唯「でも段々近づいていくから・・なんていい加減なこと、数学で使っていいの?」
律「こまけぇこたぁいいんだよ!!」
紬「今回使った方法は区分求積法って言って、300年前の数学者がちゃんと証明しているわ。
実は、これが積分が初めて発見されたときに使われた手法なの」
澪「その理論が今まで使われてこうして技術になってるんだから、疑う必要はないさ」
唯「りっちゃん、澪ちゃん、ムギちゃん、ありがとう・・・!!」
律「さあ・・・最後にもうちょっと力を振り絞ってみよう」
律「今までは0から1の範囲の下の面積だった。
今までの話を応用して、一般的な面積、0からaの範囲の面積を求めてみよう」
律「一個一個の長方形の幅はa/nになるから・・・
a/n * (1*a/n)^2 + a/n * (2*a/n)^2 + a/n * (3*a/n)^2 + ..... + a/n * (n*a/n)^2
律「ここで、この中から一個取り出す
4個目を取り出すと、
a/n*(4*a/n)^2
=(a/n)^3 * 4^2
律「つまり・・・k個目の長方形の面積は(a/n)^3 * k^2だ
これをn個全部足すと
(a/n)^3 * (1^2 + 2^2 + 3^2 + 4^2 + 5^2 + ..... + n^2)
=(a/n)^3 * n(n+1)(2n+1)/6
=a^3/3 + a^3/(3n) + a^3/(6n^2)
律「さあ、ここでnを無限に増やすんだ
aは定数で動かない数だから、nが大きくなっても2、3項目はちゃんと0に近づいてくれる
つまり・・・
(面積)
=∫[0,a] x^2 dx
=a^3/3 + a^3/(3n) + a^3/(6n^2) ←のnを無限に大きくして行った末
=a^3/3
唯「これは・・・!教科書に載ってる公式だよ・・・!!」
律「そうだ!」
律「ああ、ちなみに・・・数学では、『←のnを無限に大きくして行った末』は『lim n→∞』って書くんだ
だから、さっきの式は数学的に書くとこうなる
(面積)
=∫[0,a] x^2 dx
=lim n→∞ a^3/3 + a^3/(3n) + a^3/(6n^2)
=a^3/3
澪「そして実は・・・
『∫』って文字、アルファベットの『S』に似てるだろ?
これは、英語の『和』の意味の『sum』の頭文字から来ているんだ」
唯「『のどか』・・・?」
澪「いや・・・『わ』な」
澪「それは、紛れもなく・・・面積とは、無限個の長方形の和として表されるからなんだ
インテグラルが『S』に似ているのは、『sum』の頭文字を取ったことから来ている」
唯「そうだったんだ!!」
律「これで・・・・積分の本当の意味がわかっただろう
問題を解くには、あとは公式を覚えるだけだ
書店へ歩いて、参考書の「積分」の欄を開いてみろ。
そこに解き方が全て載っている。でも今の唯には、それが全部読めるようになってるはずだよ」
唯「ありがとう・・・みんな!!!
律「おう・・・!!」
唯「でもつまりそれは・・・・!!」
澪「なんだ・・・!?」
唯「これ以上の解説は・・・面倒だということだね・・・!!」
律「その・・・通りだ・・・・!!」
・・・テッテン・・・ テテッ テッテン・・・ テテッ・・・
唯「・・・あ、このBGMは・・・!!」
山中「・・・どうも・・・山中任三郎です」
唯澪律紬梓「さわちゃん!!」
山中「あまり私を怒らせないほうがいい」
唯澪律紬梓「」サーセン
山中「我々はまだ・・・重要な謎を解き明かしていない
秋山さん。」
澪「は、はい!?」
山中「なぜ微分は積分の逆なのか・・・
それを真剣に考えたことはありますか?」
澪「い、いや・・・ただ普通に公式のように使ってました」
山中「そうなのです・・・この重要な関係はしばしばやりすごされ、
結局原理の分からないまま我々は微分の逆として積分を計算する・・・
しかし。実は我々には、すでにこの謎を解き明かす準備が整っているのです」
唯澪律紬梓「マジで!?」
山中「その通りです。」
そして、平沢さん・・・」
唯「は、はい!!」
よく、積分の問題で
∫x^2 dx
- この『dx』を書き忘れただけで、点数を引かれたりしますね」
唯「はい・・・!!あの意味のわからないdx!
よく書き忘れて点を落としてます・・でもなぜそれを!?」
律「お前のテスト採点してんのこのさわちゃんだろうが」
澪「でもたしかに・・・dxの意味は考えたことがない」
山中「そう。あのわけのわからないdx
あれは『∫からdxの間の関数を積分しろ』というもの以上の意味がある。」
山中「最後に、ここでちょっくら、この問を解き明かしたいと思います・・・」
山中「まずは手始めに・・・最後の例で放物線の例で長方形をn分割したとき、
k個目の長方形の幅はa/n、高さは(k*a/n)^2でしたね。」
山中「ここで、今まではy=x^2でしたけれども、
今度は一般的に、y=f(x)の下の面積を求めることを考えましょう。」
律「えっと、図は・・教科書に書いてあるあのイメージでいいんでしょうか」
山中「その通りです。」
山中「すると今度は・・・k個目の長方形は、一個の幅はa/n、高さはf(k*a/n)です
つまり、k個目の長方形の面積はf(k*a/n)a/nになりますね。
これをn個足せばいいから、面積の式はこうなります
f(1*a/n)a/n + f(2*a/n)a/n + f(3*a/n)a/n + .... + f(n*a/n)a/n
山中「さあ・・・この式には規則性がありますね
秋山さん、それはどのような規則性ですか?」
澪「え、えっと・・・
f(k*a/n)a/nのkの部分だけが1,2,3,・・・nって増えてって、他は変わらない・・?」
山中「その通りです。つまり、これは∑を使ってこう書けますね。」
f(1*a/n)a/n + f(2*a/n)a/n + f(3*a/n)a/n + .... + f(n*a/n)a/n
=∑[k=1,n] f(k*a/n) * a/n
律「シグマ・・・」
山中「大丈夫です。∑の記号を見たら、それは規則性に従って
f(1*a/n)a/n + f(2*a/n)a/n + f(3*a/n)a/n + .... + f(n*a/n)a/n
を計算していると思えばいいのです。」
山中「そして、正確な面積は、nを無限大に飛ばした時でした。つまり・・・
∫[0,1] f(x) dx
=lim n→∞∑[k=1,n] f(k*a/n)a/n
山中「さて・・・微分の時、xの『微小な』増分のことを『Δx』って書きました」
山中「今回使ってる長方形の幅は微小ですね。幅は、a/nです。だからこれをΔxと書きましょう
するとこうなります・・・」
lim n→∞∑[k=1,n] f(k*a/n)a/n
=lim n→∞∑[k=1,n] f(kΔx)Δx
= ∫[0,1] f(x) dx
唯澪律紬梓「あ・・・!!!」
山中「そう。その通り・・・」
山中「Δはギリシア文字の『d』・・・つまりΔxはdxになり・・・
∑はギリシア文字の『S』・・・『sum』のSです。
∫と同じ、『sum』に由来しています」
澪「・・・うそだろ・・・」
山中「嘘じゃありません。
つまり、今まで書いていた『dx』・・・
その意味は、図形を分割したときの長方形の幅の意味だったのです・・・!」
山中「ちなみに・・・lim n→∞は、分割数を無限に増やすことです
分割数を増やすと、幅・・・Δxが小さくなりますから、
lim n→∞ ∑[k=1,n] f(kΔx)Δx
=lim Δx→0 ∑[k=1,n] f(kΔx)Δx
こうも書けますね。」
山中「さて・・・F(x)を、『y=f(x)の0からxまでの下の面積』・・・つまりF(x) = ∫[0,x] f(t) dtとおきましょう。」
山中「ここで、微分って、こういう定義でしたね
F'(x) = lim Δx→0 ( F(x) - F(x-Δx) ) / Δx
律「微分が出てきた・・・」
山中「さて、さっきの例では、Δxとはa/nのことでした。
そして、この式をよく見てください。F(x)の意味は、『0からxまでの下の面積』
つまりF(x-Δx)の意味は『0からx-Δxまでの下の面積』・・・つまり、一番右側の長方形だけ省いた面積を表しています」
山中「式で表すと・・・
F(x) = lim n→∞ ∑[k=1,n] f(k*x/n)x/n
F(x-Δx) = lim n→∞ ∑[k=1,n-1] f(k*x/n)x/n
山中「さて、この式を計算してみましょう。
F'(x)
=lim Δx→0 [F(x+Δx) - F(x)] / Δx
=lim Δx→0 [ ∑[k=1,n] f(k*x/n)x/n - ∑[k=1,n-1] f(k*x/n)x/n ] / (x/n)
=lim n→∞ { f(x*n/n)x/n } / (x/n)
=lim n→∞ f(x*n/n)
=f(x)
となります。」
山中「さあ・・・いかがでしたか。
dxは、長方形の幅・・・そして、∫は、和を表す。
更に、積分は微分の逆である・・・これこそが、積分の真髄です。
さあ・・・これで私の使命は終わりでしょう。
また皆様に会えるのを、お待ちしています。
山中任三郎でした。」
唯「・・・おお・・・」
澪「・・・すごい・・・」
律「・・・これは・・・」
紬「・・・エキサイティング・・・」
梓「・・・まるで嵐のように・・・」
律「・・・旋風を起こし去っていった・・・!!」
唯「・・・私、数学科行くよ!!!」
澪律紬梓「それはやめとけ」
唯「えー!」
唯が微分積分を学ぶようです ~完~
最終更新:2013年05月15日 21:55