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轟音をあげて、炎が猛り狂う。
美しい緑豊かな風景は既に失われ、さながら世紀末の世界のようだ。
焼け焦げ荒れ果てた大地からは、即座に世界樹の力により新たな草花が生えだそうとしてくる。

「メギドラオンッ!」

だが、神炎は新たな生命の誕生を許さない。
いかに世界樹の自然再生能力といえど、怒涛の波で押し寄せる神炎の侵略速度には追いつくことができない。

「メギドラオンッ!」

しかし徹底して焼き払われているのは自然ではなく、護衛者の方であった。
力を行使する黒衣の青年は容赦無くメギドラオンを唱え続ける。
燃え盛る炎の中心部で、あれだけの耐久力を誇った世界樹の護衛者が地に伏せていて尚。

「メギドラオンッ……メタトロン!」

魔力が尽きる。
しかし瞬時に護衛の大天使メタトロンが己の血を飲ませて主人達の魔力を回復させる。

「ふぅ……常世の祈り!」

そして回復された魔力を使い、この場に集った狂信者全員及び使役する悪魔全員の体力を全回復させて状態異常も治す。
あからさまに反則性能な魔法だが、彼らサマナーが使う常世の祈りやメシアライザーと言った魔法はそれが特性なのだから仕方がない。
如何な条件下においても、死亡以外の全ての異常と傷を完治させる。故に首輪の制限があろうが、世界全体で魔法が弱体化しようが関係ない。
そして魔力が切れれば再びメタトロンが魔力を供給する。
悪夢の循環だが、これはメタトロンを墜とせばいいだけのこと。それを妨害するのはニャルラトホテプ(not美少女)だ。
混沌の波動により、遥か遠距離から攻撃対象を一方的に嬲りさらにその動きを鈍くさせる――所謂、行動遅延。

この両名を従える大和は秘術により凄まじい行動速度を得、敵対者が一チームであれば一方的にリンチが可能であり、それを実行したのだ。
とはいえ、大和のメギドラオンは当初、ほとんど相手の体力を奪えないでいた。


だが炎の中で、未だ件の護衛者は起き上がる素振りを見せない。


『大和、いい加減に十分だろう。早く龍脈の龍の援護に回った方がいい』

そして大和のリンチコンボを完全なものに昇華させた大いなる存在こそ――魔神皇ハザマであった。

世界樹の護衛者レストは、ラスボス勢も驚きの驚異的な防御性能を誇っている。
あらゆる属性を吸収し、物理攻撃や万能属性攻撃すら9割カット、挙句の果てに確率でダメージを1に変換して状態異常も完全無効。
これに素のふざけた防御力が加わることで、彼にまともなダメージを与えるには同等以上の怪力か魔力による連続攻撃が絶対の条件となっていた。
連続攻撃の点に関しては狂信者の数の暴力が、吸収に関しては神炎メギドラオンが対応し、突破してきたのだが、やはり問題点は攻撃力――だった。

一見、無敵とも思えるレストの防御性能。
しかしお気づきだろうか。彼は確かにラスボス以上の防御性能に見えるが、種族の分類はあくまで人間である。
神々が持つような――【ステータスダウンに対する耐性】だけは備えていないのだ。
さらに言えば、自身のステータス上昇及び弱体解除手段は【食事オンリー】
食事中は一瞬とはいえ完全に無防備かつ攻撃を被弾した場合、その行動はキャンセルされる。
絶え間なく放たれるメギドラオンの前では、食事をとる暇は当然ほとんどない。
そしてハザマが持つ特殊能力の一つ【ランダマイザ】は敵の攻撃力、防御力、命中率をまとめて低下させる強力なもの。
状態表には残念AIでないと表記されていたが、今回ばかりはハザマは明確な作戦の一環でランダマイザを連呼したのである。
攻撃力が届かないのであれば、届く域まで相手の防御力を下げてやればいいのだ。

ハザマが弱体による援護、大和チームが回復と遅延と攻撃を万遍なく。
そしてモブの狂信者と悪魔達も追撃のメギドで火力を上昇させ、場合によってはハザマと大和を守る盾となり奮戦。
あの数に物を言わせるだけであった狂信者が、初めて連携行動をとったのだ。
その結果、あの理不尽な護衛者をついに火葬することに成功したのである。

「「うおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ! クラウザーさんばんざぁぁぁぁぁぁぁぁい! 極上の生贄をついに捧げられたぞぉぉぉぉぉぉぉ!」」

当然、初めてのチームワークで大勝利を飾った信者達の喜びようも半端なものではない。
俄然高まった士気のまま、彼らが見据えるのはいよいよ世界樹本体。
龍脈の龍は苦戦をしているようだが、それは相手にも同じことが言える。
あれからさらに人数を減らされたが、それでもこの数で押し寄せ、今のようにコンビネーションを見せつければどんな化物だろうが一たまりもないだろう。
未だに燃え続ける炎は、敬愛するクラウザーさんへの手向け、そして復活への大いなる華のように見えた。

「ああ、クラウザーさん! 見ておられますか!」

聖職者でありながら狂信者へと身を堕としていたモブ狂信者の一人、緑色の神官は炎の華に近寄り特に感激していた。




「――古竜の、呪撃ッ!」



そしてその首は、感涙に濡れたまま血の海に沈む。

「「?!」」

凄まじい力で刎ねられた首は、狂信者達の歓声を無くすには十分な代物だった。
まさか、そんなことはありえない、そう思いながらも彼らは炎へと一斉に攻撃を試みようとする。
だがそれよりも早く、神炎を何かが吹き飛ばした。
氷竜の翼を展開し、炎を払ったのはまさに今しがた今度こそ倒したと思ったレストその人。
しかしその全身は半竜化してなお焼け爛れ、血に塗れている。
今までにない明らかな大ダメージ、あと一押しで倒せる瀕死の状態に見える。

「……氷河の再生」
「なっ、まずい、奴を止め――」

しかし氷竜の持つ再生能力が行使され、爛れていた片腕がみるみる内に再生されていく。
そして。

「キュア、オール」

その腕から癒しの緑風が放たれた瞬間、レストが負っていた傷の殆どが瞬時に回復された。
かつて都庁に乗り込んできた影薄組に施した魔法と同じだが、首輪が無くなった今、その回復力は桁違いだ。

「あ、ああ……」

狂信者の一人はその光景を見てしまった瞬間、思わず膝から崩れ落ちた。
これを絶望と言わずして、なんと言えばいいのか。
回復魔法を使っても全快していないところを見る限り、確かに自分たちの攻撃は通っていたのかもしれない。
だがその残った傷すら、当人が動かなくてももう氷竜の力で自動回復していっている。

「お、おのれ! この人外が……! 再生するというのなら、何度でも焼き払ってくれる。メギドラオンッ!」
「無駄だよ」

忌々しげに、しかし戦意は失わなかった大和が再度メギドラオンを放つが、どうしたことかこれは片手であっさりと薙ぎ払われた。

「まさか、こうも僕の弱点ばかりを突かれて、ここまで消耗するとは思わなかったよ。
 でも能力の上昇や減少を上書きする食事は枯草でもできるんだ。君たちが散々暴れて作ってくれた、この枯草でもね……!」

そしてそれに負けない程の忌々しさで、レストは咀嚼していた枯草を飲み下した。
地に墜とされた時、あらかじめ口に含んでいたのである。
能力低下は解除され、傷も癒される。狂信者達も常世の祈りと天使の血で消耗は少ない。
戦況は、ほぼ振り出しに戻されたといっていい。

『根競べをする気か? 僕のランダマイザは貴様にも効力があり、貴様は逆に僕の物理反射の前に無力なのは紛れもない事実。
 またランダマイザを何重にもかけてさっき以上に断続的に、草一本たりとも残さない程に焼き払ってやれば――死ぬのはそちらだ』
「……ぺネトレイトソニック」

挑発するハザマに対して、ギリメカラを葬った風の刃が放たれる。

『マカラカーン!』

しかしその風の刃も、ハザマが生み出した障壁により反射される。
もっともその反射された刃もレストに吸収され、彼の傷を回復させてしまったが。
とにもかくも、揺るぎない事実として突きつけられたのは、レスト単独ではハザマを倒すことが不可能であるということである。

「やっぱり魔法反射も持ってたか。確かに君の言うとおり、このまま持久戦になればいつかは僕の魔力が尽きて負けるだろうね」

しかしその事実を突きつけられてなお、護衛者はその場を動こうとはしない。
最悪の相性である敵を前にして退かないのは、護衛者としての意地なのかなんなのかは狂信者達にはわかりかねる。

「でも――ああ、もう十分か」
「なに?」
「サクヤ、ウォークライ、ここは退くよ」

指を鳴らすと同時に、彼の背後にあった鏡の盾が砕け散り、その後ろから二人の従者が姿を現す。

「……自分を守る盾を捨てて、駒二つを守っていたというのか? 我々を舐めて、本気を出していなかったとでも言い訳するつもりか?」
「誰かを駒呼ばわりする人とは仲良くなれそうにないよ。風鳴翼にその物理反射能力を継承されても困るし、やっぱりここで死んで貰おう」
「貴様にできるとでも?」
「ふぅ……【ここがどこ】で【外部に漏れた僕の序列】がどこかをよーく思いだしなよ。それとこれは置き土産だ」


――ルーンアビリティ発動【グランドインパクト】――


「「っ?!!?」」

何が起きた?それが狂信者達全員の第一思考であった。
あまりに一瞬、しかしその一瞬で天地の認識が崩されると同時、全身に強烈な衝撃が奔った。
超速を手に入れた大和だけは確かに見た。レストが自分達との戦いで【初めて抜刀】して渾身の力で大地に剣を叩きつけるのを。

(本当に舐められていた? この私たちが? ふざけるな、SATUGAIしてくれる――脚が動かない、何故!?)

「赤竜さんの【火竜の激震】も同時発動しておいたから、短時間とはいえ脚封じでその場から動けないでしょ? それじゃあね」

従者二人に触れ、エスケープの魔法でレストは逃走する。
逃走先というか、転送先は間違いなく世界樹の入り口。追いかければすぐに追いつける距離だ。
この衝撃波による全身の痺れと、脚封じが無くなりさえすれば――そう考えながら、狂信者達は敵の去り際の言葉を思い出していた。

ここが何処か。決まっている、生贄が大量にいる世界樹。
あの男の序列?あのふざけた耐久能力と、殺しきるに至らなかった原因である膨大なHPを鑑みれば最上位で間違いないだろう。
指名手配をされた風鳴翼すら退けられているのだから、少なくとも関東エリアにおいてあれより強い参加者がいるとは思えない。
だからこそ魔物達も彼をリーダーに――

寒気。誰もが恐ろしい事を思い出した。
腕は動く狂信者の一人が、慌ててスマホを取り出してネット接続を試みる。
思い出せと言われた。ああ、しかし思い出したくない。

『その金髪はナンバー2らしい。さらに上に金髪巨躯の魔王がいるらしい』
生き残るためには…!参照

……見つけてしまった。
ナンバー2、上にナンバー1の魔王在り。
いやいやまさかそんな、単純な戦闘能力で序列が決まるわけがない。
縋るように狂信者はこの情報の信憑性確認のために、金髪二人に関する過去の呟きを遡って確認する。
都庁に揃って現れた。ここまでは把握している。これより以前に、何があったのだろうか。

『なんか滅茶苦茶な速さで金髪が都庁目指してるっぽい』
『こっちも金髪が都庁目指してるっぽい。あれ、別人?』
『金髪二人が出会った。で、なんかすげえバトルおっぱじめたんだけど俺巻き込まれて死ぬんじゃね?』
『あー、よくわかんないけどでかい金髪優勢だわ。若い方の金髪の打撃全部無効化されてるし、魔法は躱されるか押し負けてる』
『若い子必死で距離とろうとしてんのに、インチキ射程レーザーでがりがり体力もってかれてるみたいだね』
『あいつぜってー魔王だよ。そして魔王が追撃で相手の頭掴んで連続でなんちゃらコレダー叫びながら叩きつけてる。えぐすぎ……』
『おお、若いのボロボロでも立ち上がったよ! 凄いけどなんで生きてんの?』
『あの場所は僕が絶対に守ってみせるって、まるで勇者みたいだな。あれ、でも確か都庁は魔物の巣窟だったような?』
『何故か急に魔王が謝ったかと思ったらお互いに握手して、また都庁にとんでった。な、なんだったんだあの二人は』
『お互いに、都庁を攻め落とそうとしてる奴って誤解してたってことか。んー、しかしするとあいつらもしかして……魔物の味方なのか?』

「「……」」

見てはいけないものを見てしまった。
あれだけ苦労した相手が、制限状態とはいえ既に黒星をつけられていたとは。
第一次攻撃の際も、確かに多くの狂信者が四連続魔法とダオスコレダーの前に犠牲になっていたが、やはり魔王ダオス恐るべし。
故にクラウザーさんへの生贄に捧げることができれば……

超耐性のレストがダウン→無属性かつ超火力攻撃持ち
四連続の魔法攻撃→マカラカーンの反射は一回のみ。絶一門も同じく
インチキ射程→どっから攻撃されてもおかしくない
自分達は現在脚封じ→逃走及び移動が不可能

結論…… やばい

『ま、まずい。早くこの脚封じをどうにかしなくては!』

ハザマの天才的な頭脳は誰よりも早くその結論に至った。
なんのことはない、自分達が相手にしていた男はあくまで世界樹の【盾】であったのだ。
盾の攻撃でこちらの被害は既に甚大、そしてその盾を完全に破壊することはできなかった。
ではその盾をも崩した、いわば世界樹の【矛】が自分達に向けられた場合、どうなるか。


「下等な貴様ら狂信者が、ここまでやるとは思わなかったぞ……」


ミザールを失った世界樹の天辺から、底冷えするような声が響く。
距離は離れている筈なのに、本来であれば聞き取れない筈なのに、その恐ろしい声は確かに狂信者全員の耳に届いた。

『にしゃああああああああ!』
『グォォォォン……』

そして追い討ちをかけるように怪物の叫び声と、荒ぶる触手で全身を引き千切られた龍脈の龍の断末魔までもが聞こえる。

「ば、馬鹿な……龍脈の龍が、敗れるだと……!?」


「そろそろ、貴様らとの戦いにも幕を引くとしよう。
 世界樹を傷つける愚者達よ、マナの溢れるこの場で私を怒らせたこと後悔しながら、死ぬがよい――テトラスペル!」


「「ぐあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」」

未だ身動きがとれずにいた狂信者達を、大地から吹き上がる岩が容赦なく打ちつける。
自然落下で地面に叩きつけられると思いきや、今度は巨大な渦が身体を捻じりきりにくる。
耐えたかと思えば竜巻が全身を切り刻み、局所的な大爆発が全てを焼き払う。
以前使用したものとは違う、本気で殺しにかかった魔術の極技は既に出来上がっていた屍の山を吹き飛ばし、新たな屍の山を築き上げた。

『ぼ、僕のマカラカーンが……まるで役に立たないだなんて……』
「わ、私を甘くみるなよ……全門耐性、私とてあらゆる属性への耐性を備えているのだ……常世の祈り!」

だが、この極技をハザマと大和、彼の使役する悪魔たちは耐えきり、再び常世の祈りで全回復してみせた。
しかし祈りの効力が効いているのは自分達だけ。他の信者は皆死に絶えてしまったのだろう。

「有象無象がどうなろうと、私とハザマが生きてさえいればっ!」


「サクヤ、ダオスさんの援護を!」
「はい! ――四源の舞!」


今度こそ大和の顔から、いや元々顔色の悪いハザマからすら血の気が引いた。

ああ、何故さっきの戦いであの小娘を先に始末していなかったのか。
ああ、何故むきになってあの人外を殺すことに固執してしまったのか。
作戦を練り優位に立ったつもりで、踊らされていたのは自分達の方だった。
今思えば、あからさまな時間稼ぎ。魔王の準備と、世界樹の化物が龍脈を打ち砕くまでの囮。
盾の攻撃を無力化して喜んでいた自分達はなんだったのだろうか。
これから絶対的な、矛が自分達に向かってくる。魔王と、怪物と、想定外の神樹、三つの矛が。
いや、既に先陣を切っている魔王の攻撃に耐えきれねば、後の矛など気にするだけ無駄なのかもしれない。
耐えられるのか?おそらくこれから発動するのは、凶悪なレーザー攻撃。
それも報告が確かであれば舞の効果が上乗せされて通常時の5倍に威力の膨れ上がった――

――アオオォォォォン――

何故、世界樹から狼の群れが顔を出して鳴いているのか。
そんなことは死刑執行を待つハザマ達にとってはどうでもいいことであった。

しかし実のところは彼らに大きく関係のある話であったりする。
鳴いている狼の名はスノードリフト。(故)コロトラングルらと同じ樹海守護者である。
第一階層の守護者ではあるが、単純な戦闘能力はアイスシザースに遥かに劣り……要するにもう前線で戦うのは厳しいレベルだ。
だが彼らは群れで鳴いた時、特殊なスキルとして【群狼の襲撃】を発動できる。
効果は鳴いたとき限定であるが、強化枠を使用せずに味方全体の攻撃能力を1.5倍にする優秀なサポートスキルであり……
つまり彼らに放たれるレーザーの威力は通常時の7.5倍。骨も残らないどころか魂ごとぶっ飛ばされかねない、魔王の憤怒の一撃。


「受けよ! これが再生を司る世界樹の輝き! 真・ダオスレーザーッ!」


ダオスの背後に魔法陣が現れ、そこから放たれた光矢がハザマ達を抉っていく。
これだけの距離で、たかが光矢の一発一発でなんという威力。
それはまだ本命ではない。魔法陣と、そしてダオスの両腕に収束した魔力はそれを遥かに凌駕するだろう。

『ク、クラウザーさん……! 僕は、僕は――
「み、認めぬ……! 私はこのような結末は認めぬ! 必ずやクラウザーさんを――

放たれた5色の光はやがて一つの巨大な光となり、狂信者を一人残らず消し飛ばす。
人も、魔神皇も、大天使も、邪神も何もかも全てを。
怒りの魔王に殺された彼らの魂は果たして、敬愛する魔王クラウザーさんへの生贄になれたのだろうか。
それはわからないが、とにかく魔王の宣言通り、世界樹での狂信者との戦いには幕が引かれたのであった。


【クリフト@ドラクエ4】死亡確認
【龍脈の龍@デビルサバイバー2】死亡確認
【狭間偉出夫@真・女神転生if...】死亡確認
【峰津院大和@デビルサバイバー2】死亡確認
【ニャルラトホテプ@女神転生シリーズ】死亡確認
【メタトロン@女神転生シリーズ】死亡確認
※その他サマナー狂信者も全員死亡し、かつ遺体は支給品装備諸共消滅しました

「これがダオスさんの本気のレーザー……退避して正解だったよ」
「レスト様があの方を恐れている理由が、よくわかりました……」

魔王の憤怒を見届けながら、レスト達は世界樹の入り口へと戻っていた。
召喚者である大和が死亡したためか、龍脈の龍の残骸は溶けて消え、再び大地へ還っている。

「レストさん、大丈夫だった!? ごめんね、セルちゃん達とあの龍を相手にするので手一杯で……」

そこに世界樹の巫女、まどかが合流する。
フォレストセルと神樹が体躯で勝る龍脈の龍を比較的楽に倒すことができたのも、彼女が世界樹を動かして援護に回ったことが大きい。
龍脈の龍が倒れ、世界樹との融合を解除して降り立ったといったところだろうか。

「いや、驚いたよ。まさか君がそこまで身体を張って……その脚の怪我は?」

だが見れば、まどかの左脚には真新しい傷が出来ており、未だに血が流れ出ていた。
いくら激戦の場とはいえ、あのフォレストセルがそう易々とまどかへの攻撃を通すとは思えない。
それでいてかすり傷というには少し大きめな傷を負うというのは、つまり。

「……うん。戦っている最中に痛みを感じた。私じゃなくて世界樹の根が、地中で戦闘に巻き込まれて傷を負ったんだと思う」
「貴虎か、あるいは他にもまだ狂信者がいたっていうのかい!? 地下にはかなり強力な魔物が多数いるはずなのに……
 くそ、このまま地下に潜ッテ、連中を見つけて今度こソはボクの手デ大地に還してやル!」
「っ!? いけません、レスト様!」

一歩踏み出したレストの後頭部を、鉄球が強襲する。
主人に対する容赦のない突然の一撃にまどかとウォークライは面くらう。
完全に油断しきった状態で身内からの不意打ちを受けよろめいたレストが一番驚いた様子ではあるが。

「サ、サクヤ! 突然何をするんだい!? 今のは普通に痛かったよ!?」
「……無茶をしすぎです。いくら傷を癒しても疲労感は残りますし、集中力も下がります。
 私程度の一撃をレスト様がまともに受けてしまったのが、何よりの証拠。それに――」

(さっきの言葉遣いは……風鳴翼と同じでした。これ以上は……!)
(ッ!)

耳元で小さく囁かれ、レストは言葉を飲みこむ。
自分で、気がつくことができなかった。人を食べなければ少なくとも世界樹にいれば進行はしないだろうという目論見が外れてしまった。
確かにこの状況で、症状がさらに進行して気がつかないうちに完全な同類となれば、今度は自分が世界樹に仇なす存在に成り果ててしまうだろう。

彼らはまだ知らないが、テラカオス化は何も捕食に限らず、時間経過や精神状態、戦闘などでも程度に差があれど進行する。
モブとはいえ数千の狂信者を始末し、さらには強大な力を持つハザマ達との戦闘はテラカオス化を進めるには十分な材料だ。

「……まどかさん、フォレストセルの中にレスト様を閉じ込めることは可能ですか? あ、勿論食べたりしたら駄目ですよ?」
「え゛っ!?」
「う、うーん……お口の中で転がしておけば多分大丈夫なんじゃないかな? でもどうしてそんな……」
「見ての通り、私のご主人様は強引にでも止めないと戦いに明け暮れてしまいますから。無理矢理にでも休ませないと」
「サクヤ、待った、落ち着こう? わかったから、ちょっとだけ休むから。2分程度――
「レスト様は全身からお野菜の味がしますから、フォレストセルの飴玉代わりになるかもしれませんよ?」
「そうなんだ! それじゃあレストさんが休むのと一緒にセルちゃんもおやつ休憩がとれるんだね。
 マミさん風に言うと、戦士の休息ってやつかな?」
「ちょっと!?」

未だに痛む後頭部をさすりながら、確かにちょっと疲れはしたかと思いつつもレストは猛抗議する。
前に自分はフォレストセルの力でこの症状を治せるかもと言ったかもしれないが、あれの飴玉になるのは御免こうむりたい。

「……ウォークライ」
『……諦めよ、主。我も同意見である』

ちらりと助けを求めるようにウォークライを見るが、彼は首を横に振った。
彼もまた、このままレストを地下に向かわせる気はないようだ。

「セルちゃーん! レストさんのこと舐めまわして休憩させてあげてくれる? でも飲みこんじゃ、ダメだよ?」
「舐めまわす必要は「にしゃーん」うわあああああぁぁぁぁぁぁぁ!?」

相変わらずの謎の瞬発力を持つ触手で逃げる間もなくレストは捕獲され、そのままフォレストセルの口に運ばれる。
彼ならば体内からフォレストセルを切り刻む芸当をやらかしそうだが、フォレストセルを殺せばまどかや他の魔物が黙ってはいまい。
捕まった瞬間、彼の運命は決定したのである。

<ウワアアア! シタヅカイガスゴイ!? ダ、ダレカー!

「あ、セルちゃんが笑顔になったよ! 本当にレストさんって美味しいんだね」
(あぁ、レスト様、申し訳ございません……でもこれでうまくいけば……)

心の中で主に深く謝罪しつつも、サクヤは少し凹んだ鉄球を携えて地下への道を目指す。

「あれ、サクヤさんが地下に行ってくれるの?」
「はい。恐らく地上の狂信者は掃討できましたし、レスト様の代わりに私が向かっても問題はないかと」
(それに注意深く地下に意識を向けると感じるこの気配は、紛れもなくお父様のもの……身内の不始末は私がするのが道理でしょう)
『主からは、命令が無い時は好きに動いて構わないと言われている。我もつきあおう。
 地下の魔物で敵わない程の相手であれば、戦力は多い方がいいからな。既に向かっている先発隊との合流も考えるとしよう』
「二人ともありがとう。セルちゃんはエリカさんに任せておけば安心だし、私も地下にいくよ。
 脚の怪我から、世界樹のどのあたりが傷ついたかは大体わかるしね」
『美樹さやかは負傷者の治療で動けないだろうが、他にも何人か連れていくべきではないか?』

地上の戦いは終わった。
しかし真の戦いはこれからだということを、まどか達は本能的に理解していた。
【盾】はしばらく使えず【矛】も世界樹の地下ではその全力を出すことはできない。
そして侵入者はかなりの実力者。真っ向勝負になった場合は苦戦必至だろう。

既に向かっている仲間達の身を案じながら、世界樹の巫女は魔物を従えて地下へと向かうのであった。

二日目・9時15分/世界樹・移動時軸前】
【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ】状態:ダメージ(小)、世界樹の巫女、左脚に怪我
道具:支給品一式 その他不明、モンスターボール(フォレスト・セル)
思考:地下で傷ついた世界樹の治療及び、原因となった人物の捜索
※世界樹の王@世界樹の迷宮と同じスキルが使用可能です
【聖煌天の麒麟・サクヤ@パズドラ】 状態:健康、首輪解除、攻撃力1.5倍、被ダメージ半減
装備:巨大棘鉄球×2、始原の印術書
思考:おそらく地下にいると思われる父は自分の手で止める
【ウォークライ@セブンスドラゴン2020】状態:健康、首輪解除、攻撃力1.5倍、被ダメージ半減
道具:余った真竜ニアラ
思考:まどかの護衛。場合によっては他の仲間も連れて地下へ向かう
※レスト直属の魔物のため、装備の恩恵によりステータスが上がっています


【フォレスト・セル@新・世界樹の迷宮】
状態:上機嫌、小ダメージ(再生中)ポケモン状態、首輪解除、神樹とドッキング中
思考:まどかの命令通り、レストを舐めまわして治療する
※常人にはセルの表情変化はわかりません
【レスト@ルーンファクトリー4】
状態:中ダメージ(再生中)、中魔力消費、精神大ダメージ、各種超耐性、テラカオス化治療中、エーテルリンク中、首輪解除
思考:能力低下攻撃への対抗策を手に入れたいが、今は一刻も早くフォレストセルの口内から出たい
※候補者の一人となりました。現在はその肉体と竜の力でテラカオスの力を制御していますが、なんらかの要因で抑えきれなくなる可能性もあります
※進行を抑えているため、テラカオス化が進むことによる新たな能力取得はできません
※治療が済むまで(セルが満足するまで)自力で外に出ることができません



――その頃、世界樹頂上――

「すまぬな小鳥。だがこれで、連中を排除しやすくなった」
「いえ、別にお料理は好きですし、お役に立てたならいいんですけど……何故に天ぷら?」
「私の好物だ。こうやって、天ぷらを、食べるとだな……なんか殺る気が満ちてくる」
(うーん、あの狂信者達も、まさか天ぷら食べながらすっごいレーザー出す人に殺されるとは夢にも思わなかっただろうなぁ……)

【ダオス@テイルズオブファンタジア】状態:健康、物理攻撃無効、雷耐性低、詠唱速度上昇
思考:地下の様子や戦後処理が気になるが、念のため頂上で外敵を警戒
※天ぷらにより、詠唱速度が上昇しました
【音無小鳥@アイドルマスター】状態:健康、すごい申し訳ない気持ち、深い悲しみ
道具:支給品一式、スマホ、大量の天ぷら
思考:サポートに徹する。とりあえず今は天ぷらの量産
最終更新:2015年10月06日 19:00