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俺がはじめてパロロワというものに触れたのはもう随分前のことになる。
何しろ最初に読んだパロロワは初代ハカロワだった。今や古典と言ってもいいような、パロロワ黎明期の傑作である。
百人を超える登場人物たちが織り成す命のやりとりに、時間も忘れて読みふけってしまった。
登場していた作品などほとんどプレイしたことも無かったにも関わらず、だ。
理不尽な殺し合いの中で生まれる葛藤、様々な形で崩壊する絆、打ち砕かれる希望、血と暴力、
そしてその中ですら美しく輝く人間の意志。
俺は、そんな話を書けるような人になりたいと、いつしか思うようになったんだ。

それから何度か、パロロワの開始時期に立ち会った。
新しいロワスレが立てば目ざとく見つけ、作品や出場者の投票に参加したり、開始するための議論に野次馬根性で参加したり。
そういえば、俺の提案で議論がいい方向に進んだこともあったっけ。
いや……無かったかな。
ともかくもそうして幾度と無く新規ロワの誕生に立ち会った俺だが、そのロワが起動に乗った瞬間に
俺とそことの関係は終わってしまうのだ。
参加作品を全部知らないからとか、他の書き手さんのレベルが高いから気がひけるとか
……そんな理由をつけて、俺はとうとう一度もそういったまともなロワには書き手として参加しなかった。
そんなことを何度か繰り返して、俺は最後にはやはり旗揚げ時から見ていたアニロワ1stに読み手として居ついた。
そこはそれまでに無かったほどの盛況ロワであり、一読み手の俺などいてもいなくても何の違いも無かったはずだ。
その頃の俺はもうかつて抱いた夢など忘れて、「読み手」という立場に安住していた。
「書き手」に回れば煩わしいことや辛いことがいくつも待ち構えているということはもうその頃は承知していた。
そしていつしか、「もういいや、書き手になんかならなくても」と思うようになった。
このままこの楽しく束縛の無い立場にいればいいと。

そんな俺にとって最大の転機になったのは、アニロワ1stの余波で偶然――この言い方が適切かどうかはわからないが――
始まった今までとは全く違ったタイプのロワ、『カオスロワ』だった。
このロワが俺に与えた衝撃は大きかった。
今まで俺がロワに出したかったけど出せなかったキャラを出せる。
今までのロワでは許されなかった展開でも問題なく通る。
そして何より、俺のような文章力もクソも無い書き手でも受け入れられる。

そりゃあ、最初はただの暇つぶし程度のつもりだった。でも、SSを投下すればするほどに俺はカオスロワにのめりこんでいった。
何しろここでは、俺があれほどなりたかった「書き手」にこんなにも簡単になれるのだから。
おまけに、修正議論その他の他の書き手氏に付き物なトラブルとも無縁なのだ。
俺はいつしか、そのロワでは(トリップ付で投下した書き手に限定してだが)最多の投下数を誇るようになった。
この時、俺はこのロワをただの息抜きではなく、今後俺が他のロワに進出するための足がかりにしようとしていたのだ。
俺は文章力や構成力の練習をしているつもりでいたんだ。
かつて捨てたはずの「書き手になりたい」という夢が、俺の中で再び芽吹き始めた。

しかし、それは適わなかった。
いくつものカオスなSSを作り出した俺の頭は、とうとう一本の真面目で完成度の高いSSすら生み出してはくれなかった。
カオスロワ史上に確実に足跡を残した俺のトリップは、とうとうたった一箇所の他のロワにすら進出することを許されなかった。
そしてカオスロワ2が始まると同時に、俺にとっての地獄の日々が始まった。
俺はそれ以来、「書き手」としてSSを書く暇すら与えられないまま、数々のロワを転戦する目に会うことになったのだ。
これは身の程知らずな夢を見た罰だったのか、それとも……
それから更に色々あって、俺はカオスロワ以外でも「誤解フラグ王」の名で呼ばれるようになった。

そして今、俺は豪華客船の中にいる。
「おいかがみ、いつまで着替えにかかってんだ?」
呆れて問いかけた俺の声に、今の俺と同じ声が答える。
「ちょっと待ってよ、これ私にはきつすぎてなかなか入らないんだから……」
かがみは明らかにサイズの合わない水着を無理矢理身に付けようとしていた。
これは俺の支給品の中に入っていた泉こなたのスクール水着で、今のかがみの「全裸」という状況を打開するために
着させることにしたのだが……
「ふう……なんとか入ったわよ」
そう言うかがみだが水着が胸やら尻やらに食い込んではみ出さんばかりになっており、まあ、なんだ、その、
一言で言えばエロかった。
全裸よりもよっぽどエロく見えるのはなんでだろうな。
「ふん……まあ、そんなんでも何も着てないよりはマシだろ」
正直、何も着てないほうがマシな気がしたのだがとりあえずそう言っておく。

――漫画の登場人物と普通に言葉を交わしている。
こんなありえない状況にも、いい加減慣れてきた。
とくにこの柊かがみとはこのカオスロワ4が始まって以来ほとんどずっと行動をともにしているので、
今では俺にとっては実在の人物と変わらないくらいリアルな存在として感じられる。
にしても、どうせらき☆すたキャラと行動をともにするならみなみのほうが良かったのに……
言っとくがみなみは俺の嫁。
「じゃ、行くか。とりあえず大浴場に」
かがみと同じ姿をしている俺の髪型はツインテールから、後ろで一本に縛ったポニーテールに俺自身の手で変えられている。
変えた理由は第三者が見た時にかがみと見分けが付くようにということと、動き回るにはこっちのほうが邪魔にならないという理由からだ。
制服のスカートも結構動きにくいので、できれば早めにズボンを手に入れて着替えたい。
「なんか、改めて見るとやっぱり変な感じよね、自分自身が目の前にいるって……」
かがみが腰に手を当てて呟く。
「男なのに女の体に変身させられた俺のほうが違和感バリバリ感じてるぜ。この姿じゃ立ちションだってできやしない」
「ば、ばかっ、何言ってんのよ!! 私の姿でそんなことしたら殺すからね!!」
「男の肛門にポッキー突っ込んだヤツのセリフとも思えんな」
こんなやり取りももう何度目になるだろうか。俺がため息をついた時、その口の端は緩んでいたのかもしれない。

これは俺にとっては三度目のロワ参加。どうも異世界の俺は更に別のロワにも参加してるようだが、まあ気にしないでおこう。
俺は結局、憧れていた「書き手」にはなれなかった。
ずっと憧れていた称号には、とうとう手が届かなかった。
代わりに俺に与えられたのは「参加者」としてロワに参加するという贖罪。
だったら甘んじて受けよう。かつて「書き手」として参加していたカオスロワを、「参加者」として戦い抜いてやろう。
例えその先に何が待っていたとしても。
俺はスカートのポケットから一つのコインを取り出した。船室の中で見つけた外国の硬貨だ。
俺とかがみは一つの約束をした。
これから先、誰かと出会う度にこのコインを投げ、もし表が出れば味方とみなし接触する。
もし裏が出たなら、その誰かを敵とみなして逃げるか、それが出来ないなら戦う。
我ながら無茶苦茶な行動方針だなとは思う。しかし、ここはカオスロワ。
このくらいの予測不可能性はむしろいいほうに転ぶ可能性がある。誤解フラグの蔓延だって防げるかもしれない。
かがみも渋々ながら納得してくれた。彼女もわかっているのだろう。
今までのような『対主催』一本気では、もはや俺達の置かれている状況は打破できないと。
俺はコインを右手の指で弾き、左手の掌の中に落とした。
表裏は確認しなかった。

【カオスロワ4thセプテントリオン編/客室(三階)】
【沈没まであと23時間30分】
【◆6/WWxs9O1s氏@現実】
[状態]:変身中(柊かがみ) ただし髪型はポニーテール
[装備]:コイン一枚 他にも何かあるかも
[道具]:支給品一式
[思考]
1:建前:誰かと会うたびにコイントスを行い、その結果によって行動を決定する
  本音:???
2:建前:かがみめ、このあと尻百叩きだ
  本音:かがみと無事合流できたので本当は抱きしめてあげたい
※三階に大浴場があるのを確認しました
※船内の地図の大部分は頭に入っています。また、救命ボートは多分海面に近い場所にあると考えています

【柊かがみ@らき☆すた】
[状態]:泉こなたのスクール水着を着用 きつい
[装備]:不明
[道具]:支給品一式
[思考]
1:建前:もっと犯りたい こなたやつかさはいないのかなー
  本音:なんか異常事態だしさすがにレイプは自重
2:◆6/WWxs9O1s氏に自分の非は謝る
3:救命ボート探しは◆6/WWxs9O1s氏に一任する
最終更新:2008年05月07日 13:05