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「ボラホーンの野郎が死んだだと……」

スカイドラゴンのルードに乗りながら殺戮を楽しんでいたガルダンディーの手が止まる。
時は二日目十三時、第一次放送の直後だった。
逃げ惑う人間達に目もくれず、地上に降り立った。
放心したかのような目でガルダンディーは立ち尽くす。


思い出すのは遠い昔の記憶。


(バラン様がいない間にちょっくら人間の出会い系とやらをやってみるぜ!)

(馬鹿めが……!)

(バラン様がいない間にちょっくら人間のエロゲとやらをやってみるぜ!)

(馬鹿めが……!)

(バラン様がいない間にちょっくら人間のソープとやらに行ってみるぜ!)

(馬鹿めが……!)



知らず、ガルダンディーの目から涙が零れていた。

「な、なんで目から水なんか出やがるんだ……悲しくなんて、悲しくなんてないのに……」

目を拭おうとするが、後から後から涙は溢れてくる。

思えばボラホーンとは長い付き合いだった。

共に竜騎衆としてバラン様を守り続け、性格の相違から喧嘩もしたが、確かにあいつは仲間だった。

自分の微妙な怪力キャラに悩んでいたあいつを何度慰めたことか。
意外と凄い能力を持っているのに忘れられがちな自分が何度あいつに慰められたことか。


「畜生……なんで死んだんだボラホーン!俺たちはバラン様を生涯かけてお守りする、選ばれた龍使いじゃなかったのかよぉっ!」

慟哭は虚しく街に響き渡った。


とぼとぼと歩いていたガルダンディーの目に一軒のカフェが止まる。
周囲の店は荒らされていたり壊されていたりしているのに、そのカフェだけは綺麗な状態だ。営業もしているらしい。

「気晴らしに茶でもすするか……」

ルードを店の前につないでおく。本当は一緒に入りたいが、ルードのサイズでは店には入れない。

からんころんと音の鳴るドアを開けると、人間の給仕服を着た人間の女に出迎えられた。

「ひぃぃ……いらっしゃいませ……何名様……あの、人間じゃないですよね?あ、ああすいません!ふえぇ……」

なにやら怯えられている。これだから人間は……。

「一人だよ、みりゃわかるだろうが!」

「ご、ごめんなさい怒らないでください……みくるは悪気はなかったんですぅ……」

苛々するような態度に、殺してやろうかとも考えたが、ボラホーンのことを思い出して気が萎える。

「ケッ、もういい。席に案内しろ」

「あ、あの~~相席でよろしいでしょうか?」

「構わねえよ」

脅かしてスペースを空ければ済むことだ。
案内されるまま席に辿り着く。

そこにいたのは……。

「ご、ごゆっくりどおぞ……あ、先客のお客様……相席よろしいですか?」

「構わねえ……おいメイド。コーヒーおかわりだ…………」

傷だらけの顔。一目で只者ではないと感じさせるオーラ。そして魔物のガルダンディーから見ても大きな身体。

「……」

黙って席に座り、男と目を合わせる。

……沈黙。
耐え切れずに話しかける。

「おい、お前……人間か?」

男は首をしゃくって答える。

「花山だ」

ガルダンディーは簡潔な、しかし質問には答えていない答えにすこし目くじらを立てる。
しかし、男の持つ妙な威圧感は反論を許しそうにない。

「……ケッ、花山さんよ。あんたは殺し合いはしないのかい?」

「しねえよ……こっちからはな。襲ってくるならいつでもヤる……寝込みでも、女喰らってる時でも……」

即座に返された、迷いの一切ない答え。
ガルダンディーは一瞬言葉に詰まる。
「こちとら喧嘩師、いつだってたぎってる」

鋭い眼光を向けられ、目を逸らしてしまう。

(ビビッてんのか、俺が……そんな訳ねえ!たかが人間ごときに……)

恐れを紛らわすように、腰の剣に手をやる。

(いつだってたぎってんなら……今殺されても文句はねえよなぁ!)

剣を抜―――。


「誰か……身近な人でも死んだのかい」

「……」

見透かされた?


いや、そんな筈は……花山の目を見る。

「…………」

「……そうかい、人間にも色々あるんだな……」


花山の目には、深い悲しみが覗いていた。
だからこそ、自分の悲しみを察知できたのだろう。

ガルダンディーはいつの間にか届いたエスプレッソを一気飲みし、立ち上がった。

「じゃあな……花山さん。せいぜい死なないように頑張りな」

背を向け、店の出口へ歩き出す。

「坊や。…………まだ残ってるなら、身内は大事にしな」

「……へっ、言われるまでもねえさ」


勘定を済まし(支給品が2000円札だった)、カフェを出る。

空を仰ぐと、眼下で殺し合いが行われていることなど知ったことか、とでもいうかのような綺麗な青空が広がっている。

「バラン様、今行きますぜ」

ガルダンディーは決意も新たに、ルードに乗って青空に飛び立った。


【三重県上空 2日目 15時】

【ガルダンディー@ダイの大冒険】
[状態]: 心機一転。
[装備]: 剣、スカイドラゴンのルード
[道具]: 支給品一式、1400円
[思考] 1:バラン様を探し出し、守る
    2:なるべく寄り道はしない
    3:あばよ、ボラホーン……
    4:ラーハルトを探す
    基本方針:バラン様に任せる



【三重県メイド喫茶 2日目 15時】

【花山 薫@バキ外伝 -疵面 スカーフェイス-】
[状態]: 母親を思い出しちょっとブルー。
[装備]: 喧嘩面子
[道具]: 支給品一式(アイテム不明)
[思考] 1:コーヒーおかわり
    2:自分からは殺し合いに参加しない
    基本方針:とりあえず様子を見る



朝比奈みくる@涼宮ハルヒの憂鬱】
[状態]: 正常
[装備]: メイド服
[道具]: 支給品一式(アイテム不明)
[思考] 1:とにかく働く
    2:SOS団の来店を待つ(三日目になっても来なかったら探しにいく)
    基本方針:とりあえず様子を見る




最終更新:2006年12月18日 16:19