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目覚めは鈍痛と何かが折れたような不快な音で始まる。
朦朧とした意識と霞む目に映るのは、すべてがさかさまになった高価な調度品や部屋の内装。
しばらく呆けてから、ここは自分の部屋で、今自分はベッドから転げ落ちて首をしたたかにうちつけ、目が覚めたのだ気付いた。
漏れ出る欠伸の大きさと、部屋に満ちる冷たい空気から、まだおきるにはずいぶんと早い時間に目が覚めたようだ。
本当は寝なおしたいところだが、自分の姿を見下ろせば寝間着ですらなく、くしゃくしゃになった高そうなシャツとスカートであり、このまま寝る気にはとてもなれない。
さりとてわざわざ着替えて寝なおす気にもなれず、私はしょうがなくベッドに座りこみ、毛布を膝にかけてただ朝が来るのをじっと待つことにする。首が猛烈に痛む。不快な音はきっと首からしたのだろう。益体も無い思考だけが頭を巡る。

兄様がここ、鬼面都市バドッカを出てからもう3日。

兄のいないこの町は、そんなことを気にせずにいつも通りの日々を迎えようとしていた。
世界はとても大きくて、空に浮かぶ7つの月が落ちでもしない限り、多少の差異は乗り越えてしまう。
私はとてもそんな風にはなれない。
置いていかれてしまった。

            私の大事な人に。


気付けば窓から明るい陽光が差し込んでいる。
どうやら膝を抱えたまま居眠りをしてしまったらしい。
どうにも、調子がよくない。それは心のせいなのか、体のせいなのか、よくはわからない。
また思考が陰鬱な方向に流れようとした時に、部屋のドアをノックする音で思考が現実に引き戻される。
なんだか恨みがましいような、見当違いの感情を抱いてドアのほうを向きながら「誰?」と尋ねる。
「お召し物をお持ちしました。それと、朝食の準備が出来ております。」
ああ、もうそんな時間なのか、と思いつつ、メイドの・・・アリーアさんだったかな、に返事をしてドアをあける。
くしゃくしゃの洋服と寝癖だらけの私をみて驚いた顔をしながらもなんでもない風にしていてくれる。ちょっとだけありがたい。
「今着替えるから、少し待って。」
簡潔に告げてから着替えを受け取り、新しい服に袖を通す。あざとくなりすぎないようにシンプルな意匠の、高そうなフリルのついたシャツとマリースカート。こういう可愛らしい服は好きなハズだけど、なんとなく暗い気分になる。唇が何か紡ぎそうになるのをこらえながら、脱いだ服をアリーアさんに預けて食卓に向った。

いつも食事を取る広間の品のある木のテーブルには、私ひとり分の朝食が用意されている。
父様はいつも、朝から夜遅くまで沢山の依頼をこなすので、いつも朝早くに朝食を済ませ、家を出てしまう。
昔は父と一緒に食事が摂れないことを残念がり、食卓に同席することをせがんだものだが、今は逆に父が居ないことに安堵を覚える。
いつから自分はこんな風に誰かの不在に胸をなでおろすようになったのか、胸中に湧き上がる複雑な思い・・・はとりあえず置いておかなければならない。
なぜなら、今まさに目の前で私の為に用意されたであろう、今の自分には少し多すぎる気もする朝食を侵略している人物が居るからだ。

まだ書きかけ 頑張って完結を目指す
最終更新:2012年03月08日 01:33