使われなくなった傘が化けた者。
彼女は元々は忘れ物の傘だったのだが、配色が不人気で誰も拾ってく
れる事もなく、雨風に飛ばされているうちに妖怪になった者である。
人間に実害を与えることは少なく、ただ驚く人間を見て気分をすっと
させるのである。
しかし最近は驚いてくれる人間が少なく、ただいま驚かし方を古典的
な怪談を見て勉強中。
(星蓮船・二面)
人を脅かすなら夜じゃなきゃいけないんだ
と思ってやってきた。
人間が驚いてくれたかどうか、それは判らない。
今回唯一の通りすがりの妖怪。
新しく幻想郷に寺を造った白蓮でも驚かしに行くかと策略中。
(星蓮船・Extra)
お寺の周りをフラフラしている妖怪傘。
唐傘お化けと墓地の相性は良く、殆どの時間墓地で暮している。
何故なら、街中では驚いてくれない人間でも、お墓参りに来ているときは
簡単に驚いてくれるのだ。やったね。凄いね。
しかし、そんな幸せ絶頂の彼女にも事件が起きた。
墓地の奥で見た事もない妖怪が現れ、我が物顔で近寄らせないようにし
始めたのだ。
その妖怪とコンタクトを取ろうとしたが、全く会話にならず、危険を
感じた彼女は、その妖怪を強制的に追い出そうとした。
しかし暖簾に腕押し。糠に釘。
いくら攻撃しても手応えが感じられず、結局逃げ帰ってきてしまった。
お寺の連中に助けを求めようかとと逡巡していると、見た事のある人間が
やってきたのだ。かつて何度か戦った事のある人間だった。
「きっとあの妖怪を倒しに来たんだわ」そう思った彼女は、思い切って
お願いする事にした。
それがこのざまである。
(神霊廟・三面)
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