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「僕の友達は愛と勇気だけさ。僕はそれ以外の誰からの賞賛も、尊敬も、必要ないんだ」
あの日、そう言って彼は微笑んだ。
だから俺は怒ったのだ。そんなのは間違っていると。
頑張った奴が誰からも認められず、誰かを助けた奴が誰からも感謝されない。そんなのはイヤだと。
けれども彼はただ笑って、それが正義の味方なんだと答えた。
その笑顔はとても悲しそうで、俺はそれ以上何も言えなかった。


「どうかしましたか、カレーパンマン?」
しょくぱんマンは不安げに相棒の顔を覗き込んだ。カレーパンマンははっと我に返る。
「ああ、悪い。ちょっと考え事を……あいつらのことをさ、思い出していたんだ」
「ん……そうですか」
しょくぱんマンもそれ以上は詮索しなかった。
アンパンマンとメロンパンナ。いずれも彼らの大切な仲間だった。
二人のことだから、きっと誰かを守って立派に戦って死んでいったんだろう。
「行きましょうカレーパンマン。アンパンマンとメロンパンナのためにも、この殺し合いを終わらせましょう」
「ああ!!」
二人は頷き合うと、マントを翻して飛び立った。目指すのは多くの人が集まる場所だ。


同じ目的を持って学校に集まったはずの面々も、いつしかバラバラになり始めていた。
ある者は僅かな希望に縋って岐阜を目指す。またある者はツンデレコンビとやらの確保にこだわる。
ツンデレを追って学校に来た人間の一人であるジャムおじさんも、自然と同行者たちと離れまた一人で行動を開始していた。
彼の目的は殺し合いを止める事ではなく、アンパンマンとメロンパンナを生き返らせることだ。
そのためには、主催者が指定したツンデレを探しながらも同時に人間の心臓を集めなければいけない。
だがこんな人の多い場所で手荒な行為に出ればすぐに捕らえられてしまうだろう。
(学校を離れるしかないな。それに、今晩休憩する場所も探しておかなければ)
今まで集めた心臓を入れた袋を大事に抱えながら、一人静かに校門を出た時だった。
「ジャムおじさん!!」
聞き覚えのある声にはっとして振り返る。そこには彼の二人の息子たちがいた。
「しょくぱんマン、カレーパンマン……」
「よかった、無事だったんですね」

しょくぱんマンは駆け足でこちらに向かってくる。その顔は無邪気な喜びに溢れていた。
それを見るジャムおじさんの顔は晴れることは無い。
「二人こそ無事で良かったよ。だから、二人だけでも最後まで生き残ってくれ」
ジャムおじさんはそう告げると、二人に背を向けて歩きだした。
「待ってください、どこに行くんですか?」
「私はやらないといけないことがある。二人だけでも安全な場所へ逃げてくれ」
「そんな、僕達の考えだってジャムおじさんと一緒ですよ!! 一緒に力を合わせて、主催者を倒しましょう!!」
しょくぱんマンが呼びかける。足早に立ち去ろうとしていたジャムおじさんは、驚いたような顔をして振り返った。
「君達はそんなことを考えているのかね?」
「当然じゃないですか。僕達はジャムおじさんに作ってもらった、正義のヒーローです。みんなを守ることが正義でしょう?」
みんなを、守る。
その言葉は、今この場所において、何故かひどく空虚なものに聞こえた。少なくとも、カレーパンマンに言いようのない不安を抱かせるほどには。
「正義、か。君達がその言葉を使うのなら、私は君達と一緒には行けないよ。なぜなら私はもう、正義なんかじゃないからだ」
そう言ってジャムおじさんは手にしていた袋から汁の滴り落ちる赤い塊を取り出した。
「これが何かわかるかい? 君達には無いものだ」
「ま……さか……」
しょくぱんマンの顔が、驚愕とそして絶望で歪んだ。それはカレーパンマンも同じだった。
彼らとて人体にある臓器の形くらいは知っている。
「これは人間の心臓だ。私が殺したんだよ」
「ご冗談を……」
喉の奥から搾り出すようなしょくぱんマンの声を遮ったのはカレーパンマンだった。
「ふざけんじゃねえよ!! 俺達にさんざん正義とやらを教え込んでおいて、自分は人殺しだ!?
俺達に……アンパンマンに、正義の味方になれといい続けていたあんたがいざこんなことになったらそのザマか!?」

生みの親に激しく詰め寄るカレーパンマン。その拳はわなわなと震えている。
宿敵ばいきんまんに対峙したときよりも遥かに強烈な激情を目の当たりにして、しょくぱんマンも声を出せなかった。
「アンパンマンは、いっつも自分は愛と勇気だけが友達だって言ってたんだぞ……正義の味方として生まれたからには、自分はそれ以上を求めちゃいけないって。
あいつがどんな思いで死んでいったか、あんたにわかんのかよ? 俺達がどんな思いで戦って来たか、あんたにわかんのか!!」
「君達は、自分達が完璧な正義の存在だと信じてきたのかね」
ジャムおじさんが口を開く。その質問に二人は困惑した。その真意を窺おうと、無言でジャムおじさんを見つめる。
「ならば教えてあげよう。君達の頭のパン、その材料こそがこの『人間の心臓』だ」
二人の目が、信じられないものを見た時のように見開かれた。自分達が描いた夢が、守ろうとした正義が、音を立てて崩壊していくような気がした。
「君達の顔を一つ作るのに、死んだばかりの人間の心臓が三つ必要なんだ。私はこの欠かせない材料を集めるために街で子供達を攫い続けた。
そして、その結果として君達が街をばいきんまんから守ってくれる。本当の正義とは、そういうことだ。完璧な正義などない。
あるのは、何かを守るためには何かを犠牲にしなければいけないという事実だけだ」
金縛りにあったかのように動かない二人の息子を、老人は空しい満足感とともに見つめる。
彼らの脳裏に去来しているのは絶望か、怒りか。
「君達があくまで自分達の正義を貫くというのなら止めはしない。私は私のすることをするだけだ。
たとえ君達を敵にしようとも……世界中の『正義』を敵にしようとも、私は二人を生き返らせる。この手を真っ赤に染めながらな」
踵を返すジャムおじさん。その背中は二度と振り返ることも無いまま夕焼けの中に消えていった。

「そんな、私達がそのような存在だったなんて……」
呆然と立ち尽くすしょくぱんマンの傍らで、カレーパンマンがその拳を地面に叩きつけた。鈍い音とともに、アスファルトに皹が入る。
「畜生……アンパンマンは、あいつは結局、正しかった!! 俺達には、賞賛も尊敬も相応しくない!! 愛と勇気以外の友達なんか作っちゃいけない!!
あいつはきっと、全部知ってたんだ……」
しょくぱんマンも覚えている。彼が口癖のように言っていたその言葉を。
それは、正義の存在でありながら同時に存在そのものが大きな罪であるという自分達の抱える矛盾から逃れるための贖罪だったのかもしれない。
それでも彼はあんなに笑っていた。子供達の前でも仲間達の前でも、決して弱さを見せずに。
「アンパンマン……」
しょくぱんマンはジャムおじさんの言葉をかみ締めながら、今は亡き親友を思った。
「カレーパンマン、もしジャムおじさんの言ったことが本当だとしても、私達は私達の正義を貫きましょう。アンパンマンがそうしていたように。
そしてこの殺し合いを終わらせ、ジャムおじさんがこれ以上悲しい思いをしなくてもすむようにしましょう。ねえ、カレーパンマン?」
隣でうずくまっているはずのカレーパンマンを見た。


「うーん、このパン美味しいわあ。食べ物を食べるなんてひさしぶりだから、なんか感激ねえ」
さっきまでカレーパンマンがいた所で、全裸の上に白衣を羽織った少女がカレーパンマンを食べていた。
【一日目・午後五時/埼玉県陵桜高校】

【しょくぱんまん@それいけ!!アンパンマン】
[状態]健康
[装備]不明
[所持品]支給品一式
[思考]
基本・主催を倒す
1:呆然
2:主催を見つけ出し、こらしめる
3:最終手段としてツンデレコンビを捕まえて主催に突き出す

【泉かなた@らき☆すた】
[状態]岩崎みなみの死体に憑依 腹部に裂傷、やや小さ目の白衣のみを着用
[装備]桜庭ひかるの支給武器
[所持品]桜庭ひかるの支給品一式
[思考]
基本・ツンデレコンビを捕らえて主催に引き渡し、こなたを生き返らせる
1:早くそうじろうと合流する
2:元祖ツンデレコンビを生け捕りにする
3:かがみについてはこなたの下着を盗んだことなどについて個人的に報復したい
※【特殊能力・呪詛】
詳細不明

【ジャムおじさん@それいけ!!アンパンマン】
[状態]:健康
[武装]:妄想心音(サバーニーヤ)@Fate/stay night
[道具]:支給品一式
[思考]
1:ツンデレコンビを捕らえてアンパンマン、メロンパンナを生き返らせる
2:アンパンマン、メロンパンナを生き返らせるため、「命の源」(他人の心臓)を集める

【カレーパンマン@それいけ!!アンパンマン  死亡確認】
最終更新:2008年01月11日 16:56