「食事禁止か……結構厳しいルールだねえ」
第十回放送を聴いたグッチさんたちは一様にため息をついた。
こんな理不尽な放送を、あと何度聞けばいいのだろう。
「それで、つまりかがみちゃんは6/って人を探してて、その途中でドラゴンになっちゃったんだね」
「まあそうよ」
ハッチポッチステーションの売店の中で、グッチさんとジャーニーとエチケットじいさんはかがみを囲んで話を聞いていた。
なおジャーニーはお尻に座薬を挿しながら話を聞いている。
どうにか落ち着いたかがみがたどたどしく語った話を総合すると、彼女は本当は人間の女子高生で
何かの弾みでドラゴンの姿になってしまったらしい。
ちなみに気絶していてほとんどの放送を聞き逃しているらしく、自分たちが名指しで主催に指名されたことも知らないらしかった。
「そりゃあ、早く元に戻る方法を考えないと大変だねえ」
「うん……でもそれより先に6/と合流しようと思うの。田村さんと一緒っていっても、あいつは良く人に襲われるから……」
「へえ~。随分心配してるんだねえ」
「ば、ち、違うわよ!! ただ、あいつが死ぬと私も色々と困るから!!」
「なんや姉ちゃん随分と素直やないのう。女の子は素直が一番、これ、エチケットやで~!!」
「う、うるさい!! ほっといてよ!! てゆうかそんなんじゃ無いったら!!」
顔を赤くして否定するかがみとそれをからかうエチケット爺さんに聞こえないようにグッチさんがジャーニーに耳打ちする。
(ねえジャーニー、この子と6/って、さっきの放送で言ってたツンデレコンビだよね?)
(うん、まあそうだと思うよ)
(だったらさあ、今油断してる隙に襲い掛かって縛って主催のところへ持ってっちゃおうか?)
「だ、ダメだよグッチさん!!」
ジャーニーが突然大きな声を上げたので、かがみとエチケットじいさんも驚いて振り向く。
「どうしたの、急に?」
「い、いや何でもないよ」
グッチさんは笑顔で誤魔化しながらジャニーの顔を引っ張り寄せた。
(ちょっと、なんで反対するんだよ?)
(だ、だって、……そう、このままかがみさんに協力するフリをして6/さんを探したほうが早く見つかるんじゃない?)
(お!? そうか、わかったよジャーニー。かがみちゃんに協力するフリをしておいて、もしツンデレコンビが揃ったら
主催の所へ連れていくわけだね?)
(そ、そうそうさすがグッチさん!! 味方を騙すにはまずは敵からっていうからね!!)
(いやいやジャーニー、君も中々ワルだねえ、ハッハッハ)
「これ、人の目の前で内緒話をしない!! これ、エチケットやで!!」
エチケット爺さんが杖を振り回しながら二人の会話に割って入る。
「ああ
ごめんごめん。それよりエチケット爺さん、ちょっと耳を貸して?」
グッチさんはエチケット爺さんに、さっきジャーニーに聞いた『計画』を打ち明けた。
(おお、ほら中々ナイスな案やなあ)
(だろ? エチケット爺さんも上手く演技してくれよ?)
二人は顔を見合わせて笑い合う。
「ちょっと、人の前で内緒話ばっかりしないでよ!! 感じ悪いわねえ!!」
流石にかがみも怒り出すが、グッチさんはあせらずに笑顔で誤魔化す。
「いやいや、これからどうやって6/さんを探そうかって相談してたんだよ」
「え? あんたたちもあいつを探すの手伝ってくれるの?」
「もちろんさ!! 僕たちはもう仲間だよ、ねえジャーニー?」
「あ……うん……」
かがみの顔を見たジャーニーは、何故か気まずそうに顔を背けた。
「そっか……ありがとうね。あいつに会えたら必ずお礼はするわ。それと、さっきは急に襲っちゃって、ごめんね」
ジャーニーに微笑みかけるかがみ。それを見たジャーニーの鼓動が不意に高まった。
「ようし、そうと決まれば早速出発だ!!」
「善は急がば回れ!! これ、エチケットやで~!!」
こうして、ハッチポッチステーションから三人の人間と一匹のドラゴンが出発した。
(グッチさんにはああ言ったけど、グッチさんたちは本当にこのドラゴンを主催者に突き出すのかなあ?
そしたらこのドラゴンは……かがみさんは……)
一行の最後尾を歩きながら、ジャーニーは一人悶々としていた。
(いや、やっぱりここはみんなのために主催者に従うべきだ。それに、かがみさんにはもう大切な人がいるんだ。
僕の役目は、その人のところへ彼女を届けるだけでいい)
そう自分に言い聞かせ、自分の気持ちを誤魔化そうとするジャーニー。
「ああ、でも、でも……さっ肛門に差し込まれたかがみさんのち××の感触が……
あの暖かさが……忘れられないよ……」
彼の独り言は、誰に届くことも無く舞い散る雪の中に消えていった。