PMC:フォーチュン所属 工学技術者兼ディザスター級乗り
機体名:WISEMAN〔ワイズマン〕 彼の経験、知識すべてを注ぎ込んだ結晶体。数多の計算はただただその証明のために。
彼が生を受けたのはCSAと呼ばれるローレシア大陸を支配していたといわれる軍事独裁国家だった。幼少の頃より兵器に触れて育った彼は、実践と検証を繰り返し膨大な経験を元に工学技術者として花開いてゆく。
CSA内の一拠点で若くして工学技士長まで上り詰めた実績はライトニング級St.409 グレイハウンドに搭載させるフォールディングキャノンの開発である。不足していた対空攻撃手段をこれにより確立し、有利な形勢を展開しやすくしたのである。
彼の自尊心は満たされ、さらなる兵器開発への道が開かれようとしていた
- 共和国のローレシア大陸大部分占領、拠点奪還に向けて
降って沸いた厄災であった。コロニーから攻め入ってきた共和国軍は開発した武装を積んだライトニング級を屠り続けた。(村井殿PCおよび部隊設定)こちらの兵装の出番はあった。だが、機動力があっても出番が来る前に撃墜されたのでは意味がない。壊滅の報を聞いた際は居てもたっても居られず彼自身がライトニングに乗り、開発した兵装を積み、実地検証に赴いた。彼の計算が外れるはずがないのである。
―――結果は惨敗であった。
プライドは地の底に落ちた。
自尊心など掻き消えた
嘲笑うようなあのエンブレムが脳裏を離れない
それからの彼は故郷奪還に加えてあの部隊を叩きのめす事が目標となり母体を連邦防衛軍に移した。
それからの彼は過去の戦闘を洗いざらい調べ直し、兵器にできる最大限の事を想定した結果、敵が察知できぬ遥か遠方から、高火力をもって、一撃にて破壊する事こそが兵器の、引いては戦術の定石と信じ信頼できる工学技術者達と共に新型戦車を開発して実戦投入し、実地検証に出向いた。ここでも忌々しいエンブレムの部隊にしてやられることが多数あった。その度改良し、撃破され、改良し、撃破され、その果てにつくられたのがディザスター級であった。また、アビスを使用してはとの声もあったが、彼は「扱おうにも根拠に乏しく、知識体系もない無尽蔵のエネルギー体等という形無き物など信用に置けない。そんなものは捨て置け」と見向きもしなかった。
彼の計算を上回る出来事など多々あった。それでも彼は計算を、検証を、実証を続け最後には因縁の部隊長を仕留める絶好の機会を得た。それと同時に終戦を告げる無線が流れた。かの部隊長は、目と鼻の先、視認できる距離でお互いに銃口を突きつけた状態であった。
「私が引き金を引けば、火砲から排出された砲弾が貴殿の装甲を貫くであろう。それはあらゆる万物、物理法則の元に明白な事項である。あらゆる計算、統計からも実証されることであろう。私は工学技術者だ。したがって私はこの終戦の節理受け止め、貴殿の名を拝命する栄誉を承りたい」
彼は機体から出ると、うやうやしく礼をとる。
わだかまりはあれど、自身の計算を上回り続けた相手が目の前にいるのだ。
工学技術者として、彼として、これ以上の誉は存在しない。
終戦後はPMCへの出向となった。
軍としては戦線で活躍をつづけた工学技術者とはいえ、学位を持たないものを上に置くことは出来ず、かといって腐らせるにはもったいないと判断したのだろう。PMCでその腕をいかんなく発揮してくれとのことだった。
彼もまた、誉に答える機会を探し続けていた。
結果として、その誉と同じ舞台に立つことになろうとは夢にも思わないのだが
最終更新:2015年09月03日 22:07