「待っている君がいるんですよ。 だから僕は止まれません。」

名前:クリストフ・ブルーメル
種族:ヴァルター
アルカナ: ルナ=デクストラ=イグニス
性別:男
生没年:1042~
聖痕:うなじ、胸板、右腕
容姿:涼し気で整った顔立ちに、濃い青い眼、銀の髪を後ろでくくって一つ編みにしている。
   服装は、スカーフに白い清潔なシャツとベスト。両腕に紺色で指先に装飾の凝った、長手袋をしている。

経歴:
ヴィンス公国ギーゼブルグ領ネーベルブルグにて鍛冶師を営む青年。
特に転用して武具になるものの加工修繕は得意であり、彼の手にかかった鍬は切れ味鋭くなるという無駄な評判を得ている。
ありがちな職人気質でなく、穏やかで人当たりのいい性格と、城砦を改築した都市という事から仕事口はそれなりに多い様子
バサロ老人と同じく彼がザイドリッツの与太話を信じていると知っている者からは、微妙に敬遠されたり食傷されたりしている。

元々は貧しい村落の生まれ。かつ兄弟が多い中での末弟であったため、10歳を過ぎるころには自ずから口減らしとして家を去り、器用さや俊敏さを生かして
都市部に移り住み、商人などを相手としたスリを生業としてならず者として暮らし始める。
生まれついての性格としてやや冷めていたのもあり、得るものも少ないが失うものも少ない暮らしに懸命に取り組む家族を見て、彼なりに慮り、彼なりに食傷した結果である
信心熱い母に寝物語に訊かされた英傑や伝承、数々の夢物語と、都市の隅に住み着いて、不安定なスリの稼ぎをアテにして暮らし続ける自分。

現実は残酷である。ついでに商人だからって金持ちばかりと信じた自分を、出奔の数年後には恨んだりもした シケてやがる。

そうした彼の転機は突然に訪れる。そう 天空から突然に舞い降りるロマンスというか大嵐。

ある日、同じ盗人同士に持ち掛けられ、大商人の私邸に盗みに入ることになるクラストフ。
持ち掛けられた話に最初は否やを示したものの、それまでに収めた成功から欲に惹かれ実行に移してしまう。
それまでに無いほど、警備の厚い場所への盗みであったが、うっかりと自身の想定以上の力を(人それを奇跡という)発揮し成功。
有頂天に盗みの報酬を掲げるクリストフであったが慢心とは迂闊。追手の矢に足を貫かれてしまう。
鏃に塗られていた毒によって満身創痍で倒れる中、目にしたのは天を裂く光とそれを中心に周囲を渦巻く大竜巻。

あ 俺死ぬっぽい。




◆◆◆




次に目が覚めた時、彼が居たのはアーの御許ではなく、清潔な寝台だった
疵の手当はされている。体は重いが死んでない。 そして心なしか、空気が冷たくも心地いい
手元に残らなかった報酬にやや残念に思いながら、此処は何処だと当惑する彼にかかったのは、涼やかで、今までに訊いたことのないほど、澄んだ音色

「 ようこそ ザイドリッツ号へ。 歓迎します 」

それは唯の凡人として、卑しく生きた彼に舞い降りた最大の幸運だったかもしれない。
空飛ぶ城砦ザイドリッツ号。それを取り仕切る、美しく可憐な船長カエラム。
それこそ、寝物語に訊かされたどの話よりも、空の青と自分を救った少女の横顔は輝いていた。
齢15で彼は人生で初めて夢を見て、そして恋に落ちたのである。    余談だが今までの世を拗ねた態度から自覚と赤面に一日を要した。うおおおお、、、。

ともあれ、聖痕による導きかはともかく、偶々拾った少年をカエラムは遇し、彼の傷が癒え、この船が彼を送り届けることの出来るまでの日々、滞在を許可された。
曰く今のハイデルラントより千年は進んでいるという錬金術師による機構、兵装
船にはそれこそクリストフの見たことのないものばかりが溢れ、彼はそれを一つ一つまだ重たい体を引きずり眺めたが何より足しげく通ったのは城砦の主カエラムの下であった

見た事のないほど青い空と、それを背景にした少女の横顔こそ、この空飛ぶ船を彩る全ての原風景であったのだ。 彼にとって  ・・・まあ吊り橋効果ともいうかもしれない。


何とかこの城に留まれないものかと苦心するも妙案はなく、せめてとカエラムに請い、錬金術の手ほどきを受けながら僅かずつ交流を重ねていくクリストフ。
やがて約束の期日が迫る中、自らの願いをせめても伝えなければと思い立つ彼とザイドリッツに、突如として暗雲が襲い掛かった。
それはかつてザイドリッツを襲った襲撃者。暗雲と嵐に浮かぶ赤い瞳に、聖痕者として、あるいは一人の男としてそれは退けねばならない敵だと本能的に理解した。
空を覆わんばかりの巨躯を前に激戦を繰り広げ、クリストフは船長とザイドリッツと共に何とか襲撃者を撃退するも
それまでの人生で体験したことのない苛烈な戦いに意識を失ってしまう

気づけば彼は地上にて目覚めていた。其処には彼が最初にカエラムに賜った錬金具と灰色の空に差し込む青い光だけ。


◆◆◆


地上へと降りたクリストフは、其れまでの行いと装いを改め、己が最初に手にとった、精錬、鋳造の為の宝物と、錬金術師としての若い芽を頼りに各地を放浪。
時にデイドリームを訪れ、ザイドリッツの逸話を(子供たちに交じって)聞き入り、時にン・アディクの一族を求めて東に向かうが成果なく
時にバルヴィエステは天慧院に訪れて門前払いを喰らい、やがてヴィンス公国ギーゼブルグ領ネーベルブルグ、逸話によれば、かつてのザイドリッツ船長の生誕の地にて
空を飛ぶために鋼を磨き上げる老人の話を聞きつける。実は結構冒険している。

「 貴方の力が必要なんです。僕と空を飛びませんか? 」

唐突な不審者の登場にやはり門前払いを喰らうこと三日。自らが体験したザイドリッツの話を頼みに執拗に頼み続け、老人の弟子となったクリストフは
ネーベルブルグに居を構え、青年となった彼はバサロ老人の日々の相棒(実験台)として、空に近づくための試行錯誤を繰り返している。

いつか再び あの青空に舞い戻るために。


人柄

  • 生まれついての貧しさから、現実主義かつ、、根本的な学はすくなく根は粗野。
 「己に出来る範疇をこなしていく」というのが趣旨だが、執念深いところがあり、出来る、あるいはすると思ったことはなかなか諦めない。
  • 悪行に関して過去があるため強くは反発しないが、現在自分が行う事は硬く禁じている。教唆されてもうなずかない 駄目絶対。
 素行を改めもしたので、基本的に丁寧で優しい態度を取るが親しい相手、困窮の際に素がぽろっと出る。また真摯な情熱に意外と弱い。
  • バサロ爺さんとは共犯者か悪友。数年の付き合いで素が出るようになったため、割と遠慮なくののしりあう、が頑固な所と、互いにほぼ唯一、ザイドリッツの話を信じる同士のため尊重し、純粋に応援している。
 実は人生初の親友かもしれないあたりに、悲しみが匂う。
  • 錬金術に関する知識、専攻は独学で、主に加工。ただし方向性として主に破壊力を主とした強化に傾倒しているため、ただの鍛冶師としてならともかく、本格的な錬金師としては三流。
 主に実験台な所以である。
  • カエラムから賜った、加工、錬成を司る手甲(紺の手袋)を大事に持ち、常に丁寧に手入れをしている。思い出の品だが、語ると必ずバサロ爺さんに揶揄されるので言わないようにしている。

最終更新:2017年02月17日 09:30
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