名前;マリーシア・グウェイス
種族:クレアータ
生没年:1038~
アルカナ:クレアータ・エルス・アダマス
因果律:世捨て人・補完・復活
因縁:サルモン・フィースト/恩人
聖痕:歯・影・髪の毛
聖痕の共振:邪眼
外見:白磁の肌に目の覚めるような深紅のストレートヘアー。髪と同色の深い緋色の切れ長の瞳に、幼めだが美しい顔立ちを持つ。
   矮躯かつ華奢だが、身の丈ほどもある槍と金属鎧で武装し、傷一つない黒鋼に黄金の意匠の錬金馬を連れている

設定:
ハイデルラント併合戦争の折、敗戦国側のとある貴族が、勢い止まらぬエステルランド公国軍に対するため、お抱えの錬金術師によって作成された戦闘用のクレアータ
元々は戦闘用ではなく、己の意のままになる従者として作成させていたものだが、戦時に在って戦力を求めたことによって、善性や良心、道徳的な価値観のみを肉の個体に置き去り
戦闘能力と破壊衝動のみを鋼の体へと移した個体として完成した。一時は敵陣のただ中にあって暴力の限りを尽くし、形勢を覆すかと思われたが多勢のまえに破壊され、朽ちた肉体は戦場へと捨て去られ
また不完全なまま眠りについていた肉の体も、接収された

それから十数年の時を経て、貴重な魔術的な資料でもあるとしてかつては天慧院の長を務めた識者サルモン・フィーストの下で保管されていた肉体は突如として目覚めることとなる
自身の境遇、出生を知ったマリーシアは、サルモンの下で幾許かの時を学習と自身の把握のために過ごすも、失われた半身を求める内なる声に導かれサルモンの下を出奔
同じく活動を始めて、ハイデルラントを亡霊のごとくさ迷っていた己の悪心、鋼の体と再会し合一を果たす。
しかし、かつて不完全なまま目覚めた己の自我よりも、かつて完全なる肉体として調律された悪心の破壊衝動が勝ることを知る。
己の内なるもう一つの声に耳を傾けたマリーシアは、其が求むるものは魔獣や闇に囚われたものたちであること、一つそれらを葬る度、己の自我がわずかずつはっきりとしていくことを知る。

その後、再びサルモンの下を訪ね門戸を叩いたマリーシアは、己が如何にすべきかを知恵者たる彼に尋ね、彼を通じ教皇庁との橋渡しの結果として
闇の鎖に堕したものを狩る聖グラティウシア騎士団の一員として推薦され、その一員となった。
未だ悪心に勝る彼女の本能を満たし、またその力を影ながら世を助くるために使うためとして

あるいはそれは、限りなく闇に近い刻まれしものがいつか堕した時、その首に鎖か、断罪の刃をかけるためという思し召しかもしれないが、いまだ不完全な命が何処に行くのかを識る者は未だ居ない。

性格・性質:
物静かで感情の起伏に乏しく、普段は表情をあまり動かさない。喋り口は穏やかだが静謐さを孕む。
普段の主体は良心や善性をつかさどる彼女であるが、いまだ自我の完成が不完全であるためか、情動的な話に対しては好奇心を持ちつつも、理解できずに意思疎通が図れないことも多い
乏しく不完全ながらに、俗世における人心や通念に対して一定の配慮を以て接するが、同時に其処に対して溶け込めないという感性のために距離を取ろうとしている。
そういった「穏やかな」感性は、彼女の目覚めを以て薫陶をもたらしたサルモンによってもたらされた所も大きく

現状は戦闘機械である悪心の「闇の鎖や闇の眷属を打ち滅ぼす」という欲求に従って動いている。そのためならば時に手段を択ばずに行動を起こすこともあり
騎士団の勅命のない時分は放浪の傭兵などを騙って、獲物を求めてハイデルラント各地を渡り歩いている

混沌に拠った性質のマリーシアではあるが、己が不完全な生命体であることに劣等感を持っていて、極まれには己の目的に添わずとも、強い信念や目的を持った「人間らしい」ものに対しては
己の力を貸すこともある。最も、善悪の境界が不完全なその腕の助けが、必ずしも善い結果を生み出すかは また別の話である。

「邪悪な心」は普段は眠りについているが、戦いの際など時折顔を出すこともあり、その際は普段と打って変わって冷酷で露悪的、他者を見下した発言や行動が表に出てしまう
とはいえ、ほとんどの間はその明確な意識は本能と違い、微睡むように眠りについているため、別個の人格というよりは、現状、マリーシアの別側面のようになってしまっている
あるいは何故こうして分かたれたのか、如何にすれば完全なる合一を果たすのかを邪悪なる彼女は知っているのかもしれないが、善なる彼女が己の自我の希薄に苛まされるように
邪悪なるマリーシアもまた、半身を欠いた目覚めによってその心の多く、記憶の多くを破壊と邪悪によって占められており、いまだ知る由はない。
あるいは識ってしまった時こそ、彼女が闇に堕するその日なのかもしれないが。

一人称は「 わたし 」 二人称は 「 きみ 」
エルスのアルカナとしてはある種異質なことに、その魂の両方が一つの体に宿っているかのようだが、肉の器が善なるマリーシアのものであり、黒鋼の錬金馬のように見える獣が、悪なる彼女の器である


今回魔獣の跋扈に邪悪の気配を感じ取り、騎士団の勅命はないものの、リンドドルフを訪れるに当たって「無きエーバーハルト方伯領に仕えていた騎士であった」というカバーストーリーと、リンドドルフ領に迫っていた北荻の首を以て食客に遇されている。
手段こそ褒められたものではないが、領主テレンスの謹厳実直さにはある程度感じ入るものがあるらしく、観察の眼を向けている。


最終更新:2024年04月07日 00:02