さわ子「アタシ復活ー…」
さわ子「みんなは…?」
さわ子「書き置き?」
さわ子先生
みんなで自然公園に行ってきます
昼食は台所に用意してますので、チンして食べて下さい
さわ子「お昼ご飯何かしら」
さわ子「チャーハン…のみ?」
…
澪「結局みんな夕方まで寝てたな」
紬「ちょっともったいない気もするけど」
唯「俺は十分満足だけどなー」
律「また冬休みも合宿開けばいいしな」
紬「そうねー」
澪「その為にも、ライブば成功させないとな!」
律「明日からまた頑張ろうな!」
唯「ああ!」
…
ガチャッ
律「ただいまー」
さわ子「おかえりッ」
澪「ひっ!?」ビクッ
律「さわちゃん…脅かすなよ」
さわ子「私にチャーハンを用意してくれたのは誰かしら」
律「あ、私私。おいしかったでしょ?」
さわ子「ええ…とっても」
律「そりゃ良かった」
さわ子「だからね、りっちゃん…残りのチャーハンは自力で食べきってね」
律「へ?」
律「さわちゃん…こんなに大量のチャーハンどうしたの?」
澪「お前が作ったんだよ」
さわ子「いくら美味しくても、単品で二食連続は嫌よ」
律「ゆ、唯手伝ってよー」
さわ子「唯君!甘やかしちゃ駄目よ!」
唯「や、先生も甘やかされてましたけど。昼飯用意してもらってたし」
律「先生!」
さわ子「タッパーを用意しましょう」
澪「ほら、早く帰り支度しろー」
…
ガタンゴトン…
澪「…」
律「…」
紬「…」
唯「うう…重い…」
さわ子「ぐーっ」
唯「さわ子先生…重いって…」
澪律紬(先生…邪魔)←対面
…
唯「ただいまー」
憂「お兄ちゃん、おかえり」
唯「憂、留守番ありがとう」
憂「合宿楽しかった?」
唯「ああ! …そうだ、これお土産」
憂「ありがとう!」
唯「風呂出来てる?」
憂「うん、入って」
唯「サンキュー」パタパタ
ガサガサ
憂「…チャーハン?」
…
唯「うーん…音がなんかおかしいなぁ」
唯「あ、弦がサビてる…」
唯「弦って交換出来るもんかな、安いのかな…」
唯「澪に聞…いや、たまにはみんなに頼らずなんとかしよう」
唯「店員さんも聞いてって言ってたし、楽器屋に行こう」
…
唯「あづい…」ダラダラ
ウイーン
唯「すずしい」
「いらっしゃいませ」
唯「あ、どうも」
「今日はお一人ですか?」
唯「ええ、ちょっと弦がサビてて…」
「交換ですね、かしこまりました」
「随分痛んでますね…」
唯「あはは…お恥ずかしい」
「いえ、使い込んでるのはいい事ですよ」
「弦の交換の他のメンテナンスもついでにしますので、少々お時間をいただきます」
唯「よろしくお願いします」
唯「あ…ギターがバラバラに…」
…
唯「何につかうんだろ…コレ」
唯「こっちはピックで、こっちが弦か…」
唯「うーん、ギター用品の知識もつけないt」ドンッ
「きゃっ」
唯「あ、すみません!」
梓「こちらこそ、余所見してて…あ」
唯「あ、腹ペコ少女」
梓「褒められてるのか悪口なのか悩む呼称は止めて下さい!」
…
梓「駄目じゃないですか、ちゃんとメンテナンスしないと」
唯「すみません…」
梓「練習もいいですけど、ギターのコンディションを良く保つのもギタリストには必要な技術ですよ」
唯「反省してます…」
梓「あっちにギターの手入れの本が売ってるんで、買ってみたらどうです?」
唯「はい…」
梓「…あの、どうかしました?」
唯「クーラー寒い……」
梓「えっ」
唯「上着貸してもらっちゃって、何から何まですみませんねぇ」
「いいえー」
梓「じゃ、行きますか」
唯「へ?」
梓「へ? じゃないですよ。ギターのメンテグッズを見に行くんです」
唯「俺も?」
梓「へ? 俺?」
唯「えっ」
梓「えっ」
…
梓「こっちが手入れグッズのコーナーで、これが手入れやグッズ、バンド情報の載ってる本」
梓「工具を持ってないならこの辺のセット品がお得です。あと、ピカールに、弦に…」
唯「ねえ」
梓「はい?」
唯「そんなにお金無いんだけど…」
梓「え」
梓「あのー、そんなに高価な物じゃないんですけど…」
唯「でも、今日のメンテ代もギリギリ捻出した次第で…」
梓「貯金は?」
唯「ないです…」
梓「無駄遣いしてたんですね」
唯「いや、無駄遣いなんて決して」
梓「じゃあなんで文無しなんです? ギターが大切じゃないんですか?」
唯「大切です…」
「お客様、平沢さんはとてもギターを大切にされてますよ」
梓「…店員さん」
「平沢さんがギターを買いに来た時の姿、とても印象に残っています」
「レスポールをじぃっと見て、動かないんです」
「おもむろに立ち上がったかと思うと、店の外に走っていったんです」
梓「どうしてですか?」
唯「いやぁ…」
「ギター代を下ろしに行ったんですよ」
梓「え!? 一括ですか?」
「次に来た時には15万円握り締めてましたよ」
唯「お恥ずかしい…」
梓「へ、変な方向に凄い…」
梓「それでお金なかったんですか」
唯「前借りした分もあるからしばらく小遣いなくて…」
梓「そうだったんですか…」
「レスポールを手にした時の平沢さんの笑顔は、それはいい笑顔でした」
「そして今日、4ヶ月ぶりにレスポールを見て、お引き渡しして良かったと思いました」
梓「…」
「こんなに使い込んでもらって、楽器も本望だろう、と」
唯「や、止めてくれよ…照れるじゃないか」
梓「あ、赤くなってる」
唯「う、うるさいっ」
「はは…、と、メンテナンスが終わったみたいです」
「どうぞ」
唯「ありがとうございます」
唯(ごめんな、次はちゃんと俺の手でメンテナンスするから)
梓「…」
「ありがとうございましたー」
梓「平沢さんって変わってますね」
唯「そう?」
梓「そうですよ。音楽も楽器も、ギターにも余り興味ないっていうか」
唯「ギターに興味はあるよ」
梓「そのレスポール限定ですよね。」
唯「そ、その通りです」
唯「キミは音楽もギターも詳しいんだね」
梓「あずさ、中野梓」
唯「梓ちゃん」
梓「私は音楽が好きですし、上手くなりたいから演奏以外もいろんな事を勉強します」
梓「平沢さんは…違うんですか?」
唯「俺はこのギターと、軽音部のみんなと楽しく音楽したい。ただそれだけ」
梓「楽しく音楽するには練習が必要じゃないですか」
唯「うん、そういう手もある」
梓「手って…!」
唯「誤解される言い方だったね、ごめん。でも、さっきの梓ちゃんの言い方だと、ギターが上手くなるのが目的みたいに聞こえたんだ」
梓「!」
唯「俺なんて始めて4ヶ月の新米だし、梓ちゃんが上手くなるのが目的で頑張ってるなら、かなり失礼な事言ったかも知れない」
唯「メンテもだし、演奏もまだまだ勉強しないといけない事があるのもわかってる」
唯「でも、俺は楽しく音楽するっていう大前提は変えたくないんだ」
梓「…」
唯「…生意気言ってごめん」
梓「…ホント、平沢さんは何にも知らないのに生意気です」
唯「う…」
梓「でも、考え方がシンプルでうらやましいです」
梓「ちょっと、本当にちょっとだけ関心しました」
唯「あ、ありがとう」
梓「ライブ」
唯「え」
梓「桜高のライブ、見に行きますから…失望させないで下さいね」
唯「…うん、期待してて」
梓「じゃあ私あっちなんで」
唯「また、縁があったら」
梓「…」ペコ
タタタッ
唯「変わった娘だったなー」
梓「変わった人だったなぁ」
…
カチャッ
梓「ただいまー」パタン
ポスン
梓「音楽を楽しむ…か」
…
唯「ただいまー」ガチャッ
憂「おかえり…お兄ちゃん、なんで厚着してるの?」
唯「あ!? どうりで暑い訳だよ…」
…
ガチャッ
唯「おはよー」
唯「ふふふ…一番乗りか…」
カチャッ キュッ キュキュッ
ジャヂャーンッ
唯「…ふ、カイカン」
ジャッジャッジャッジャッジャンッ
ジャーンジャカジャカジャガジャガジャーンッ
ジャン
唯「ふう…」
唯「みんな遅いなぁ」
澪「もう来てるけどな」
唯「えっ」
紬「素敵な歌声だったわ」
唯「いつから!?」
律「カイカンあたりから」
唯「」
澪「夏休みも残り少ないからな、1日1日大切にいこう」
紬「そうね、学校が始まったら練習は放課後に限られるし」
律「ほら唯、始めるぞー」
唯「ハズカシイ」
澪「…ちなみ合宿の時のも聞こえてたぞ」
唯「イヤー」
律(面白い)
澪(面白い)
紬(かわいい)
…
澪「あ、唯のギター弦張り替えたんだ」
唯「ああ、弦が痛んでたから」
律「へえ…ちゃんとメンテしてんだ」
唯「いや、今回は店員さんにやってもらった」
澪「じゃあメンテも練習しなきゃな」
唯「ああ、そうだな」
律「お? なんかやる気じゃん」
唯「ギターを大切にしろって、先輩に言われたからさ」
澪律「先輩?」
…
ジャンッ
澪「今の良かったんじゃないか?」
紬「うん、澪ちゃんとりっちゃんのリズムがバッチリだったし」
律「唯のギターもちゃんとコントロール利いてたしな」
唯「そ、そうか?」
澪「ああ。一旦休憩にするか」
律「賛成ー」
紬「お茶入れるわね」
ブーゥン
唯「アアアアアアアスズシイイイイイ」
律「唯ー、扇風機独り占めすんなよー」
唯「ワァァレワレワァァァチキュゥゥジンダァァアアアア」
澪「知ってる」
紬「はい、お茶」
律「サンキュー」
澪「ありがとう」
紬「唯君も飲みましょ?」
唯「イマイクウウウウウウ」
唯「んー、マンダム」ズッ
律「あ、そういえば、合宿の写真できたぞ」
紬「わぁ、見せて」
律「ほれ、欲しいのは後で焼き増しするから」
最終更新:2011年04月30日 18:13