島根県宍道湖畔にて。
新生鷹の爪団は、今更ながら所持品の確認をしていた。
「ふぅむ……つまり、我々の所持品はこれだけ、というわけか……」
「比較的武器らしいといえば武器らしいですね」
そこに並べられたのは、風花の持っていた拳銃二梃とスペランカーの持ってたソニックガンとダイナマイト数本、そして……
「あのこれは一体……」
風花が指差した先にあったのは、一竿の桐箪笥だった。
湖畔にぽつんと桐箪笥が一竿。……これもまたシュールな光景である。
「う、うむ。それか。それはだな…………」
それを支給された総統は、顔を強張らせる。
「いや、見た感じはただのタンスなのだが、何か嫌な予感がするのだ」
「嫌な予感ですか?」
「あぁ。こう、なんていうか……ワシの第六感が危険と伝えておるのじゃ」
「はぁ……」
遠巻きに桐箪笥を見る二人。
すると――
「なら、自分が中身を見てきますよ」
「な、なんじゃと!? スペランカー君がか!? そ、そんな君にそんなことを……」
「平気ですよ。自分は死んでもまだ残機はありますから」
「そんな、私が死んでも代わりがいます的発言、21世紀には流行らんぞ。早く引き返してくるんだ!」
「大丈夫です。どうせ箪笥なんです。きっと……」
スペランカーは冒険者としての好奇心を抑えられずに箪笥の取っ手に手を掛ける。
そして、それを引っ張り――
「こ、これは――ぐはっ!!」
「す、スペランカー君!!!!」
スペランカーは死んだ。
いとも容易く、箪笥から出てきたそれに掴まれただけで。
そして、それはスペランカーを放り捨てるとタンスから這い出てくる。
ネチャネチャと粘膜のようなものを引きずる音を出して。
「な、何なの!? 何なのアレは!」
「あ、あぁぁぁぁ! や、やっぱり奴じゃ……タンス男のお出ましじゃぁぁ!!!!」
タンスから出てきた肉塊に目と口と手足を適当にくっつけたような物体――タンス男は新たな獲物を求めて二人へと襲い掛かった――。
タンス男――男は持ってる引き出しが多い方がいいという理念の下にタンスと男を合体して作られた鷹の爪団の合成怪人。
だが、それは失敗作であり、総統をいくとどなく襲っていた。
そして、今回も総統を含む新生鷹の爪団を襲っているわけで。
「ひぃ~~~~優しく殺して優しく殺してキリングーソフトリ~!!」
「そ、総統さん! そんな弱気じゃダメですよ!」
「そうですよ! ここは一つ自分に任せてください!!」
そう言って、いつの間にか蘇っていたスペランカーはソニックガンを持ってタンス男へと立ち向かう――が。
「スペランカーくぅぅぅぅぅん!!!!」
スペランカーは近くにあった立ち向かう途中で段差に躓き、再び死んでしまった。
だが、そんなことはタンス男には関係ない。
タンス男は着々と動けないでいる総統と風花へと歩み寄っていった。
「あわわわわわ、こ、このままでは……」
「や、やっぱり、私がやるしか……」
拳銃を持つ風花の手に力が入る。
だが、その手は同時に震えが止まらなくなっていた。
本物の銃を撃つ――それが、こんなにも緊張することだったなんて……。
タンス男は、そんな躊躇の間にも近づきそして――
「させるか!!!」
すると、背後から再度蘇ったスペランカーがタンス男の動きを止めるべく両腕を彼の手足へと絡めた。
「スペランカーさん!」
「い、今だ! こいつを自分ごと撃て!!」
「で、ですが……!」
「心配ない! 自分ならまだ残機がある!!」
確かに理屈ではそうだろう。
だが、風花が人を撃つということには変わりないわけで……
「や、やっぱり私撃てま――」
――デラックスボンバー~~!!!
撃てません――そう言おうとした矢先。
どこからともなく、そんな男の声が聞こえ、それと同時に光線がタンス男とスペランカーに命中、タンス男は四散した。
「……え?」
突然目の前で起きたことに呆然とする風花。
そして、その風花の横では、何故か総統が激しく動揺しており――
「そ、そ、そそそそその声は……!!!」
そうとは振り返った先には、期待にもれず例の男が奇妙な車の上で立っていた。
「そうだ~私がデラックスファイターだぁ~!!!!」
「デ、デデデラックスファイター!」
デラックスファイターと名乗ったマスクを被ったアメコミヒーロー風の男は、総統には見向きもせずに風花の方へと近づく。
「いやぁ、お嬢さん危なかった。後もう少しでこの怪物と悪の権化にやられるところだった」
「……え? 悪の権化……?」
「えぇ、そうです! そこにいる男、何を隠そう鷹の爪団などという悪の秘密結社の……あぁ、説明が面倒だ! こうなったらデラックs――」
「ま、待て、デラックスファイター! こ、ここは穏便に行こう。な!」
「…………………………やだ! デラック――」
「わわわわわ、待て待て! それじゃ、こうしよう。このバトルロワイアルを終わらせるまで世界征服はしない。な、それでいいだろ?」
「………………デラkk――」
「待て待て待て!!! それじゃ、ワシのポケットマネーをやる! それでバトルロワイアルを終わらせるまで仕事をしない! それでいいだろ?」
「……マネー、マネー……お金……」
「ちゃんと日本円じゃ」
「……で、いくら位持っているんだ?」
「…………2000え――」
「デラックスボンバー!!!!」
「やっぱりダメかぁー!!!!」
――放送が流れたのは、宍道湖でキノコ雲が発生するのとほぼ同時刻であったようだ……。
シャキーン!
――to be continued!
【島根県宍道湖畔 2日目 13時】
【総統@秘密結社鷹の爪】
[状態]:優しく殺して優しく殺して…………
[装備]:2000円 桐箪笥(中身無し)
[思考] こんなアホな政策を実行した安部に本当の世界征服を見せてやる
【スペランカー@スペランカー】
[状態]:残機26
[装備]:ソニックガン ダイナマイト10本
[思考]:自分が死んでも代わりはいるもの
【山岸風花@ペルソナ3】
[状態]:何が何だか
[装備]:召還用銃 44マグナム
[思考] え?え?ええええ?
【デラックスファイター@秘密結社鷹の爪】
[状態]:そうだー私がデラックスファイターだー!
[装備]:アンパンマン号 デラックスマスク
[思考]:悪人には制裁を(場合によっては示談に応じる)
【怪人タンス男@秘密結社鷹の爪 死亡確認】
最終更新:2006年12月19日 16:25