ぶしつ!
澪「悪いけどこの後、用事あるんだ。今日は早く上がらせてもらうぞ」
律「んー、用事って何ー?」
澪「そ、それは、あの、じょ、女子高生ともなれば、いろいろとあるんだよ!」
紬(もしかして……〇交!?)
律「あーまあ、いいか。どうせ今日も、お茶のむだけだしな」
澪「じゃあなー」
唯「じゃねー、澪ちゃん。お土産よろしくー」
澪「いや、旅行行くわけじゃないんだから……、まあ、じゃあな。また明日」
足早に部室を出て行く澪。
律「うーん、怪しい」
唯「え、何が?」
律「澪だよ、はや引きなんて、一度も無かったぜ」
梓「そういえばそうですね」
律「だろ?こりゃ、彼氏でも出来たかな」
唯「ほ、本当ですか?りっちゃん隊長!?」
律「いや、真偽の程はわからないが、かなり怪しいのは確かだ。あの、挙動不審な態度……」
唯「よし、澪ちゃんをストーキングしてみよう!」
律「おー、面白そうだな、やってみるか!どうせ練習もないしな!」
梓(こんなんで大丈夫なのかなぁ、夏の大会)
紬「面白そうねー。私もやらせてもらうわ~」
梓「え、でも、澪先輩にもプライバシーってものが……」
律「こまけぇことは(ry」
紬「こまけ(ry」
唯「こ(ry」
梓「先輩達がそういうんでしたら、じゃあ、私も……」
唯「よぅし、決まりだね!さぁ、皆のもの、ストーキングしに行くぞー」
律&紬「おー!」
まちなか!
唯「澪ちゃんどこー?」
梓「先輩、大きな声を出したら見つかっちゃいますよ!」
律「おーノリノリだな、梓」
梓「そ、そんなことありません!先輩の勘違いですよぉ」
紬「こっちにはいないわね。律ちゃん、見つかった?」
律「いいや。唯ー、そっちにいたかー?」
唯「いません、りっちゃん隊長!」
梓「こっちにもいまs……あ、いた!」
梓「いましたよ、律先輩!」
律「マジか梓!?どこに?」
梓「あそこのキムチ専門店『きむーにょ』の店頭に、ほら!」
唯「あ、本当だー」
紬「なんだ、〇交じゃないのかあ。残念」
律「おお、いたいた。でかした梓!」
唯(澪ちゃんのバイト先かな?)
梓「あ、店の中に入っていきました!」
唯「よぅし、追うぞー」
律「待て、唯!ストーキングがバレたら怒られる!」
梓「ですね。もう少し慎重に……」
唯「じゃ、私だけ行って来るよー!のりこめー!」
律「いや、そういうことじゃなくでだな………ちょ、待て唯!」
唯はたたた、と走って、きむーにょにむかってしまった。
律「あーもう!私達も行くぞ!」
梓「え、いいんですか?」
律「見つかったらそのときはそのときだ!」
きむーにょ、店内!
唯「あれーここの中入っていったのに。みおちゃんどこー?」
店員「いらっしゃいませ、お客様。どのようなキムチをお探しですか?」
唯「みおちゃん、来ませんでしたか?」
店員「みおちゃん……さあ、存じ上げませんが」
唯(あれー、おかしいな)
唯「そうですか……」
*
そのころ、関係者以外立ち入り禁止の部屋には、一人怯える少女がいた。
澪「な、何で唯がここに来てるんだ……?」
澪はきむーにょの店員の服を着ていた。
澪「ま、まあいい。店員の田中さんが何も言わない限り、ばれないからな」
澪(こんなところでバイトしてるのばれたら、私が在日だって言う確信与えてしまうじゃないか)
澪(それだけは防がないと……!)
*
唯が頭にクエスチョンマークを生やしていると、そこに一足遅れて、梓、律、紬が入ってきた。
唯「あ、りっちゃんたちも来たんだ!」
店員「いらっしゃいませ」
唯「みんなー、ここに澪ちゃん来てないってー」
梓「そ、そんなはずないですっ。私ここに入っていくの見ましたもん!」
律「ああ、私も見た」
紬「あのー、店員さん。黒のストレートでやや釣り目の女の子、来てませんか?」
店員「ああ、秋山なら―――」
店員が言うが早いか、関係者以外立ち入り禁止の扉が少しだけ開いて
そこから腕が伸びてきた。
店員「あ、秋山。この子達が―――」
その言葉を遮るがごとく、手は店員を捉えた後、関係者以外立ち入り禁止とかかれた部屋の中に引きずり込まれた。
ばたん、と扉が勢いよく閉まり、そこに残された律達は困惑した。
店員「くぁwせdrftgyふじこlp」
?「いいですか?私がここに勤めていること、言っちゃ駄目ですよ」
店員「え、何で 亜qswでfrgthyじゅきぉ;p」
?「駄目ですよ!」
と言う会話が、扉の向こうから聞こえた。
そして、関係者以外立ち入り禁止の扉が再び開き、焦点の合ってないうつろな眼をした店員が出てきた。
店員「そのような名前は一切存知あげません」
唯達「………」
棒読みの口調なのが、唯達の確信を一層深くした。
まちなか!
唯「これは、うん……」
律「まあ、大したことじゃなかったな……」
紬「私はもっと、ブラックなことを想像してたんだけどな~」
梓「想定の範囲内ですね」
律「……、そうだな」
唯「このまま解散しようか?」
梓「そうですね。皆荷物も持ってますし」
律「よし、じゃあ今日のけいおん部、しゅーりょー」
よくじつ!
唯「あー、今日は土曜日かー」
憂「お姉ちゃん、おはよう」
時刻は正午。唯は寝巻き姿のまま、のそのそとベッドから這い出る。
唯「おはういー」
憂「じゃあ、お昼ご飯作るからまっててね」
唯「うんー。今日はチャーハンがいいなー」
憂「わかった。そうするよ」
唯(あー、暇だなー)
唯(そうだ……きむーにょ行ってみようかな)
唯(今日も澪ちゃん、働いているのかな)
唯(でも、何であそこで働いてるんだろ?)
唯(キャバ嬢とかにもなれそうだし、ソープもいけそうなのに)
唯(もしかして、本当に在日?)
唯(いやいやまさかね。第一、澪ちゃんがそうだとしても、私との友情は崩れないよ!)
窓の外では、太陽がさんさんと輝いていた。
こういう日は、外に出てみるのも悪くない、と唯は思った。
まちなか!
唯(あー、暑いなー)
唯(ういも誘えばよかったかなー)
唯(えーと、ここをこう行って、んーと)
唯(あれ、どこだっけ?)
澪「お、唯じゃないか!」
突然かけられた声に、唯はきゃっ、と驚いてしまった。
唯「み、澪ちゃん!」
澪「やほー」
唯「や、やほー。澪ちゃんどこ行くの?」
澪「私?きむーにょに………はっ!あ、あれだよ、楽器屋だよ。レフティモデルのバーゲンやってるんだ」
澪「唯は?」
唯「わ、私はちょっとそこの本屋まで…」
澪「そっか、じゃ、私こっちだから。じゃあなー」
唯の記憶が正しければ、澪の指差した方向には一軒も楽器屋が無いはずだ。
唯「じゃあねー、澪ちゃん」
そう言って、澪の背中を見送り続けて、数秒後。
唯「追跡開始するぞー。おー!」
一人小さく、天に握りこぶしを振り上げた。
唯(ああ、そうそう。この道筋だった)
唯(この道と言うことは、後もう少しで…)
唯(よし、ビンゴ!)
唯(澪ちゃんはやっぱり、きむーにょに向かってたんだ!)
唯が追跡を始めてから一分ほどして、澪はきむーにょに着いた。
澪は唯に尾行されているとも露知らず、それどころが鼻歌まで歌いながら店内に入っていった
唯(ようし!澪ちゃんをおどかしてやろう!)
澪が店の中に入って見えなくなってから数分後、唯はきむーにょへと向かった。
店員「いらっしゃいませ、今日はどのようなキムチをお探しですか」
唯「え、あ、あのキムチってどんなキムチがあるんですか?」
店員「お客様のご要望に合わせたキムチが必ずあります。納豆キムチや漬けキムチ、発酵キムチや田楽キムチ。なんでもそろっております」
唯「え、あのじゃあ……」
唯がキムチの山ってありますか、里は嫌いなんで、と聞こうとしたと同時、関係者以外立ち入り禁止の扉が開いて、中から店員の服を着た澪が現れた。
澪「お客様、いらっしゃ、い、ま……せ(唯、なんでここに!)」
唯「みおちゃん!」
最終更新:2011年07月16日 19:48