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唯「……ん」

寒い――、とにかく寒い。
まるで冷蔵庫の中にいるみたいだ。
さっきの温暖な空気は何処へ行ったのだろう、唯は寝ぼけて辺りを見回した。

唯「えっ――」

動けない、縛られている。
椅子の脚に足が縛られ、背もたれに体が括り付けられていた。

紬「起きた?唯ちゃん」

唯「ひっ……」

真後ろから声が聞こえてきた、紬の声だ。
唯は恐怖を取り戻し、恐るおそる真上を向いた。

紬「うふ、おはよう」

唯「――ッ」

こうして唯は、再び悪夢に目覚めた。

唯「いやあああッ!!!」

紬「なにを驚いているの?」

紬は微笑むと、唯の真正面に姿を現して腕を組んでみせた。
唯の異常な反応を起こしている様が、見ていてとても可愛らしい。

唯「いやあっ、なんで!?ここはどこっ!?」

紬「さあどこでしょう、日本ではないわ」

唯「えっ……」

唯は呼吸を忘れて、紬の顔を見つめた。

紬「ほら、もう忘れたの?言ったじゃない……あの地下室で」

唯「……」

紬「唯ちゃんの拷問はこれからスタートするの」

唯「……」

唯「はぁっ、はぁっ……」

紬は嘯いて、パチンと指を鳴らした。

斎藤が入室し、ある物を運び込んできた。
紬はそれを受け取って、中を覗いてみる。

紬「うん、これはこたえるわね」

唯「えっ、えっ!!!いやっ!!いやっ!!!」

紬「憂ちゃんも桜ケ丘に置いて行きたかったんだけど、お姉ちゃんと一緒の方が幸せだと思って……」

唯にサラダボールが向けられた。

紬「ジュースにしてみました~」

唯「――!!!」

ボールの中でグチャグチャと音をたてるそれは、もう疾うにお馴染と言える。

唯「いやあああ あああ ああああああああああ!!!!!!」

憂の臓物で作った人間ジュースであった。

唯「あああ あああああああ!!!!!!いやあああああああああ!!!!!」

紬「朝ごはんよ唯ちゃん、召し上がれ……」

唯の目の前に夥しい内臓の海が、ブクブクと音を立てる。
死別した妹の変わり果てた姿に、唯は狂おしい悲鳴をあげた。

拷問の末に、待ち受けていたのはやはり拷問――。

紬「唯ちゃんはこれから商品になるのよ、この程度で狂っちゃ話にならないわ」

プルルルルルル――。

携帯電話がけたたましく、鳴り響いた。

紬「電話みたい、じゃあ私ちょっと行ってくるわ、戻ってくるまでに全部食べさせてね」

斎藤「畏まりました」

紬はステップを踏みながら、拷問部屋を後にした。


この世界には拷問を好き好んで鑑賞する、有権者がいる。
有権者は有りとあらゆる注文をして、受刑者を痛めつけるだ。
それには受刑者を提供する者が必要、即ち紬のような”コレクター”が居ないと始まらない。
コレクション――それは拷問をしてお金を手に入れる為に必要な、受刑者の事を指していた。

紬は部屋を出て、長い廊下を見据える。

「ぎゃああああああ……」

「殺してぇぇぇぇ……」

「あああああああ……」

様々な悲鳴が廊下を包みこんでいた。
この悲鳴は今までの間で、必死にかき集めたコレクション達の悲鳴。

紬は声に出して、コレクションが増えた喜びを表現すると、注文の電話に出た。

「紬君かい?今回も頼むよ」

紬「あっ、本当ですか?ありがとうございます~」

紬「今回は如何致しましょう」

「う~ん、そうだな……」

「お任せするよ、お勧めの子はいないの?」

紬「お勧めですか?」

紬は口元をニヤつかせると、さっき出たばかりの部屋を振り返って、

紬「新商品を追加致しました、ほんの少し前に」

紬「とっても可愛いですよ、きっとお気に召すはずです……」

「そう、じゃあそれで」

電話がブツンと切れ、プーと言う音が鳴った。

紬「ふふ、さっそく出番よ、唯ちゃん……」

コレクションに選ばれたのが運の尽き、平沢唯の拷問生活はこうして幕を開けた。拷問が生み出すもの、それは金。運が良ければ地位も獲得できる、今の紬のように。
これから死ぬまで弄ばれる運命が、唯の人生の歯車を狂わせた。これからも紬の愛を一身に受け続けて。

紬「うふっ……」

残酷な微笑みを持つ、執行人のもとでこれからもずっと――。







293:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/06(月) 22:39:06.49 ID:yqMq/9/Q0
支援代わりに拷問うんちく。

最初、唯にやってた水責めは実はかなり凄惨。
長時間やっていると水で皮膚がふやけてぐちゅぐちゅに破れてしまうそうだ。


294:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/06(月) 22:40:54.24 ID:ylHx1c4uP
だがちょっと待ってほしい
水牢に長時間閉じ込めた場合
皮膚がふやける前に水死するのではないだろうか


313:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/06(月) 23:13:08.12 ID:yqMq/9/Q0
支援うんちくその2。

梓を焼き殺したファラリスの雄牛はシチリア島生まれ。
最初の犠牲者は考案者である芸術家ペリロスで
またファラリス王も民衆によってこの処刑具で殺されたというが、真偽のほどは不明だそうな。
更にこの器具が実際に使われたという証拠となるような記録も乏しく、あの有名な鉄の処女と同様
威圧目的で使われたのではないか、と言われている。


323:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/06(月) 23:37:03.11 ID:yqMq/9/Q0
拷問うんちくその3。

澪を痛めつけた、ユダの揺り籠。
SSでは吊り上げてから落としていたが
犠牲者を紐で動けないようにし、膣や肛門にそのピラミッドの先端が当たっている状態で長時間放置することも多かった。
常に筋肉に力を入れておかないと先端が体内に突き刺さるので、犠牲者は眠ることができなかった。
それにもし先端が突き刺さっても、大した傷にならないよう計算されて作られていた。

ちなみにこの器具はラテン・アメリカなので現在でも使用されている。
現代版らしく、ピラミッドに電流が流れるようになっているのもあるとか。


最終更新:2011年05月01日 01:13