あやの、ゆたかと分かれた白石は三階を調べていた。
殺したいのは自分よりもキャラソンが売れている者のみ。後輩の岩崎や田村やパティももちろん対象だ。
「ん……」
ある教室の中を覗き込んだとき白石が見たのは、床をハイハイする一人の赤ん坊だった。
「ちっ、こんなガキがキャラソン出してるわけも無いしな……」
踵を返して立ち去ろうとする。その足に、凄いスピードで這ってきた赤ん坊がしがみ付いた。
「ああ? なんだよてめえ、邪魔するなら赤ん坊でもぶっ殺すぞ!!」
白石は金属バッドを振り上げる。しかし、赤ん坊の目を見てその手は止まった。
赤ん坊は無邪気な顔で白石を見上げていた。殺意を込めた目で見返してもビクともしない。
その純真爛漫な目に、彼は昔日の自分を思い出さずにはいられなかった。
かつて初めてアイドルを目指した時の自分も、初めてレギュラーの仕事を貰ったときの自分も、こんな目をしていたのでは無かったか。
最初は誰か一人でも楽しませることが出来たらいいと、それだけを思っていたのでは無かったか。
どこで、一番じゃないと済まないような自分になってしまったのか。
「……こんなのは、間違ってるのかも知れないな」
血のついたバッドを見て自嘲気味に呟いた。
「俺も、お前のような純粋な子供のままでいたらよかったのかもしれない」
膝をかがめて、自分にすがりつく赤ん坊に手を差し伸べた。
すると赤ん坊は口を開いて、
「調子こくなよモブ。アタシは全国放送の長寿番組のレギュラーキャラだよ? 日本を代表するアニメキャラの一人だよ?
オタ向けの深夜アニメの脇役なんかとは格が違うんだよ、一生ネタ要因でいろよ。
エンディング歌えただけでも満足だろ小物」
「――――!!」
「はあ、はあ……どうやら、もう追いかけてこないらしいな」
野原ひろしはようやく一息ついた。途中で会った変な男が気になるが……
「まずは服を探さないとな。このままじゃ誰かに見られたら誤解されてしまう」
ひろしは局部を押さえながらモジモジと歩き出す。
しんのすけの生死は、あの女子高生がなんと言おうと自分の目で見るまでは信じないつもりだった。
あのおバカがそう簡単に死ぬはずは無い、そう自分に言い聞かせていた。
「うおっと!?」
股間を押さえながら小股で歩いていたひろしは、足元にあった何かにつまずいて転んだ。
むき出しの胸と腹を廊下に打ち付ける。
「ったく、誰だよこんなとこにゴミなんか置いて……るの……は……」
それは、原型がわからないほど殴打されていた。
だが見間違うはずが無い。この服は、この体系は、この髪型は、父親として絶対に間違うはずがない。
「うわああああああ!! ひまわりいいいいいい!!」
ひろしは破壊し尽くされた娘の体を揺さぶった。だが、もちろん返事などあるはずが無かった。
そして声を枯らして叫ぶ彼の耳にまたあの耳障りな声が聞こえてくる。
彼の息子と妻の死を知らせる、
第二回放送だった。
【一日目 第二回放送前後/埼玉県陵桜高校】
【
白石みのる@らき☆すた】
[状態]:健康、激しい怒り
[武装]:金属バッド
[所持品]:支給品一式、しんのすけの下半身右側
[思考]:
基本・自分よりキャラソンのCDが売れている人間を皆殺し(知り合い優先)
1:三階を調べる
【野原ひろし@クレヨンしんちゃん】
[状態]:全裸
[武装]:靴下
[所持品]:支給品一式
[思考]:
1:呆然
1:ふ く が ほ し い
3:家族を第一に守る
4:できれば主催を倒したい
【野原ひまわり@クレヨンしんちゃん 死亡確認】
最終更新:2007年12月02日 13:26