• 妖怪としての出自、概要

某県にあるとある小さな博物館に展示されていた恐竜の骨格標本が妖怪となったもの。
一時期の恐竜ブームよりも一足早く、その骨格標本は日本へと渡ってきた。
館長は老齢の男性で、世界や古い歴史に憧れる男であった。
70年代ごろからの博物館ブームに乗って作られた小さな博物館の館長に就任し、己の私財やコネクションを使って買い集めた考古学物を展示し、己の城を作り上げた。
保存状態が悪く、安価であるとはいえ当時としては珍しい恐竜標本等の目を惹く展示物の数々から、一時は有名になったものの、かけられた予算相当に立地が僻地であったことや、大衆文化や流行の移り変わりから、徐々に客足は下火となっていく。
それでも男は己の小さな夢の城に愛を注ぎ続け、丁寧に手入れをし続けた。
年月の経過とともに、男は衰え、経営状態の悪くなった博物館は緩やかに閉館へと追い込まれる。
展示物のいくつかは引き取り先もあり、それぞれが新しい展示先へと居を移したが、その多くは散逸し、また古美術品として売られ、行方が知れなくなっていった。
その中でも、男が丁寧に手入れを続けた恐竜標本は、行き場もなく、遺棄処分という無慈悲な印を押されることとなる。

だが、その時既に、男が注いだ心血は、恐竜標本に命となって根付いていたのである。

故郷である博物館より遠く運ばれてきた廃棄場にて動きだす骨の竜。悲しみと怒りから、その力を人間にぶつけようとする。
当時その姿を発見した現地ネットワークの妖怪らに諭され、人間への怒りに駆られる事は、男の愛をむげにするも同じだと思いとどまり、それ以降、恐竜標本の九十九神は 竜野・縁という人の姿を経て、各地に散逸した仲間たちの行方を追いかけるため、人間社会の中に生きる、妖の一人となったのだった。

  • 妖怪としての顔

5mほどの大きさの獣脚類の恐竜標本。
恐竜標本としては小型ながら、その来歴故に備わった膂力と体躯を武器とする事が出来る。
博物館にて展示されていた経験から、”閉館”という事象になぞらえた人払いの妖術を行使することも出来るが、妖怪としての来歴自体は浅い事から、さまざまな制限がつきまとっている
その体そのものが妖怪としての核であるため、物品であった当時もっとも保存状態のよかった頭部を持っていかれると力尽きた際の復活が行えない他、恐竜という生物の特性から極低温の環境下に弱いという弱点を持っている。

  • 人間としての顔

名前:竜野・縁(たつの・ゆかり)
性別:女性
外見:10代後半から20代前半に見える。身分としての年齢は20歳。大きなはしばみ色の瞳に、腰下までの長い茶色がかった髪をうなじあたりで一つにまとめて流している。常に眼鏡を着用していて、服装は大抵シャツかブラウスにロングスカートと、上着にロングコートやジャケット。足元はごつめのブーツで、全体的に厚着である。
余談だがスタイルはいい。
職業:大学生

設定や性格:

K県にある大学に通う女子大生。考古学科を専攻している。
性格はしっかり者の委員長肌。おっとりした見た目に反してきっちりかっちりしゃっきり物事を運ぶが、やや杓子定規にすぎるところもあるのが玉に瑕。
誠実になんにでも取り組む優等生スタンスだが、仲間意識が強く、身内にはやや甘くなってしまう事も。
人間社会の常識も概ね把握はしているが、時折本来の姿としての目線で物事を語りそうになるどじなところも。
キュレーターを志している事もあり、好奇心がそれなりに強く、自分の専攻する考古学以外においてもよく興味を示す事がある。
自分が捨てられた経験から、ものを捨てたり、必要以上に浪費をすることが苦手 いわゆるけちんぼ。
ばらばらに散逸した仲間たちと再開し、いずれ自分がキュレーターを務める博物館で集まるのが夢のひとつ。
最終更新:2015年09月16日 21:50