古畑「えー、音楽はいいものです。落ち込んだ気分を吹き飛ばしてくれたり、
明日への活力を与えてくれる・・もちろん単純な楽しみでもあります。
ポップですとか、ジャズ、演歌、えーと・・早口のラップ・・でしたっけ?
ジャンルは様々です。さて軽い音楽と書いて・・軽音楽・・・、
軽い音楽ってなんでしょうか?例えば・・」
某日深夜~桜が丘高校~
さわ子「あ、あなた達、止めなさい!」
唯「よくもあずにゃんを・・・許さない!」
澪「梓がどれだけ苦しんだか・・先生には報いを受けてもらう」
律「紬、やってくれ」
紬「先生・・さようなら」
さわ子「待って!」
ピシュッ、ピシュッ
さわ子「うっ・・・・」バターン
唯「・・・・」
澪「やってしまったな・・・・」
律「ああ、もう戻れないな」
紬「それじゃ、みんな・・後は打ち合わせ通りに。私はすぐに制服を焼却処分しておくわ」
唯「うん」
律「澪、行くぞ」
澪「よし、じゃあまた明日学校で。大丈夫、うまくやれば絶対にバレない」
唯「やっぱり私も行くよ」
澪「駄目だ、おっちょこちょいの唯じゃ、何をしでかすか分からない。
四人の為だ。唯はすぐに家に帰るんだ」
唯「・・・うん、分かった」
律「それじゃあ行くぞ」
唯「・・・・・」
翌日午前9時半~桜が丘高校~
西園寺「えー、被害者は山中さわ子さん、この学校の教師です。
死亡推定時刻は午前3時から4時、心臓に受けた銃弾が致命傷となったようです」
古畑 「・・・・・・」
西園寺「古畑さん、どうかしましたか?」
古畑 「眠いんだよ・・・昨日遅くまで音楽を聴いていてね・・」
西園寺「そうでしたか」
古畑 「それにしても、学校で教師が銃で撃たれるとは驚きだね」
西園寺「ですので、教師、生徒は容疑者から除外してもよいかと思います。
最近、入試問題を盗んで商売にする集団もあるとされていますし、
強盗ではないでしょうか。銃声を聞いた人間もいないので
サイレンサーも付いていたと考えられます。プロの犯行ではないでしょうか」」
古畑 「んー、しかしねえ、ここは部室だろ?なんでこんな所で・・
入試問題を盗むとすれば職員室だろう。
それに被害者は真夜中に何をしていたんだろうね。」
西園寺「山中さんはこの学校の人気教師で真面目な先生だったそうです。
時には夜中まで仕事をしたり、生徒に朝まで付き合うこともあったと聞いています。
物音を聞いた山中さんが勝手の分からない犯人と
たまたま鉢合わせ、撃たれたとは考えられないでしょうか?」
古畑 「まあその可能性もあるけどね・・・最近の学校は凄いね。
部室にティーセットか・・・」
西園寺「生徒の私物だそうです」
古畑 「生徒?」
西園寺「はい、軽音楽部の生徒です。被害者は合唱部と軽音楽部の
顧問をしていたそうなので」
古畑 「彼女・・彼女達は今日は登校しているの?」
西園寺「死体が発見されたのが今日の午前八時、全校生徒の中には既に
登校していた生徒もいるようですが、事件発覚後、学校が全員帰しています」
古畑 「ふーむ・・・ありがとう。それじゃあ聞き込みは明日だね
あ、そうだ、被害者の家も捜索したいんだけど」
西園寺「住所は判明していますのですぐにでも」
古畑 「じゃあ行こうか」
~平沢家~
憂「お姉ちゃん、大変な事になっちゃったね・・」
唯「うん・・」
憂「去年のクリスマスは凄く楽しかったのに
なんでこんな事に・・
さわ子先生を殺した犯人が許せないよ・・」
唯「・・・・・」
唯(澪ちゃん達、うまく回収できたかな・・」
プルルルルルルル
唯「もしもし澪ちゃん?」
澪「唯、今周りに誰もいないか?」
唯「ちょっと待って・・・・うん、大丈夫だよ」
澪「梓の写真は回収できたよ。もう心配無い」
唯「りっちゃんは?」
澪「律は今頃寝てるんじゃないかな。
二人で帰ったのが明け方近くだったから」
唯「そう・・」
澪「大丈夫だよ唯、証拠もないし、私達が疑われることなんてまず無い。
簡単な事情聴取されて終わりだよ」
唯「そうだよね・・」
澪「それじゃまた明日学校で」
唯「うん」
唯(うまくできるかな・・事情聴取・・)
~さわ子の家~
古畑 「きれいに整頓されているねえ」
西園寺「特に怪しい点は無いと思いますが」
古畑 「ふ~む・・・楽器もたくさんあるねえ」
西園寺「音楽教師ですから」
古畑 「おや、レンタルビデオがある・・返却予定日は昨日か・・」
西園寺「何か?」
古畑 「いやね、しっかりした人は延滞しないもんなんだよ」
西園寺「たまたま忘れていたのでは?」
古畑 「そうかもね・・・・ここの鍵は?」
西園寺「管理人さんが持っているものと、
被害者の上着のポケットに入っていたものだけのようです」
古畑 「一応指紋取っておいて、後、被害者のパソコンも調べて」
西園寺「パソコン・・ですか??」
古畑 「何があるか分からないからね」
西園寺「古畑さんはこれは単なる物盗りの犯行ではないと??」
古畑 「まだ分からないけどね・・怨恨の可能性もある」
西園寺「了解しました。すぐにこちらの情報技術捜査部に連絡します」
古畑 「よろしく頼むよ」
~翌日~
唯(うまくできるかな・・みんなの足引っ張っちゃったら大変だよ・・)
西園寺「授業中失礼します。平沢唯さん、田井中律さん、琴吹紬さんは
いらっしゃいますか?」
唯(来た・・・)
律「何ですか?」
紬「授業中に押しかけてくるなんて・・」
西園寺「昨日山中さわ子さんが殺害されて件でお聞きしたいことが
あるのですが・・軽音部室までご足労願えないでしょうか?
秋山澪さんは既に部室で待っています」
律「分かりました、唯、紬、行こう」
紬「ええ」
唯(大丈夫かな・・)
~部室~
古畑「みなさんどうも~、授業中にすみません」
澪「刑事さん早くしてくれませんか、私達も忙しいんです」
古畑「まあまあそんなにあせらずに・・では始めましょうか。
ええと・・山中さんとは皆さん仲が良かったようですね。
さぞやつらいでしょう」
紬「ええ・・本当にいい先生で・・あんなに親身になってくれる先生は
他に知りません」
律「楽しい先生でした」
唯「・・・・・・」
古畑「ええと・・平沢さんでしたっけ?どうも気分が優れないようですが
大丈夫でしょうか?」
唯「!いえ・・・」
澪「・・先生が殺されてるのに大丈夫なわけないでしょう」
古畑「それにしては他の皆さんは冷静でいらっしゃる」
澪「なっ・・」
古畑「んふふ、失礼しました。話題を変えましょう。
ところで、このティーセットは誰のものですかね?」
紬「私のです」
古畑「高そうなティーセットで・・ひょっとしてお金持ちですか??んふふ」
紬「父は会社を幾つか経営しています」
古畑「そうですか・・ありがとうございます」
律「刑事さん、それが何か関係あるんですか?」
古畑「いえいえ、私も紅茶が好きでして」
澪「さっきからなんなんですか!こんなとこに呼び出して
事件に関係無い事聞いて、いい加減にして下さい」
古畑「・・・大変申し訳ありませんでした、では本題に入りましょう。
えー、私はですね、この事件、単なる強盗殺人ではないと考えています」
澪「!」
律「!」
紬「・・・」
唯(なんで・・・)
古畑「被害者に非常に強い恨みを持っている人物、
も し く は、人 物 達~
の犯行の可能性が高いと考えています」
律「・・先生は強盗殺人だって言ってたけど・・」
紬「ニュースでもそういってましたわ」
古畑「えーあくまで私がそう考えているだけです
可能性の問題として考えていただければ」
澪「馬鹿馬鹿しい、付き合ってられないな」
古畑「えーみなさんにお願いしたいのはですね、
山中さんに強い恨みを持つ人物、
も し く は、人 物 達~
を知っていれば教えて頂きたいということなのです・・」
澪「知りません」
律「知らないなあ・・・」
紬「いい先生でしたからそんなことは無いと思いますが・・」
唯「・・・」
古畑「平沢さん、何かご存じないですか??」
唯「・・知りません」
古畑「そうですか・・それは残念です」
律「もう帰ってもいいですか??」
古畑「ええ、大変ご迷惑をおかけしました。ありがとうございました」
澪「全く・・付き合ってられないよ」
古畑「あ~、みなさん、すみません、最後に1つだけよろしいでしょうか?」
澪「なんですか!」
古畑「みなさん、オリエント急行殺人事件という小説をご存知でしょうか?」
澪「・・・」
律「?」
唯「?」
紬「・・アガサクリスティですね」
古畑「んふふ~博識でいらっしゃる、さすがお嬢様ですね」
澪「・・それがどうかしましたか?」
古畑「いえどうもしません、それでは」
唯(変な刑事さん・・・)
最終更新:2011年05月06日 13:01