店を変え、落ち着いたところで、私は唯先輩に頭を下げた。
梓「唯先輩!本当に、本当にすみませんでした!」
梓「私・・・唯先輩に心配かけて・・・無理までさせちゃって・・・!」
唯「あずにゃん・・・」
梓「私、学園祭の唯先輩に、憧れてたんです。あんな風に輝きたいなって」
梓「皆さんが卒業して、けいおん部が廃部になったあとも、ずっとそのことばかり考えてて、いつの間にか憧れが未練になって・・・」
梓「でも、唯先輩がテレビで輝いてるのを見て、私も唯先輩みたいになりたいって思ったんです。アイドルが無理でも、せめて音楽ならって・・・」
梓「でも、独りでギターを弾いても、何も楽しくなかった。やっぱり私は、ただ、先輩たちと音楽が出来なくなってしまったことが、受け入れられなかっただけで・・・」
ああ、また私は自分のことばかりだ。
唯先輩に謝ってるはずなのに、気づいたら自分の愚痴を言ってる。
唯先輩は、私の何倍も苦しかっただろうに。
唯「あずにゃん・・・」
一呼吸置いて、唯先輩はこう言った。
唯「あずにゃん・・・私、もうアイドルやめるよ」
梓「唯・・・先輩・・・」
唯「あずにゃんが本当の気持ちを言ってくれたから、もう私がアイドルやる理由もないしね。それに・・・」
唯「・・・私ね、本気で音楽やってみたいの」
唯「アイドルってことでギターを弾かせてもらったり、歌わせてもらってたけど、やっぱり寂しいよ」
唯「あずにゃんの言うとおり、独りでやっても、面白くない。・・・仲間と、演奏したいよ」
梓「・・・」
唯「あずにゃん、一緒に・・・コンビ組まない?」
梓「・・・私なんかで・・・いいんですか?」
唯「あずにゃんとじゃないと、楽しくできないよ。あずにゃんとがいい」
梓「・・・唯先輩っ」
私は泣きながら唯先輩に抱きついた。
やっぱり唯先輩は優しくて強くて―――すごい人だ。
澪「なんだかいつもと逆だな」
紬「お二人ともラブラブね~♪」
律「ようやくこれで、一件落着かな」
澪「しかし本気で音楽やるって、具体的にはどうするんだ?」
唯「えっとね、まずは音楽の専門学校に入ろうと思うの。ギターのコードとか全然わかんないし・・・」
律「うぉーい!高校の知識のままプロ活動やってたのかい!」
紬「唯ちゃん昔から全部感覚でやってたもんねぇ」
唯「えへへぇ、どういたしまして」
梓「褒めてないですよ、唯先輩」
ようやくいつものやり取りができるようになってきた。
もし私が、数年間このやり取りを台無しにしていたのなら、また謝らなくちゃいけないな。
唯「だからね、あずにゃん。誘ったところ悪いけど、もう二年くらい待っててくれない?それまでにあずにゃんの足を引っ張らないように勉強するから」
梓「・・・私も入学しますよ。どうせ学校行ってないですし」
唯「えぇっ!そうなの!?」
なんだ、このことは憂は言ってなかったのか。
唯「じゃあ一緒の学校だね。よろしくあずにゃん♪」
学費はどうしよう・・・。また親に迷惑かけちゃうかな。
出来るだけバイトするようにしよう。
数週間後
マスコミが
平沢唯の電撃引退を報じ、ほとぼりが冷めてきた頃、私達はまた集まっていた。
澪「よしっ、これで全員だな」
紬「今日はみんな時間通り集まれたわね」
唯「平沢唯、無職です!えへへ」
律「一番の金持ちが何言ってんだ」
梓「一番お金持ちはムギ先輩ですよ」
律「ぐぁ、そうだった」
私たちは、くだらないお喋りをしながら目的地へと向かった。
律「おー久しぶりだなーこの感じ」
澪「前にここに来たとき、お茶飲んでたら時間来ちゃったときあったよな」
唯「あれはムギちゃんのお茶が美味しかったからだよ~」
紬「あらあら、それは光栄ね」
私たちは貸しスタジオにやってきた。
言いだしっぺは私。
目的は――――放課後ティータイムの解散ライブだ。
それぞれがセッティングを終えたところで、律先輩が口を開いた。
律「えー、それでは、放課後ティータイムの解散ライブを始めまーす」
もちろんお客さんなんていない。
でも、これで、HTTは終わりだ。
律「・・・と言いたいところですが」
律「放課後ティータイムは、解散なんてしません!」
梓「えっ・・・?」
律「何故なら、放課後ティータイムは・・・いつまでも、放課後だからです!」
梓「ちょっ・・・律先輩・・・?何言って・・・」
律「じゃあ今日は何のためのライブでしょう・・・それは!」
律「
中野梓ちゅわんの卒業ライブだぁぁぁぁああ!!!」
梓「えっ?えっ・・・?」
どういうこと?私の卒業ライブ?
唯「あずにゃんおめでと~!」
紬「梓ちゃん、おめでとう♪」
澪「梓、卒業おめでとう!」
なんだ、最初から仕組まれてたのか・・・
梓「皆さん・・・ありがとうございます!」
私は深々と頭を下げた。ここんとこ頭を下げてばっかだ。
律「はいはい、時間ないからさっさといくよー。梓は何演奏したい?」
梓「えっと・・・何でもいいんですか・・・?」
律「今日のためにみんな必死で練習してきたんだぜ。あたしのドラムは埃かぶってて大変だったけどなー。あはー」
梓「・・・・・・じゃあ・・・・・・ごはんはおかずで」
律「よりによって何でそれを・・・」
梓「あの学園祭で、最初にやった曲だからです」
律「む、なるほど・・・それじゃみんな準備はいーい?」
これで、卒業か。
紬「いつでも大丈夫よ♪」
私は、最高の先輩達とバンドが組めたんだな。
澪「久しぶりで緊張するな・・・」
律先輩、ムギ先輩、澪先輩・・・
唯「いっくよ~あずにゃん!」
そして、唯先輩、本当に・・・ありがとうございます!
律「ワン、ツー、スリー、フォー!!」
終わり。
もしもしからの投稿で時間がかかってしまって申し訳ないです。
けいおんはアニメから入った新参なんで、細かい設定ミスがあっても勘弁。
やっぱSSは難しいス
最終更新:2011年11月07日 21:09