やエロゲーで抜くのと同じような行為だ。少なくとも俺はそう思う。
そうだ、むしろ俺は被害者だ。初体験が二次元キャラなど末代までの恥ではないか。
俺の始めては妹と決めていたのに!!
第一俺の嫁はみなみだしな。かがみなどどうでもいい。
「首だけで腹が減るのかどうかは知らんが、一応お前の分もあるんだぜ。気が向いたら食べてくれ」
俺の食料も含まれていた初期支給品は最初の最初で無くしてしまった。
なので俺は食料を調達するために遠くのコンビニまで足を伸ばさないといけなかった。
俺はビニール袋に入れて持ってきた焼肉を、かっぱらってきたペットボトルの水と一緒に胃に流し込んだ。
ちなみにこの焼肉は俺が焼いたわけではない。コンビニの中に、何故かホットプレートで焼きかけのまま放置されていたのだ。
肉を齧りながら(何の肉かわからないが、奇妙な味がした)横目でかがみを見ると、俺のほうをだいぶ殺意の篭った目で見ていた。
やはり先ほどのあの行為を怒っているのだろう。
あるいはその後、精液を川の水で落とそうとしたらうっかり手が滑って溺死させかけたことを怒っているのかもしれない。
あるいはまた、その後ここに来るまでにドブに三回水洗トイレに二回肥溜めに一回落としたことを怒っているのかもしれない。
あるいはさっき(以下略
(それにしても、今の俺ってかなり最悪な状況なんじゃないか?)
頼みの綱だった電ノコも無くしてしまった。さらに俺の誤解を解いてもらう予定だったかがみはさっきから口も聞いてくれない。
ほとんど自分のせいとはいえ、こんな誤解フラグに囲まれた状況下では手痛い誤算だった。
せめてかがみの信頼を取り戻すか……それが無理なら、どっかに捨てるしかない。
生首所持のせいでマーダーだと誤解されるのはもう沢山だ。
「……ねえ」
だが武器も無い今、強力な武器として使えるかがみの首を手放すのも惜しい。
「ねえってば」
そもそも俺はもともと主催を倒すために頑張っていたはず。なのにどうしてこんな目に遭う?どうして――
「ちょっと、人が呼んでるんだから返事くらいしなさいよ!!」
その時やっと、俺はかがみの声に気がついた。
「なんであんた一人で食べてるのよ。こっちは自分じゃ食べられないんだからね!!」
俺は手足のないかがみのために、焼肉を箸で直接口に運んでやった(正直に言ってエグイ)。
「これって何の肉? 美味しいけど変わった味だわ」
「さあな。コンビニで誰かが焼肉パーティーをしてたんでパクってきた。それよりさあ」
「何?」
「お前の食事風景見てたら俺の食欲がなくなるから、あっち向いててくれね?」
俺は焼肉を食べながら、かがみに今までの経緯を説明した。
隠し事をしても仕方ないので、何人かに誤解フラグを立てたことやさっき男を殺そうとしたが返り討ちにあったことも正直に話した。
その間、何回も「はあ?」とか「バカじゃないの?」とか「何でそんなことしたのよ!!」などと叱責された。
こういうキャラだとはわかっているが、だんだんムカついてくる。
そして俺の話を聞き終わったあとの
「あんたねえ、そんな考えなしな行動ばっかとってるから人に誤解されるのよ。
今後は絶対に人を殺そうなんて考えないことね」
その一言で、俺の張り詰めていた感情は容易に爆発した。
俺はかがみの首を思いっきり蹴っ飛ばしていた。
「てめえ……アニメキャラの分際で何俺に指図してやがんだ? 誰のせいで生き返れたと思ってんだ、このガチレズツインテールが!!」
転がったかがみの首を追いかけ、更に蹴り上げる。首はボールのように、廃屋の壁や天井にぶつかって跳ね回る。
最後にかがみは口から血を流しながら俺の前に転がってきた。気絶したようだ。
(殺すか)
そうだこいつだって二次元キャラだ。それにそもそもなんで俺にこんなに誤解フラグが立っている?
ほとんどこいつのせいじゃないのか?
そうだ、そうに決まってる。こいつはもういらない。ここで誰にも見られないうちに殺す。
そう思って、かがみの頭を一思いに踏み潰そうと足を上げた時、俺の目にそれが飛び込んできた。
かがみの食べかけの焼肉だった。
「あれ……私は確か……」
気がついたときには、顔中に絆創膏や湿布を張られていた。「しないほうがマシ」なくらいの不器用な治療だったが。
そして、目の前にあの男が背を向けて座っていた。
「その……蹴っ飛ばして悪かったな。誤解フラグのこととかでさ、ちょっとムシャクシャしてやったんだ。今は反省している」
かがみの位置からは男の顔は見えなかったが、声の調子からどうやら本当に反省しているらしいことはわかった。
「ったく、アンタ謝れば何でも済むと思ってない?」
「……悪い」
もちろん許せるわけでは無い。しかし命を救われた借りがある上に、こっちは自分ひとりでは移動できないのだ。
あまり強くは出られない。
一方の◆6/WWxs9O1sも、これ以上争っても仕方が無いので多少の暴言は許容することにした。
何しろいくらムカつく奴でも、今の彼には他に誰も味方がいないのだ。
それに誤解フラグを解いてもらったり、さっき
みたいな時には処理に使ったりとまだまだ使い道はある。
(そうだ、所詮二次元キャラなら利用できるだけしてやればいいんだ。それでいい。いい、はずだ……)
まるで自分に言い聞かせるように彼は心中で呟いた。
(俺はあくまでも自分のために行動する。情けをかけたわけじゃない……)
「まあとにかくだ、これから俺は何とかこの殺し合いの主催者を倒す方法を見つけるつもりだ。お前はどうする?」
◆6/WWxs9O1sはかがみに背を向けたまま尋ねる。
「そうねえ、私もあんたのその考えにだけは賛成だわ。それにどっちみち私は一人じゃ歩けない体だし、
何よりあんたにはあとでたっぷり責任取らせてやらないと気がすまないから」
「じゃあ決まりだな」
◆6/WWxs9O1sはかがみのツインテールの一房を握って立ち上がった。
「一つ確認しておく」
廃屋の戸を開けながら◆6/WWxs9O1sは呟く。
「俺はお前の言いなりにはならない。殺すべき奴は殺す。お前のような二次元キャラならなおさらな」
「……わかったわよ」
説得できるようなまともな頭の奴じゃないということはわかったので、かがみは大人しく妥協した。
(こなたやつかさも死んだらしいってことは、まあ、言わないほうがいいんだろうな)
彼は何故か、そんな配慮をアニメキャラに対して取った。
「あちゃー、やられましたよ柊さん。私たちが寝てる間に残ってた焼肉を盗まれました」
ノリスケは、目の前の『惨状』を見てがっくりと膝をついた。そこにはからっぽになったホットプレートが残るばかりだ。
「まあいいじゃないですか波野さん。もう私たちはお腹いっぱい食べましたし、ここには他に食べるものもありますし」
「はーあ、ついて無いよー」
あれだけ鱈腹食べておきながら(実際焼肉のほとんどはノリスケが食べた)、この意地汚さ。ただおは苦笑した。
そう、彼らは寝過ごしてさっきの放送を聞いていなかった。
よって、ただおは自分の娘たちが死んだことをしらない。もちろん、自分の娘の一人が変わり果てた姿で傍にいることも知らない。
自分の娘の一部が自分の腹に収まったことも知らない。
まあ、それが良いことかどうかはわからないが――
【一日目・朝/東京都を走るどこかの線路沿いの山】
【◆6/WWxs9O1s氏@現実】
[状態]:健康
[装備]:
柊かがみの頭部
[道具]:ふっかつそう@ポケットモンスター×1個
[思考]
1:とにかく自分だけは生き残る
2:かがみと行動を共にし、利用できるだけ利用する
3:自分から現実の人殺しはしない/二次元キャラは妥協気味
4:誤解する奴には口封じも辞さない(二次元キャラ優先)
5:出来れば主催を倒す
※大臣の取引には乗ったふりをしていますが、実際に手を貸すつもりはありません。
【柊かがみの頭部@らき☆すた】
[状態]:首から下無し
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]
1:◆6/WWxs9O1s氏と行動を共にする
2:自分の胴体と友人、家族を探したい
3:出来れば主催を倒す
※
第一回放送を聞いていません
【波野ノリスケ@
サザエさん】
状態:焼肉が無くなったショックで呆然
装備:なし
所持品:支給品一式、ホットプレート
思考:
1:まずは家族を探し出す
2:出来れば主催を倒したい
※第一回放送を聞いていません
【柊ただお@らき☆すた】
[状態]:健康
[武装]:不明
[所持品]:支給品一式
[思考]:
1・娘たちを探し出す
※第一回放送を聞いていません
【柊かがみ@らき☆すた(胴体部分) 完食】
(◆6/WWxs9O1s氏、柊かがみの頭部、波野ノリスケ、柊ただお)
最終更新:2007年11月27日 08:53