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休日―釣りバトル後編B - (2009/07/07 (火) 08:48:09) の1つ前との変更点

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   ああ―――そうか… それはこの自分が―― 誰よりもこの自分が―― 彼女の白い翼に魅入られていたからに他ならない―― 改めて言うまでも無い… かつて闇に沈みかけていたこの身を 強引に引っ張り上げ、再び空の青さを感じさせてくれたのはこの翼だ あの一生懸命、戦う姿を―― 困難に立ち向かう姿を―― 強い相手に真っ向から立ち向かっていく瞳を―― 一番初めに見たのが他ならぬ自分だったのだから 一番長く見てきたのが他ならぬ自分だったのだから こうして飛ぶなのはに助けられ―― こういうなのはと共に歩む事を決め―― こういうなのはのカッコ良さにずっと触れてきた―― ………止められる筈がないのだ 自分は――この不屈のエース 高町なのはに完全にイカれてしまっているのだから ああ――そうだ やる事を思い出した 初めから危険な道だって分かっていた こういう事態になる事も常に覚悟していた そしてそういう局面で、自分がすべき事なんて―― 自分がどうするかなんて――既に決めていた事じゃないか 「なのはを――――助ける……」 「!」 そうだ この赤いサーヴァントに言われるまでもない なのはが戦っているのなら、それを助けるのが自分の役目 いや、、、なのはを守るのが自分に与えられた「権利」だ 「フ……そうだ―――元よりその身が成すべき事は一つ」 何かよく分からないが自己解決したらしい 良い方向に転がって万々歳のアーチャーさんがご機嫌宜しく締める中―― 虚ろな目に危険な光を灯し フラフラと英雄王とエースオブエースのクロスポイントへと向かうフェイト 「おい……堀に落ちるぞ! そっちじゃない!   右三十度に軌道修正だ!!」 もっとも――彼女にとってはほとんど寝起きからの強制的な覚醒だ 覚束ない足元、泥酔者のような後姿を誘導するとこまでしなきゃならない弓兵であった (ええい…大丈夫なんだろうな……? 彼女は) 「なのは」 「フェイトちゃん…?」 そんな感じで紆余曲折―― 「勝ちたい?」 「え?」 ついに高町なのはの元に――最強のユニットが辿り着く 「勝ちたい?」 再度、親友に問いかけるフェイト そのえも言わぬ迫力に押されながらも、 「うん……負けたくは、ないよ…」 はっきりとフェイトに告げるなのはであった    了承――なら、往く! そう…… なのはが勝ちたいと願うなら 自分はその手伝いをするだけなのだ ライトニング1・フェイトテスタロッサハラオウン 機動6課最速の魔道士が――― 今、ようやっと蘇生した瞬間だった 「フ――全く世話の焼ける…」 いや、正しく蘇生したかは責任が持てないが… もしかしたらTウィルスに感染したゾンビを送り込んでしまったのかも知れないが… ともあれ、これで全ての駒が揃った 額の汗を拭いつつ ほくそ笑むアーチャーなのであった ここまでの戦績 英雄王ギルガメッシュ spec/skill : ――― 24HIT 高町なのは spec/skill : 獅子奮迅、エンプティ間近 6HIT フェイトテスタロッサハラオウン spec/skill : ATフィールド、暴走、覚醒 0HIT アーチャー spec/skill : 策士、弁士スキル 20HIT ―――――― 「……………遅いよ」 待ちに待った援軍の到着に流石のなのはも感極まって声が上ずってしまう 百万の援軍を得たに等しい気分だ その喜びから、親友の手をぎゅっと握り締める 鬼に金棒とはこの事だ ふにふに、と 柔らかい金棒だな…などと思いながら フェイトの手の感触を今一度、大いに楽しむなのは 他人の力をただ当てにして戦うような彼女ではない だが、隣にいるのがフェイトならば話は別だ なのはにとってフェイトは最も近しい存在であり フェイトにとってなのはは己が一部といっても過言ではない いわば対の翼のようなものだ 星の翼がたくましく力強く羽ばたけば 雷の翼はしなやかに何よりも速くはためく そうやって幼少の頃から、ずっと一緒にやってきたのだから 「ごめんね、なのは」 それなのに、長い事 自身の対の翼を孤立させてしまった 非難の言葉を受けたフェイトが おもむろになのはに近づき、ツインテールの栗色の髪に被われた頭をぎゅっと優しく抱き寄せる 「わ、、わわ…」 突然の大胆な行為に驚くなのは 感極まっているのはフェイトも同じだった 何を惑う事があったのか…… この腕に抱かれた、己が命よりも大事なもの―― それを守るのは自分だ、、誰にも傷つけさせはしない 448 名前:クロス式・意外と壮絶な機動6課隊長陣の休日[sage] 投稿日:2009/06/26(金) 11:41:30 ID:9PsYti6R せっかくの休日に繰り出した心温まる二人だけの時間は 悪魔のような顔をした赤と金のサーヴァントによって散々に…それはもう散々に引っ掻き回された だがそれは所詮は状況の一つに過ぎず 例えどんな状況に陥ろうと自分がすることは初めから決まっていたのだ それは断じて――不運を嘆き なのはが戦っているのを尻目に 自分は停戦とか絡みたくないといって逃げる事ではなく―― ――共に戦う事に他ならない あの金色サーヴァントの言う事を肯定するつもりはない あの赤色のサーヴァントに言われるまでもない なのはの傍でなのはを助けようと誓った自分が、、 なのはよりも先に膝を折ってしまってどうする 助ける対象よりも先に、状況に屈してしまってどうするというのか (ごめんね……なのは) ――逃げる事ばかり考えていて、、ごめん 本当に今日の自分は何をしていたのか 親友が戦っている時、横でのほほんと見ていただけだ こんな事で何がパートナーだ… 何が友達だ… (勝たせる、、私が…) パァァン!、と 日和った自分の頬を、両の手で挟みこむように叩くフェイト 「……………、、」 その衝撃でフラフラ、とその場に膝から崩れ落ちそうになる 「フェイトちゃんっ!?」 「だ、大丈夫……問題ない」 なのはに貰った掌底のダメージも抜けていない状態で 自ら脳に衝撃を加えれば当然こうなるだろう だけど――このくらいでいい なのはを孤立させて一人で闘わせてしまった不実の代償が この程度なら安いものだ 449 名前:クロス式・意外と壮絶な機動6課隊長陣の休日[sage] 投稿日:2009/06/26(金) 11:43:26 ID:9PsYti6R 「私も本気を出す……勝ちに行くよ、なのは」 「う、、うん!」 この白い翼は自分の目の黒いうちはどこまでだって力強く飛んでいくのだ こんなところで惨めな敗北を喫するなんて似合わない なのはが満面の笑顔を取り戻し、フェイトの目に力が灯る 強大な英霊二人を相手にして今までは実質単騎で闘っていたようなものだ だが、今は違う―― 今、再び星光と雷光が場に並び立った 勝負はここに来てようやく始まったのだ 「ほう……既に大勢は決したが―――ここにきてまだ策があるというのか?」 大仰に目を見張るアーチャー 何か出来るものならやってみろ、という面持ちだ 白々しいにもほどがある 対してギルガメッシュは………無言、、 本来ならばこんな時、大いに哂い、見下し 立ちはだかってくるこの男が……不気味なほどに無言であった 「戻ってきました………さっきの決着をつけるために」 その沈黙の王に自分から突っかけていくフェイト このおっとりとした性格のフェイトが、ここまで戦意を露にするのは極めて稀だ 相当に気勢が充満しているのが窺い知れる だが当のギルガメッシュは―― 「――――、」 やはり黙殺を続けるのみであった これにはなのはも、アーチャーすらも怪訝な顔をする こちらに一瞥をくれただけで己が竿に没頭するのみの王 「どういう事だ……何故、奴までがアンニュイなのだ?  よりによって奴が――天変地異の前触れか?」 「分からない……洗面所から戻ってからやけに静かだと思ってたけど、、」 「いいよ……どうせ私のことなんか歯牙にもかけていないって事だろうから」 そっちがその気なら問答無用で勝負を決めてやる そしてさっさと終わらせて――こんなところとはおさらばだ 「でもフェイトちゃん……悔しいけどアーチャーさんの言ったとおり  今からまくるのは相当厳しいよ? 何か作戦はあるの?」 沈黙を守っているギルガメッシュだが、その竿までが停止しているわけではない 今も相変わらず、群がる銀鱗をおはじきの様に鮮やかに撥ね上げる手並み いや、もはやアレ――全自動の類なんじゃなかろうか? とにかく相手は百戦錬磨の英霊 こちらが惑っているのを待ってくれるほど甘くは無い コンビプレイが復活するのが少々遅すぎたのか…… 450 名前:クロス式・意外と壮絶な機動6課隊長陣の休日[sage] 投稿日:2009/06/26(金) 11:44:26 ID:9PsYti6R 「………任せて」 だがフェイトはなのはに対し、一言―― 未だかつて無いほどの自信を感じさせる言葉を返す その表情を見て――― (フ、フェイトちゃん……?) ゾッと―― 背筋が凍るなのは 「……………!?」 そう、、それは何か覚悟を決めた者の―― 死地に赴く兵士のような、儚い光を称えた目をしていて―― 何だろう、、 何だろう? この不安は、、 先ほどの高揚感がすっかり、なりを潜めてしまう……… そして始まる 伝説の幕開けだ 垣間見よ―― 雷光の名に恥じぬ フェイトテスタロッサハラオウンの決死の乱舞を――、! どおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッッッ!!!!??? その瞬間――― 近隣一体に響き渡るほどの 地響きと見紛うばかりの 人々の怒声と歓声と嬌声が、、 場末の釣堀内から轟いたのであった ―――――― 451 名前:クロス式・意外と壮絶な機動6課隊長陣の休日[sage] 投稿日:2009/06/26(金) 11:45:17 ID:9PsYti6R 自身を落ち着かせるように―― 彼女はその場でゆっくりと 息を吸って、、吐いた そして眼前の金色のサーヴァントをキッと見据え、、 その頭をすっぽりと覆っていた帽子を――ゆっくりと取る 途端、周囲の口からほうっというため息が漏れた それもそのはず 今まで奮闘し、目立っていたのはワンピースの女性一人で その隣にいるキャップ姿の少年(?)の事など誰も見向きもしなかった その少年と思われていた彼女の髪―― 流れるような金の長髪が今、白日の下に露になったのだ ワンピースの女性も健康的な美人だったが 新たに現れた、その金髪の凛々しい美貌―― ルビーのような赤胴色の瞳に砂金を塗した様な長髪はまさに魔性の美しさを醸し出し 付近の親父どもの目を見張らせるに十分であった やはり、この佇まいこそが本来の彼女 雷光の女神と称される出で立ちに、改めてなのはもゾクっと鳥肌が立つのを感じる 今ここに執務官・フェイトテスタロッサハラオウンが帰ってきたのだ 次いで、彼女は肩から羽織っていたスポーツジャケットを――ゆっくりと脱ぐ 彼女の静かなる気迫が衣服の下から滲み出る様な錯覚に 周囲がざわめいているのが分かる 空気が震え、パチパチとプラズマ現象が起こっているかのような… 更に、スーツを――おもむろに脱ぐ まるでこれから荒事を仕掛けるかのような それでいて粗暴な荒々しさなど微塵も無い―― 果し合いに臨む騎士の如き、凛とした仕草であった 事情は分からないが、あの金髪の男に対する因縁めいた感情は傍から見ても分かる まさか本当に掴み合いの勝負でもしようと言うのか――? ただならぬ緊張感に場が支配されていく シャツを――脱いだ ………………ん? ジーパンを脱、、、 ……………… 452 名前:クロス式・意外と壮絶な機動6課隊長陣の休日[sage] 投稿日:2009/06/26(金) 11:46:39 ID:9PsYti6R 「どえええええええええええええええええええええええええええええ  ええええええええええええええええええええええええええええええ  ええええええええええええええええええええええええええええっっっっ!!??」 今―――場は鉄火場となった どおおおっ!?、と湧き上がる観客 野次馬の一人が熱燗を吹き出して引っくり返る 親子連れの父親が子供の両目を目隠しする (そして自分はしっかりと凝視する) 10万前後もする釣竿をポトリと取り落とし、それにすら気づかずに光景を目に焼き付けるオヤジもいた ―― 「マジ」と書いて「脱ぐ」と説く ―― フェイトテスタロッサハラオウンが文字通りの一糸纏わぬ本気モードへと移行すべく 大衆の前でフォームチェンジを敢行しようとしていたのだ そう――戻ってきたのだ、、 脱げば脱ぐほど強くなる―― 裸身活殺拳の正当伝承者・フェイトテスタロッサハラオウンが! 「そんなわけないでしょうっ!!!」 突っ込みを入れるなのはだった 「フェイトちゃん! 脱ぎすぎっ! 脱ぎすぎっっ!」 「―――ソニックモード…」 「何言ってるの~~~!!!?」 完全に目が据わり、己が全力を示唆する言葉を紡ぐライトニング1を真っ青になりながらはかい絞めにし、バインドを施す 衆目に魔法を晒してしまうが、まあフラフープだとでも行っておけば誤魔化せるだろうが、、しかし… (な、なんで……!?) なんで……こうなる? てっきりこのまま良い話で終わると思っていたのに… 狼狽する高町なのはが、ふと何かに気づいたように弓兵の方を向き―― 「アーチャーさん………何を、、何を吹き込んだの…?」 成り行きを見守るアーチャーをキッと見据えて問いかける 「吹き込むとは心外だな  私はただ彼女に、キミを助けにいかないのか?と促しただけだが」 「………それで何でこうなるの!?」 「フ、、責任転嫁も甚だしい………  彼女の異変はナノハ―――全てキミの所業によるものだぞ?」 「……?」 いつもの不適な笑みをすっかり取り戻したアーチャー 何というか、パズルのピースが思うように嵌った時の様な顔をしている 454 名前:クロス式・意外と壮絶な機動6課隊長陣の休日[sage] 投稿日:2009/06/26(金) 12:00:16 ID:9PsYti6R 「つれなくし過ぎだ……キミは  普段は冷静で隙の無いフェイトが、高町ナノハに起因する時のみ精神に多大な負荷をきたす  それは彼女の二度目の執務官試験の結果を見れば明らかだ  思いつめたあの娘を発破として促し、人間爆弾に仕立て上げて送り込むのは容易な事だった」 いや相当、必死こいていたように見えたが… 「我らへの牽制に心身を裂き、キミへの気遣いも忘れず、英雄王の相手に現を抜かして振り向いてくれない想い人に焦がれ続ける  あらゆる負荷により孤独に苛まれた彼女の精神は既に磨耗し切っていた――  最後のリミッターを躊躇い無く解除するまでにな」 「………っ!」 「全ては勝利のための布陣――  薄氷を踏むようなタイミングとバランスではあったが…よもやこれほど上手くいくとは思っていなかった  フ、、つくづく感謝するぞナノハ、キミらがいたおかげであの英雄王を労せずして抑える事が出来る  流石に単騎でアレと張り合うのは骨が折れるのでね――」 悪代官よろしく、企みをつらつらと並べ立てるアーチャー その顔はいつもの底意地の悪い笑みを貼り付けていた 間違いない、、この男、戯れているっ! 完全に嵌められた―― 一筋縄ではいかない事は分かっていたというのに… 度々くれる助言に良い気になって少しでも信じた自分がバカだった 悔しさに唇を噛むなのはの後ろで、、 ――ごきん、、ごき、ぐきん と鈍い音が鳴り響く 「!?」 振り向くとそこには―― 全身の関節を外して、軟体動物のように くにゃりとリングバインドを縄抜けるフェイトの姿があった 「そ、そんなっ!?」 かなりの魔力をぶち込んだ拘束魔法だ 数分は動きを止めておけると踏んでいたのに… 確かにあれなら普通にディスペルするより遥かに速い ゴルゴも真っ青の神業である そして同時にファサリ、と―――布が地面を叩く音が響いた 「ああ……」 なのはが手で両目を覆い、短い悲鳴を漏らす そこには豊満な胸とVラインを最低限隠すのみの 黒い下着を纏った金髪の女神―― 何の躊躇いもなく、スーツとズボンを脱ぎ捨てたフェイトの姿があったのだった ―――――― 455 名前:クロス式・意外と壮絶な機動6課隊長陣の休日[sage] 投稿日:2009/06/26(金) 12:06:17 ID:9PsYti6R 「フェイトちゃん、しっかりして!   私、そんな事望んでないよ! 普通に楽しめればいいんだよ!」 「なのはを勝たせる、、なのはを勝たせる、、なのはを勝たせる、、」 なのはの悲痛な絶叫も今のフェイトには届かない まるで呪文のように己が目的に邁進するフェイトは 己が信じた正義に殉ずる聖者の如し (駄目だ……止まらない、、  こうなったらもう一度バインドかけて、砲撃で意識を飛ばして…) あくまで砲撃愛である このまま親友を羞恥に晒すくらいなら 完全に落とした後、一気に撤退するのが一番速い そう思い立ち、レイジングハートの柄を握るなのはの耳に―― 何か聞き覚えのある曲が…… それは二つ隣のおっちゃんのラジオから―― (釣りを嗜むものの必須アイテムらしい 海辺では釣果を待ちながら競馬等を聞いている光景を見る事が出来る)     今は前だけ見ればいい♪    信じる事を信じればいい♪    愛も絶望も羽になり♪    不死なる翼へと~♪ 「はにゃッ!?」 なのはが幼少時の時のような素っ頓狂な悲鳴を上げる (プ、、、Pray……!?) あわわわと狼狽するエースオブエース 「いい、今その曲をかけちゃダメぇぇえッッッ!!!!」 「うおおっ!?」 「止めてッ!! 今すぐッッ!!」 なのはの剣幕におっさん、大いにびびる 急いでラジオを止めさせるも――時既に遅しッ! フェイトの目に灯ったマグマのように熱い炎はもはや鎮火不能 魔力が、闘気が、気勢が、まるで昇竜のように迸り 金の裂光が稲光と共にフェイトの周囲に巻き起こる あからさまに戦闘力が、 いや、そんなものではなくもっと根本的な力が、 存在の力そのものが増大しているッ!? もう通常の二倍、三倍とも言える値で―― 衛宮士郎におけるEMIYAと同様 PrayをBGMにして進むフェイトは無敵だ―― もはや、高町なのはでも止められない バインド+スターライトブレイカーの直撃でも彼女は耐え切るだろう 456 名前:クロス式・意外と壮絶な機動6課隊長陣の休日[sage] 投稿日:2009/06/26(金) 12:09:29 ID:9PsYti6R 何だこれは… 何なんだこれは… まるで個の力ではどうしようもない波が押し寄せてくるような―― 悪魔が、この最悪の状況を後押ししているような―― なのはがまごついている間にも半裸の天使は歩みを止めない 後ろで束ねた見事な金色の長髪を、なのはの竿から伸びる糸にくくりつけ始める 何を……この上、何をする気なのかって――― ああ、もう分かった! 何をしようとしてるのか一目瞭然! 清々しいほどに分かってしまう!! 「フェイトちゃんっ! 駄目ぇ!!」 なのはが駆け寄って手を伸ばす 必死で親友の体に手を伸ばす だが、、 その手がフェイトの肩に届く事はなく――― 瞬間、交錯する赤い瞳が、、 ――― 行ってくるね… ――― と、告げていた 「はぁ!」 なのはの手が空振りし、空を掴む そしてそこにあった筈のフェイトの肢体が地を蹴り 宙にその身を躍らせて――そのまま半回転ほど決めた後、、、 勢いよく堀の中、 水中にダイブしていたのだった ―――――― 既に常識という範疇から超えた ルールという一線など無きに等しいこの勝負 謂わばレギュレーション違反も倫理もくそ食らえという事である ことに餌周りに関しては、神界の果実や未来のルアーすら登場してしまっている ならば―― ならばルール無用の戦いならば―― 人が餌になっても、何の問題もないであろう 457 名前:クロス式・意外と壮絶な機動6課隊長陣の休日[sage] 投稿日:2009/06/26(金) 12:11:05 ID:9PsYti6R そしてその場合、アーチャーの見立ては正しい 彼女が正しく機能すれば―― 一瞬で勝負は決するのだ どんな状況でもオールラウンドに闘えるフェイトであったが ことに水属性が支配する戦場においては彼女は無敵を誇る 何故なら彼女は「雷光」――― 水気漂う戦場においてその力はまさに無双 最強の傍若っぷりを発揮するのは自明の理 まるで体操選手のように、その場で数mほど宙に舞い上がり そのまま堀の中にダイブしたフェイト その女性の凹凸豊かな体が水面を叩いた瞬間―― ばっしゃーーんという、水を叩く音が場に木霊する 美しい流線型の体が完全に水中に消えるまで時間にして一分足らず なのはならば止める事も出来ただろうが、、 皆、冗談のような展開に飲まれ……止める事はおろか、一歩も動けなかった 人魚姫が水中に没し、静まり返った水上に ブクブクと空気が上がってくる音だけが聞こえる なのはが、アーチャーが、客が、 目を見張り、固唾を呑んで見守る中――― 「………あ、、、」 この中で唯一、「その」兆候を感じ取る事の出来るなのはが間の抜けた声を上げた後、、 ――――― バリバリバリバリバリバリバリ、、、、、!!!!!!!!!! と、水面に、プラズマが走る音が響き渡る………… まるで水上に花が咲いたような、美しい紫電の軌跡だった 金色の線がまるで蜘蛛の巣のように水面一杯に広がり、、 水が泡立ち、騒然とし、海水のように波だっている そして――――― ――― 全てが、、、終わった ――― ぷかーーー、、、と――― 突如として襲い来る落雷に打たれた魚は 身を守る術も抵抗する意思も持つ事を許されず 力なく水面に浮きあがってきたのである………… 458 名前:クロス式・意外と壮絶な機動6課隊長陣の休日[sage] 投稿日:2009/06/26(金) 12:13:14 ID:9PsYti6R あまりの事に二の句の繋げない大衆 惨状にシーンと静まり返る釣堀場 そんな中、、ヘナヘナと―― 正座座りのように、その場に腰から崩れ落ちるなのは エライ事になったと、、その頬がヒクヒクと痙攣していた ―――――― 餌は魚を釣るための道具に過ぎない 餌そのものが自律行動をして 魚を引っ掛ける、捕獲するといった行為は認められない 故に餌に過ぎないフェイトが、水中で魔法を使うわけにはいかない 彼女がやったのは、その体内を覆うオーラを開放したのみ それならば、自身の肉体から自ずとこぼれる物ならば、 それは自身のアクションとは取られない 撒き餌から滲み出る血のようなものである 故にルールでは何の問題も無い あとは結果をごろうぜよ、だ 裸体となった彼女の、その素肌から直接溢れ出た電流は 魔法という媒体を使わずとも既に膨大かつ強大 そんな彼女の魔力特性「電撃」がこの水面全体に独りでに流れ込み――この結果を叩き出したのだ 顎が外れかかっている観衆… 無表情の英霊さんたち… 呆然と見守るしかないなのはを前に… 水面がもこりと盛り上がり、、ばしゃーーんと、、、 まるで芸を仕込まれたイルカのように その肢体を跳ね上がらせて水面から躍り出るフェイト クルクルと宙で回転する肉体 水上を舞う黒い下着の人魚姫 その艶かしさ、その瑞々しさを前にして 唖然としながらも、客の中に無様に前かがみになっていらっしゃる者がいるのも無理からぬ事であろう そして人魚のごとき肢体が息継ぎを終え、また堀の中に潜水する 後ろ手に大量に浮かぶ魚の群れを従え 美しく乱舞するは音に聞こえた雷速の魔道師、ライトニング1 当然―――魚は一匹たりとも死んではいない 全て彼女の絶妙な魔力コントロールの賜物 非殺傷設定の電撃魔法だ 459 名前:クロス式・意外と壮絶な機動6課隊長陣の休日[sage] 投稿日:2009/06/26(金) 12:16:09 ID:9PsYti6R プカプカと浮いている魚は皆、気絶しているだけであった 「―――――良い友達を持ったな」 「……ありがと」 「―――――あそこまでしてくれる者はそうはいまい」 「……私もそう思う」 「まあ当然、キミ達は反則&迷惑行為で退場だがね……  後は私に任せて帰りたまえ」 「……………」 そうだ、、、 確かにこの所業は、餌としての定義には微塵も抵触してはいない…… だが――― ――― 他のお客さんのめいわくになる行為はやめましょう ――― という、基本的なルールをぶっちぎりで破ってしまっている あの法の専門家のフェイトが、こんな基本的な過ちを犯すなんて、、 サルも木から落ちるどころの騒ぎではない 腕を組んで、してやったりの弓兵の言葉に、空ろな魔道士が辛うじて受け答える 「それで……? この後、どうやったら貴方の勝ちになるのかな…?」 「ふん――簡単な事だよナノハ、、キミらのいなくなった後の戦場  これより先の戦いは、水揚げされた魚をあとはひたすらに拾い集める戦となり  気絶した奴らに対し、餌や道具の質&量で勝る英雄王のアドバンテージはほぼ消える……  要は今後、とにかく速さのみの勝負となるのだ――そして!!」 組んだ腕を広げ、手を前面に出して猛るアーチャー 「そして速さならば!!!  我が無限の剣製は、王の財宝に一歩抜きん出る事が可能ッッ!!」 まさに錬鉄の英霊の筋書き通り―― これは事実上の勝利宣言と言っても良いであろう 歴史に埋もれた反英霊 剣製の極致を極めし孤狼が今、全てに牙を剥いたのだった ―――――― 460 名前:クロス式・意外と壮絶な機動6課隊長陣の休日[sage] 投稿日:2009/06/26(金) 12:19:24 ID:9PsYti6R さて、、 以上、弓兵の能書きをただ黙って聞いているなのはさん… いつもの穏やかな笑みはすっかりと消え失せ どこか遠い目をしている教導官 目の前の堀は既に雷神の住処と化し、何人たりとも手を出せず そんな雷の池で相変わらずシンクロナイズドしてるフェイト 何か吹っ切れたような顔をしてる、、 たぱーんたぱーん、といつまでも……上がって来る素振りすら無い そしてそんな救いようのない状況の中、取り残されたなのは 呆然とした表情のまま―― 目だけがナイフのように鋭く、横の弓バカを射抜いていた 「相変わらずの戦上手ってとこか……  計算づくだったんだね、、全て」 抑揚の無い乾いた声で言う 周囲の空気がビリっと凍りつき、、 精霊が得体の知れない恐怖に苛まれ、震えるが 悦に浸ったアーチャーは全く気づいていない 「どうかな……最後は出たとこ勝負のきらいもあった  まあ、どちらに転んでも私の不利に働く事はあるまいと踏んでいたが――  決め手はキミ達の友情の深さという事にしておこう  持つべきものは親友―――羨ましい限りだぞナノハ」 フン、と鼻で笑う弓兵、、、 アホである、、、 ここに来て、堤防が決壊するか否かの最後の一線を軽々と踏み越えた男… 流石は一人、勝利に酔う事に慣れ切った英霊さんであった… こんなに近くで  ぷつんッ!!、という―― 何かがブチ切れる音すら―― 今のこの酔っ払いは気づかないのだから………………… 461 名前:クロス式・意外と壮絶な機動6課隊長陣の休日[sage] 投稿日:2009/06/26(金) 12:22:18 ID:9PsYti6R 「さて――ナノハよ……先ほども言ったが」 「…………」 「後は私に任せて、あの電気ナマズの化身をさっさと水揚げした後、下がるが良い  春先の行水で体も冷えている事だろう……早急に水気を拭い、温かいものを飲ませる事をお勧めする  この戦いに終止符を打った後、茶くらいは馳走する故、あそこのベンチで待 ぐ ほ ぉ ッ ッ ッ !!???」 ごめしゃああぁぁああ、!!!!という――鈍い音が当りに響き渡った 次いでライフルのヘッドショットを食らったかのように弾け飛ぶ白髪の頭部―― そしてのけぞる赤いコートの肢体から、跳ね返るように弾け飛び 地面に落ちたのは………ウーロン茶の缶、、 たった今、高町なのはの手からオーバースイングで投げ放たれた 中身のたっぷり詰まった350ml砲であった…… 「ぐおおおおぉぉぉぉおおおッッッ!!!!????」 踏ん反り返った姿勢のまま悶絶する弓兵 英霊とはいえこれは痛い 「バッ!!? 何をするのだキミはッ!!  サーヴァントを殺せる威力だぞッ!! 今のはッ!!!」 声を荒げて糾弾しようと体を起こしたアーチャー ―――で、あったのだが、、、 その空気の読めない鈍感男も、今ようやく悟る事となる―― 目の前のワンピースを纏ったモノが 魔法少女から、別の存在に変わってしまっている事に… 「―――――――は、」 盛大に顔が引きつるアーチャーである 「………………大げさだよ、、バーサーカーの攻撃すら凌いだんじゃない…貴方は」 ニコリともせずに答えるなのは 「お、落ち着け………キミはつくづく洒落というものが通じない女だな…  そんな事ではこの先の人生、苦労すると思うのだがどうか――」 「洒落で人の親友を辱めたり、裸に剥いたりしたんだね」 「いやいやいやいやっ!! 待てっ! こういった祭りの場では、互いの暗黙の了解としてだな!  自ずと自身に割り振られた配役を演じる事が舞台を円滑に回す秘策となる!  生真面目な女戦士にいじられ役の気弱女性、傍若な悪役と来れば  あとは狡猾な策士しかあるまい! これも配役の妙と言うものだ!」 「へえ……配役なんだ、、、  じゃあ最後まで演じないと舞台の幕は降りないね」 463 名前:クロス式・意外と壮絶な機動6課隊長陣の休日[sage] 投稿日:2009/06/26(金) 12:23:56 ID:9PsYti6R 「さ、最後まで――?」 「そう、最後まで」 ――― 正義の味方に退治されて果てるまで ――― なのはの右手に 350ml砲の次弾が装填される 何という皮肉か…… 正義の味方になりたかった青年は時を経て 知らずのうちに――正義の味方に倒される側に回っていたのだった 「おお、落ち着けと言っているのだっ!!!  たかが釣りの勝敗で暴力に訴えるなど幾らなんでも大人気ないとは思わんか!?」 「お互い、大人気ないよね……ほんと  で、結局何がしたいの貴方は?」 「フ……此度、応じた召還において私にさしたる存在意義もなく、叶えたい願いもありはしない  だが――この身はこれでも守護者の端くれだ……  戦場に生き、痕跡を残した英霊として、此度駆ける戦場を彩るもまた良しと (じゅ、――)」 語り出すアーチャーに楔をぶち込むように―― 頬の数ミリほど右を、何か高速の物体が通り過ぎる 焼けた頬の焦げ臭い匂い… 耳が捉えた風切り音 弓兵のクラスである自分をして舌を巻くソレの脅威 もはや小型のレールガン並の威力と速度を持ったものだと断定できる 「ごめん、、もう少し分かりやすく言ってくれる?」 更に次弾 桃色の魔力がたっぷりと乗ったCCレモンの缶が己が額に真っ直ぐに向いている さあっと血の気が引くアーチャー 「そ、そんなものをところ構わず乱発するほど迂闊な魔道士とは思わなかったぞっ!!  周囲の客に当たるとは考えないのか!?」 「私、その手の誤爆、した事ないんだ」 「ああそうだなっ! そうだったなッッ!!  大したものだキミの空間把握能力はッッッ!!!」 ―――英霊の弱点は生前のものに起因するという ならば今の弓兵の弱点は―― 鳥肌が立っている… 生前の恐怖が蘇る… 遠坂凛とセイバーと―― そして彼女の共同監修で衛宮士郎に施された、、 464 名前:クロス式・意外と壮絶な機動6課隊長陣の休日[sage] 投稿日:2009/06/26(金) 12:26:18 ID:9PsYti6R ――― 「無茶」矯正プログラム ――― あかいあくまと金の獅子もさることながら このしろいまおうのパートは、もう鬼そのものだった 無表情で人の体を絞り上げてくるアレはまさに地獄 何が「あくまでいいよ…」だバカタレこっちが死ぬッ!!死んでしまうっ!! そう、、今の、、今の彼女の表情がまさに、まさにっ――― これ以上、彼女の凝視に耐えられず 男の背中を向けて語りだすアーチャー 「見苦しいぞナノハッ!! キミらは見据えた未来において  どのような困難が降りかかろうと――その覚悟を決めて戦場に立つ事を選んだ!  ことに今、この場に至って闘うべきは己自身!  フェイトとて、キミの勝ちたいという願いの元に、あのような凶行に身を委ねたのだ!  その想いもまぐほあっ!?」 警官は後ろを向いた相手を撃たない―― 正義の味方は相手の口上の途中で攻撃はしない―― ああ、、、、嗚呼…… そんな常識――このしろいあくまに通用する筈がなかった、、、 尻に強烈なサイドキックが突き刺さり 赤い背中が重力を無視したように弾け飛ぶ 女の蹴りじゃない… そのまま放物線を描いて堀の真ん中まで運ばれ ばしゃーーんと着水する赤い背中 「ぬわーーーーーー!!?」 そして池の中、サーヴァントの断末魔が木霊する 非殺傷設定の電撃は、魔力で編まれた肉体に対しては容赦なく大ダメージを与える 池に張り巡らされた稲妻に絡め取られ、もがき苦しむ弓兵 ここに来てなのは&フェイトの合体技の餌食である 更にそれだけではない……男の持つルアーや竿と、地上に陣取った数々の小道具 それと糸が上手い具合に器具一式に引っかかり――― タパーン、タパーン、とドミノ倒しのように纏めて堀に落ちたのである 当然、魚を囲ってあるボックスも――― 水没していく道具一式、、 ボックス内の魚が悠々と堀に還っていく、、 「自分と闘って喜ぶのは貴方だけで十分だよ」 エースオブエースの冷たい台詞と共に―― 悪の弓兵はその悪辣な手段で溜め込んだ貯蓄を全て吐き出し、、 自らも池の藻屑と消えた…… 466 名前:クロス式・意外と壮絶な機動6課隊長陣の休日[sage] 投稿日:2009/06/26(金) 13:03:20 ID:9PsYti6R それが多分、ソイツの最期の光景―― ソイツは策に策を重ねた末に 最後はその自分の策に溺れ、、 堀に溺れて―――あっさりと死んでしまった ―――さようなら、アーチャー 「おおぉぉぉおおおっっっ!!!」 ………… ―――こんにちわ、アーチャー 「わ、私の今日一日の釣果がぁっ!!  いくら何でもこれはあんまりだぞナノハッッ!!?  そのトシまで魔法少女を謳いながら、慈悲の心の一片も持ち合わせていないとはどういう了見だっ!!?」 ……つくづくしぶとい男である 「まだだッ! まだ終わらせぬッ! せいぜい手を抜け魚どもッッ!!  その間にせめて失った半数は引き戻してくれるッッ!!」 魔力ダメージ付きの電撃のプールをタパーン、タパーン、と爆泳しながら 浮かんだ魚を拾い回る白髪野郎 この執念はホント、どこから来るのだろう… 聖杯戦争、マジでアングラーのクラスを設けてやった方がいいのでは、と思う ――――主に彼だけのために 「ふう……」 そんな憎めない悪漢に思う存分、制裁を叩き込み ため息をつく高町なのは 「…………真面目な時はあんなにかっこ良くて強いのに、、」 真剣勝負で、自分に本当の意味での敗北を味わせる事の出来る相手―― ギルガメッシュですら彼女の心までは折れない そんな不屈のエースオブエースを一度 心身共に完膚なきまでに叩き折りかけたほぼ唯一の相手だというのに…… そんな、反骨心とか――あるいは憧れとか…を抱かせられた男の痴態を前に とても複雑な気分にさせられながら、、   「まったくもう……!」 と、頬を膨らませてむくれる高町なのはさんが 決死のバタフライ決めてるあの背中に対し、べーー!と舌を出すのだった ―――――― 639 名前:クロス式・意外と壮絶な機動6課隊長陣の休日[sage] 投稿日:2009/07/04(土) 06:13:58 ID:OTuT3JdF ざわざわ――― 周囲から 「どうすんだこれ…」 「収拾つかんぞ」 と漏れ出る言葉が耳に入ってくる… (……あ、あぅ、、) 頭を抱える教導官 正規の作戦行動中においても未だかつて ここまでのピンチがあったであろうか? 現戦況をいかにして沈静化しつつ―― どうにかして、あの雷の中で踊り狂う親友を回収し、この場から立ち去るか それを限られた時間の中で考えなくてはならない 「姉ちゃん」 そんな思慮に耽るなのはの肩を、常連さんがポンと叩く ビクッと体を振るわせるなのは 「ぁ………す、すいません  ご迷惑かけて…すぐに対処しますから」 「いや別に俺たちはいいんだよ  なかなか面白い勝負だったからな」 快活な表情でそう言われ、ほんの少し罪の意識が軽くなる魔道士であったが、 「だが………確かにそうした方がいいな」 その後、妙に声を潜めてそう続ける親父さん (…?) 何かを含んだような物言いに疑問を感じるなのはだった 見ると彼の後ろにいる他の常連も その人と同じような面持ちでこちらを見ている 妙な態度だった… 彼らの態度は自分らの行った迷惑行為に対する怒りや不審ではなく 加害者である筈の自分らをどこか心配している風体すらある

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