明け方の森ってのはどうもマイナスイオンで満ち溢れてるらしい。
深呼吸をするだけでも頭がスッキリして、都会の空気がどれだけ汚れているかを思い知らされる。
そんな空気を俺は胸いっぱいに吸い込み…………。
「ココどこだあァ!?」
「……バカ」
道なりに歩いていたら、沿って歩いていたはずの線路を見失ってしまい今は360度どこを見渡しても木、木、木……
ってか、ここ本当に東京か?
「何で地図も持ってないのよアンタは……」
「さっき言っただろ……戦って落とした」
「バカ?」
「二度も言うなって!」
もう一度川に溺れされてやろうか?
そう思ったが何とか耐える。
「とりあえず道なりに進むしかないよなァ」
ここでボーっとしているのが一番危険だ。
急いで街に出よう、話はそれからだ。
ドンッ! と鼻先に衝撃が走った。
「痛ッ!」
衝撃に腰をついてしまう。
俯きながら歩いていたので、目の前に何かがある事に気付かなかった。
その何かは何かって……そりゃ道の真ん中に木が立っているはず無いし……
「………………」
目の前には大学生くらいの、眼鏡をかけた若い男が一人、尻餅をついた俺を黙って見下ろしている。
ボサボサの髪に、目には深い隈、背は低くは無いがガリガリにやせていて不健康が服を着て歩いているって感じだ。
俺の知るキャラクターにはこんなのは居なかった……現実世界からの参戦か。
…………いや、それはいいとして俺の現状を話そう。
服には返り血、傍らには首だけのかがみ。
……はいはい誤解フラグ誤解フラグ、とっとと襲ってくるなり悲鳴上げて逃げるなりしてくださいもう諦めましたよ俺。
と覚悟を決める俺。覚悟とは幸せなのだ、ってうちの(近所の)神父が言ってた。
だがソイツの次の行動に俺はドギモを抜かれる事になる。
「…………悪かったな」
あろう事か、ソイツは俺に手を差し伸べてきたのだ。
「フン……なるほどな」
道端で腰掛けながら情報交換をする二人と首。
男はどうやら日野九宮(ヒノクミヤ)と言うらしい。
何でもここからちょっとの所の、埼玉の大学に行っていた所を巻き込まれたとか……。
てか、埼玉にまで来ちまったのかよ。
「首だけ人間、ね。消化器官何かはどうなってんだ?」
そう言いながら、取り出したペンをかがみへと近づけていく九宮。何やってんだ。
「いや、セッカクだから。額に肉と書いておいてやろうかと……」
「「すんな!」」
息が合うなかがみん。
チッ、と舌打ちをしたよコイツ……頭大丈夫か?
「しっかし、首だけ人間とはね。カオスな状況だと思ったがここまでとは……消化器官なんかはどうなってやがるんだろうな?」
「俺が知るかよそんな事」
本日、初めてのまともな人間との落ち着いた会話だが、何か気にくわねえ。
「お前もしかして死体愛好家ってヤツ? 殺したままの方が良かったんじゃあねーか? 生きてたってお前も仕方ねーだろ」
九宮は悪気も無い顔で聞いてる来る。かがみが暗い顔をしてもおかまい無しだ。
何かムカつくな。
その質問には答えずに、再びかがみを脇に抱えて俺は立ち上がる。
「俺はもう行くぜ。確かこっちに行けば街に出られるんだろ」
ようやく真実を話せたコイツなら、少しは誤解フラグもといてくれるだろう。
俺は九宮に背を向けて
「ああ、ちょっと待ってくれないか?」
何だよ、まだ何かあるのか。
言っとくが一緒に連れて行けってのは断るぞ。
「ちょっとソレ貸してくれ」
返事を待たずに、ヒョイとかがみの頭部を奪われる。
何かを思いついたと言うような感じだ。
お前も性欲を持て余したか、と思う矢先に九宮はゴソゴソと自分のデイパックを漁っている。
中から武骨なナイフを取り出しやがった。
「……え?」
その声は俺のものだったか、かがみのだったのか。
次の瞬間にはかがみの頬には、その軍人ナイフの正しい用途が実行されようとしていた。
「おい待て、うわなにするやめ」
かがみはすでに血の気がひいている。そのひいた血はどこに行くんだ?
俺も同じ顔になっているのが良く分かる。
「ああ、気にしないでくれ」
気にするだろ!
「いやーコイツの首を見てるとさー。アニロワ1stで私のお気に入りキャラがゲスい野郎にグチャにされた事を思い出したんだよねー」
その話は良く知っている。
多少なりとも、ショックではあったがロワと言う企画上ああいうのは覚悟していたし、事情もあったのだから仕方が無いと思っていた。
「急にそれを思い出してムカついたからさ、とりあえずコレに同じ事をしよーかなーって」
「ムチャクチャだろ! お前が見ていてイヤだった事を他人にするのか?」
「んにゃ、私がムカつくのは飽く迄少年キャラがやられた時だけだから」
腐女子かよ……おい待て。
今までの話を総合すると……コイツの名前は日野九宮…………、日→Day→デイ→ディー→D、九→Q……
「まさか、お前D/Qなのか?」
「ああ、そう呼ばれてた事もあったな」
マジかよ……ある意味マーダーより性質が悪いぜ……。
「大丈夫だって、コイツはもう必要無いだろ? 誤解フラグだったら私が解いておくしな」
九宮、いやD/Qはもう俺の事なんて興味が無いと言う風に顔を背けた。
チクショウ……舐めやがって。
「お、おお願い……止めて」
「許可しないィィィィツンデレの法則の否定は許可しないィィィ!!
さて……やっぱまずは目玉からだよなー。そうした後鼻をそいでのっぺらぼーにした後、歯グキ……ん?」
俺が背後に迫っていたのに気付いたらしく、顔をもう一回こっちに向けた。
だがもう遅いぜ。
「ま、おい待げっ!」
落ちていた小石を、勢い良くそいつの顔面にぶち込んでやる。
何かが折れる感触がアリアリと伝わった。
「ぐ……み…がムゥ……!!」
うずくまると同時に、ひしゃげた眼鏡が地面に落ちる。
抑えている口と鼻から赤い液体がなみなみと漏れている。
だが再び、俺をにらんでくる。
「て…べぇ……。どういうつもりだ……」
「うるせえ、さっさと来い最狂DQNがよ」
「ご…ろす……このチンボゴがよぉ……」
最初はおとなしいのに、一度キレるととことん口が悪くなる……まさにD/Qだな。
「殺してやる!!」
振りかぶったナイフが俺の鎖骨に刺さった。
明らかにニヤリとした顔のD/Q。
コイツ頭脳がマヌケか?
構う事無く、両手の親指を相手の、ムカつく笑いを浮かべた目に向けて突き進める。
俺の狙いに気付いたらしく、反射的に目を瞑ったが無駄だ。
瞼をこじ開け、俺の親指はソイツの眼球を────
グチャリ、とした感覚が指から脳全体に伝わった。
それからしばらくの間の記憶が無い。
「ゲ……ゴホ、ゴホ! ゲホ!」
我に返ったときには、まるで喉にゴムでも詰め込まれたかのように咳き込んでいた。
そして俺の首にかかっていた指が外された時、中で詰まっていたのでは無く、外から圧迫されていたのだと知る。
その指をかけていたD/Qは……首に太いナイフを刺しながら徐々に地面にくずれて行った。
やがて、地面に倒れた後数回ケイレンを繰り返し動かなくなった。
両手を見ると……鮮やかな血で赤く染まっている。
最初にかがみの首を切った時のドス黒く固まった血では無い。
ああ……俺は…………俺は…………。
のしかかるD/Qを蹴飛ばして、俺は再びかがみの元へ向かう。
「かがみ……」
青ざめた顔で俺を見ている。
その目にはD/Qにナイフを突きつけられた物と同じ、いやそれ以上の恐怖が感じ取れた。
再び抱えようとした時に漏らした声を、俺は聞き逃さない。
「イヤ……」
俺は両手を止める。
じゃあ別にいいや、俺は一人で街に向かうよ。
お前は野犬の餌にでもなれ、ツンデレの法則発動しまくれよ。
漫画ロワでは全裸を見られ、ニコロワでは触手プレイ、アニロワ2ndではるるるのルイズ。
カオスロワでは殺人犯に……俺に……殺人犯に見捨てられて終わりだよ。
「◆6/WWxs9O1s……」
何だよ、何言ったてお前はもう見捨てられるんだよ。
殺人犯に……殺人犯…………何で俺泣いてんだよ? 何でだよ。
「ゴメン…ね」
何で謝るんだよ、別に怖がって当然だろ?
人殺したんだよ俺? もう一生罪の十字架背負うんですよ、ねえ?
そうで無くったって二次元だったら殺していいなんて行った凶悪な殺人鬼ですよ?
何でお前まで泣くんだよ、やっぱ怖いんだろ? 俺がよ。
「ありがとう……助けてくれて…………。さっきも……バカなんて言っちゃって、ゴメンね」
────────ッ!!!
クソ……このガチレズ悪臭…………何お礼言ってんだよ……謝ってんだよ……俺、お前に、あんな、酷い……
「もう一度、運んでくれるかしら?」
俺は……俺は……
「迷惑だったら……もし邪魔だってんならいいけど」
…………
「言っとくが、誤解フラグを解くのに使うだけだからな」
【D/Q@現実 死亡】
【一日目・朝/山中 埼玉県と東京都の境目】
【◆6/WWxs9O1s氏@現実】
[状態]:健康
[装備]:
柊かがみの頭部
[道具]:ふっかつそう@ポケットモンスター×1個
[思考]
1:???
2:かがみは壊させない
3:出来れば主催を倒す
※大臣の取引には乗ったふりをしていますが、実際に手を貸すつもりはありません。
【柊かがみの頭部@らき☆すた】
[状態]:首から下無し
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]
1:◆6/WWxs9O1s氏と行動を共にする
2:自分の胴体と友人、家族を探したい
3:出来れば主催を倒す
※
第一回放送を聞いていません
【榊祐子@BATTLE ROYALE】
[状態]:混乱
[装備]:シャープペン@現実
[道具]:支給品一式
[思考]
1:今すぐその場から逃げる
2:◆6/WWxs9O1sが殺人犯であると伝える
最終更新:2007年11月27日 09:17