唯「どうしたの、澪ちゃん? 突然大きな声で」
澪「い、いや、何でもない……」
澪(ななな、何が起こったんだ?)
唯「ふーん、変なの~」
唯「ブーンブンシャカブブンブンブーン♪」
澪「ひゃはぁぁっ!!///」ピクピクッ
澪(この感覚、自分の部屋でオn……あ、あんな事してる時と同じだ!)
律「ほほう……」ニヤリ
唯「もうっ、澪ちゃん!」
澪「うぅ……」
唯「人が気持ちよく歌ってる時に邪魔するのはマナー違反だよ!」プンスカ
澪「す、すまん、唯……」
紬「唯ちゃん、さっきから歌ってるその曲は何なの?」
唯「『ミツバチ』って曲だよ、私のなかで最近のベストヒット!」
紬「なんだか口ずさむだけで楽しくなっちゃう素敵な曲ね!」
梓「……唯先輩、ムギ先輩、それ皮肉じゃなくて本気ですか?」
紬「もちろんよ、ブーンブンシャカブブンブーン♪」
澪「はうんんんんん!!///」ピ-ンッ
澪(とうとう、イってしまった……)ハァハァ
唯「んもうっっ!!」プンスカ
澪「あ、ご、ごめん……」ハァハァ
梓「澪先輩……?」
紬「澪ちゃん……?」
澪「……ちょっと、トイレに行って来る」ガタッ
律「あっ、私も行く~」ガタッ
スタスタ
律「それで、さっきからどうしたんだ、澪?」ニヤニヤ
澪「くそっ、律……」ハァハァ
律「まさかとは思うけど、さっきの呪いが本当に……」ニヤニヤ
澪「そ、そんな訳ないだろっ!」
昼休み!
律「……あそこにいるの、オカルト研の人じゃないか?」
澪「あっ、本当だ」
律「どーもどーも、学園祭の時はありがとう」
オカ研1「……こんにちは」
律「今は何してんだ?」
オカ研2「世界各地の呪いについての考察、まとめていたところ」
澪「の、呪い!?」ビクッ
律「おー、どうした澪。怖いのか?」
澪「そそそ、そんな訳ないだろ。呪いなんてないさ、呪いなんてうそさ」
律「『おばけなんてないさ』ってか……。さっそく逃避に入ったな」
オカ研1「……嘘、じゃない」
律「あー、ごめんな。気を悪くしないでくれ。澪は幼稚園児並みの怖がりだからさ」
澪「何だよ、その言い方! わ、私は別に怖いんじゃなくて、そんなもの信じてないだけで」
オカ研1「……呪いは実在する」
オカ研2「どうしても信じないと言うならば、その存在を証明してみせる」
律「証明するって、どうやって?」
オカ研2「実際に呪いをかけて、その効力を身をもって知ってもらう」
澪「えぇっ!?」
律「おいおい、大丈夫なのか!?」
オカ研1「……大丈夫」
オカ研2「あなたにかけるのは、一番軽い効力の呪い。魂も穢れないし、すぐに解ける」
律「うーん。よくわからないけど、お試し感覚のかる~い呪いなんだな」
オカ研1「……そう」コクリ
律「それならいいんじゃないか、澪。かけてもらおうぜ」
澪「へっ!?」
律「呪いなんて信じないんだから、かけられても平気だろ?」ニヤニヤ
澪「ももも、もちろん! 呪いなんて迷信に決まってる!」
律(こいつはどうしてオカルト研の前でそういう事を言っちゃうかな……)
オカ研1「……そう」ムスッ
オカ研2「わかった。これから実際に呪いをかける」
律「イェーイ、やっちゃってください!」パチパチ
澪(もう、後には引けなくなっちゃったーーー!)
オカ研1「汝、悦楽に溺れし弱き者の……」ブツブツ
オカ研2「愚かなる人間の魂を喰らいて……」ブツブツ
律(なんか呪文のようなものを詠唱していらっしゃる……)
澪(さっき髪の毛を抜かれて、ちょっと痛い……)
オカ研1「……ふぅ」
オカ研2「終わった。秋山澪には呪いがかけられた」
澪「ひぇっ!」ビクビク
律「お疲れ様、どんな呪いなんだ~?」
オカ研1「……快楽天と呼ばれる呪い」
オカ研2「言霊によって、秋山澪は悪魔の快楽に身体を蝕まれる」
律「ふむふむ、その言霊ってのは何だ?」
オカ研1「……呪文のようなもの」
オカ研2「ある種の言葉には霊力が宿る。鍵となる言霊は、」
再び放課後!
律『Bu~n』
澪「ひぃっ!?///」ピクンッ
律「……って聞くと、全身を快感が駆け巡る。そんな呪い、ある訳ないよな?」ニヤニヤ
澪「……そ、そんなもの、ある訳ないだろっ!」
律『Bu~n』
澪「はぁっ!?///」ピクピク
律「あはははは。澪の反応、面白いなぁ~」ニヤニヤ
澪「く、くそっ……」ハァハァ
律「安心しろよ、10日も経てば自然に呪いが解けるって言ってたし」
澪「10日って、結構長い……」
律「さて、トイレに着いた」
澪「……」
律「どうした、早く済ませてこいよ?」
澪「へ、変な事するなよ」
律「何もしないって、さぁさぁ」
澪「うぅ……。大体なんで、トイレまでついて来るんだよ」
バタン
律「……」
澪「……」
律「ガンバンベ! 踊れミツバチ、Hey♪」
ガチャ
澪「やめろぉっ、その先を歌うなぁっ!!」
律「きゃはっ、冗談だよ、冗談!」
紬「……あっ、2人とも帰って来た」
唯「トイレタイムが長すぎだよ~」
律「悪い悪い、澪がすっごい便秘でさ~」
澪「そうやって根も葉もない話ばっかりするな!」ゴチン
律「はべっ!」
梓「それより澪先輩、律先輩。どうか唯先輩とムギ先輩を止めてください」
澪「ん、何かあったのか?」
梓「次のライブで『ミツバチ』を演奏するって言い出して……」
澪「なにぃっ!?」
唯「いいじゃん、やってみようよ~」
紬「他のアーティストの曲をカバーするのも楽しいわよ?」
梓「カバーはいいですけど、よりによってあんな酷い曲じゃなくても!」
律「いいんじゃないか、私は賛成~」ニヤニヤ
澪「り、律っ!」
律「実は私もあの曲が大好きなんだよね~」ニヤニヤ
澪「お前、昨日まで『糞曲だ』ってボロクソに批判してたじゃないか!」
唯「りっちゃん隊員もわかってくれますか、この素晴らしさを!」
紬「それじゃあ早速、今日から練習してみましょうか!」
梓「そ、そんな……」
澪「だ……」
律「だ?」
澪「ダメぇぇぇぇぇぇっっっ!!!」バンッ
律「うわっ、澪がキレた!」
澪「ヤダ、ヤダ、ヤダ! 私は絶対に認めない!」ウルウル
律(目に涙を浮かべて、どんだけ必死なんだ……。って、当然か)
唯「えー、いーじゃん、やろうよー。ブーブー」
澪「あふぅ!!///」ピクンッ
律(あっ、唯のブーイングに反応した。不完全でも言霊に認識されるんだな)
紬「私も、ブーブー!」
澪「はぁん!!///」ピクッピクッ
律(ムギ、えらい楽しそうだけど、本当にブーイングの意味わかってるのかな?)
梓「澪先輩、さっきから様子がおかしいですけど、大丈夫ですか?」
澪「と、とにかく、私は反対だからな……」ハァハァ
律(涙目で顔を真っ赤にした澪の表情、エロいなぁ)
唯「澪ちゃんがそういう態度なら、私だって意地を張っちゃうよ!」
梓「唯先輩、何をする気ですか?」
唯「これから何の曲をやっても『ミツバチ』の詞で歌うからね、私!」
梓「……はぁ?」
唯「スタンバイOK、行くよギー太!」
澪「……な、何を?」
唯「ブーンブンシャカ、ブーンブンシャカ、ブンブン♪」ジャンカジャンカ
(キミを見てると、いつもハート、DOKI☆DOKI)
澪「あふあぁっ!!///」ピクンピクンッ
唯「ブーリブリチャカ、ブーリブリチャカ、ビガッビガッ♪」ジャンカジャンカ
(揺れる思いは、 マシュマロみたいに、ふわ☆ふわ)
澪「ひゃうんんんっ!!///」ピ-ンッ
律(あっ、澪がまたイったみたいだな)
梓「唯先輩、本当にやめてください。私たちの思い出を汚されたみたいで悲しいです」
唯「だってみんなが賛成してくれないんだもん~」
紬「これ、なんだか斬新で面白いかも!」
唯「でしょでしょ!?」
律「……なぁ、澪」
澪「あ、うー?」ハァハァ
律「まともに喋れないほどイきまくったか」
澪「そ、そんにゃこと」ハァハァ
律「いいか、お前が助かるには、唯たちに本当の事を話すしかないと思うぞ?」
澪「……」ハァハァ
唯「えーと、曲名は『ふわふわ時間 ~ミツバチver.~』かな」
紬「あと『わたしの恋はホッチキス ~ミツバチver.~』もいい感じね」
梓「唯先輩、ムギ先輩、私の話を聞いてましたか!?」
律「……あの調子だと、これから毎日のようにブンシャカ地獄になるぜ」
澪「はうっ」ピクッ
律「素直に呪いの存在を認めて、正直にお願いした方がいいんじゃないか?」
澪「わ、わかったよ……」
律「よしよし、いい子だ」ナデナデ
澪「うぅっ……」
律「さぁさぁ、みんな注目! ちょっと聞いてほしい事があるんだ!」
唯「ほえ?」
律「……という訳で、澪には今、呪いがかけられてるんだ」
澪「だからお願いだ、本当に『ミツバチ』だけは勘弁してほしい」グスッ
紬「そういう理由があるなら、無理にとは言えないわね」
唯「えー、でも……」
紬「唯ちゃん!」
唯「……わかったよ。澪ちゃんの呪いが解けるまで我慢する」
澪「ありがとう、みんな……」ホッ
律「これで快感地獄から救われたな、澪」
梓「でも律先輩、澪先輩が悶絶するのを見て楽しんでたんじゃないんですか?」
律「いやー、なんか澪が苦しそうだからさぁ。かわいそうに思えてきちゃって」
梓「……律先輩、手ぬるいです」ボソッ
律「……えっ、何か言った?」
梓「いえ、何も」ニコッ
澪「じゃあ練習しようか。『ミツバチ』じゃない、普通の曲な」
律「えーっ、もうちょっと休憩しようぜ。学園祭も終わったんだし」
澪「学園祭が終わっても、卒業しても、このバンドは続いていくんだぞ」
律「……何だよ、そんな普通にいい話しやがって」
澪「こういう時こそ、ちゃんと練習する事が大切なんだ」
紬「うん、わかった。食器を片付けたら練習に入るわ」
澪「ありがとう。私は先に始めてるよ、今日はまだ一度も弾いてないんだ」
ブォ-ン
澪「ひゃぁっ!!///」ピクンッ
紬「澪ちゃん、どうしたの?」
澪「い、いや、何でもない……」
律「今の反応、まさか……」
澪「も、もう一回、弾いてみよう……」オソルオソル
ブォ-ン
澪「きゃふぅっ!!///」ピクピク
律「やっぱり、そういう事か」
紬「りっちゃん、何が起こってるの?」
律「どうやらベースの音が『Bu~n』の言霊として認識されちゃうみたいだ」
紬「つ、つまり?」
律「澪がベースを弾くと、澪は限界までイき続けるって事だ!」
澪「そ、そんなぁ……」ヘナヘナ
唯「自分で自分をイかせるなんて、まるでオn」
律「唯、その先は言わない方がいいと思うぞ」
澪「これじゃ、練習なんてとても出来ないよ」
梓「えっ、練習しないんですか? 澪先輩らしくない」
澪「……梓、一連の流れを踏まえてそれ言ってる?」
律「そうだな、今日はなんか凄くみんなで練習したい気分だ!」ニヤニヤ
澪「律、お前は普段そんな態度じゃないだろ!」
紬「キーボード、準備できました」
唯「こっちもOKだよ、あとは澪ちゃんだけ!」
澪「……う、」
律「……う?」
澪「うわああああああああん!!」ダッ
律「あっ、逃げた」
梓「今日はもう澪先輩で遊べませんね」
律「梓、今『で』って言った?」
梓「いえ、別に」ニコッ
最終更新:2011年05月05日 21:31