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そう叫んで何もかもが終わればどんなに幸せだろう、自分らしからぬ責任放棄とも思える言葉、私は逃げたかった、私らしくない、だけど私は逃げたかった。 ―――初めて人を殺してしまった事 ―――私達が殺されてしまうと言う現実に 叫びたい、逃げ出したい カラダガフルエル、ニゲタイ、ニゲタイ、コワイ、イママデノワタシヲカナグリステタイ、イヤダ、シニタクナイ、ワタシハイキタイ、 ダッテワタシニハカエリヲマッテイルヒトガイル、マダシニタクナイ だけどそう思っても無駄、無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄――― なんでこうなったのだろう? いつも通りのいつもの仕事、ただそれが自分の住んでいる世界で起きた事、その世界に存在する「真祖」を捕らえよとの命令、それは危険なもの、 それは危険な存在、それは人に害を与えるもの、そう教えられた私いや私達は…どこで知ったのか私の親や兄や親友の狐や兄嫁とそれに仕える メイドは猛反発した、実力行使を持ってしても私達を止めようとした。心強く大好きな父やお兄ちゃんが私達に向けて刃を振り落とす、 親友の狐が山を消し飛ばさんの勢いで電撃を放つ… ―――真祖には手を出してはならん、と ―――何故?何で?どうして? 私の邪魔をするの?私は間違っていないんだよ。家族達を、親友たちを守る為にでもあるんだよ、 なのにどうして私達の邪魔をするの?どうして私達に刃を向けるの?ねぇ、私達の考え間違っているのかな? おかしいのかな?そんなわけないよね、私は間違っていない、間違っているのは貴方達だから… ―――スコシ、アタマヒヤソウカ? ―――ワタシハナニモマチガッチャイナイ、ダッテワタシハズットタダシイミチヲアユンデイタカラ だがそれは本当に正しいものだろうか?ずっと正しいと思っていた道はじつは間違いじゃないのか、私はずっとお話を聞かせてもらった …私を知って欲しかったから。 だからこそソレを庇う様に立ちふさがる青年に私はお話を聞いてもらおうとした。だけど青年は取り合わない。 ―――カエレ! 青年は叫ぶ、どうして?どうして私の話を聞いてくれないの?どうして私の話を分かってくれないの?今まで私と話をした人はずっと分かってくれたんだよ …嗚呼そうか、ならば心苦しいけどいつも通りに、私は不屈の心を青年に向ける。 ―――じゃあ、お話聞かせてもらうよ 青年は人よりちょっと体術が上であった、確かにナイフによる斬撃は鋭いけど、 シグナムさんやフェイトちゃんとよく模擬線を行う私にとっては十分避けれた。 ―――ほんのちょっと痛いけど、我慢してね 私の放った、砲撃だがそれを青年はナイフの一振りで掻き消した… ―――え? 防がれてもあらゆる盾をぶち抜き続けた私の砲撃… ―――ナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデ 圧倒的優位にもかかわらず私は恐慌状態に陥った、そして半狂乱になった私は青年に向けてあらゆる砲撃を放ってしまった、 そう絶対的自信のあった砲撃を掻き消された事に少しだけ脅威を感じた事、本当なら抑え役がいるのに今いるのは私一人 …後悔しても遅かった、四方八方から放たれた砲撃は青年の全身を包み込み… ―――遠野志貴と呼ばれるニンゲンは血と肉との塊に成り果てた。 嗚呼、殺してしまった、人を初めて殺してしまった、撃ってしまった後味の悪さ、 何より人を救うはずの信念が容易く崩れ去る事に…でも今は任務の為に頑張らなければ、後悔は後でしよう ―――志……貴……… ―――志貴が殺された?殺された?何故?どうして?志貴が殺されなければならないの?何故?どうして?どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして… 「私は時空管理局所属の高町なのはです、アルクェイド・ブリュンスタッド…貴方をランクSS級危険人物として貴方を保護します、私と心苦しいですが…                「お前が志貴を殺したの?」                                 …ツッ」 ―――嗚呼、そうか、こいつらが志貴を殺したんだ、私とっての日常を奪ったんだ、かけがえのない人を奪ったんだ…嗚呼、どす黒いなにかが体中を駆け巡る。 ―――コイツラガ!コイツラガ!コロシテヤルコロシテヤルコロシテヤルコロシテヤル!コロシテヤル!タダコロシテヤルモノカ!    ワタシノダイジナシキヲウバッタコトヲコウカイサセナガラコロシテヤル!コウカイナンテナマヤシイモノデハナイ!     シヨリサイジョウノクツウヲアタエテヤル! 私は後悔した、父や兄や兄嫁達が警告した言葉は間違ってはいなかったんだ、そう私達は触れてはいけないものに触れてしまった、 そしてその存在を怒らしてしまった。目の前に降り立つ満月と城を背景に降り立つ純白のドレスを着た美女、私達は飲まれた、 その美しさじゃない…その殺気に脅えている、恐怖している、目の前のたった一人の女性の前に…逃げなきゃ、その判断は間違ってはいなかった… そう間違ってはいないのだが 「逃がさぬ」 女性の言葉で空間が歪み、あらゆる魔法が無力化される… 「あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ…」 体がすくむ、足が震える、声が出ない…動けない… あれからどれぐらいの時が立つのだろう、ほんの10分程度かもしれないし1年かもしれない 「イギャァァァァッァァァァァァァァァ」 私は度重なる苦痛にただ絶叫する、腕や足が砕け、内臓を引き摺り出される…普通なら死ぬほどの拷問、 だけど私は生かされている、心も砕かれていない、そうそうされているのだ。 「殺して…殺して…」 私は生かされて続けて、「ソレ」によって延々と拷問が加えられる。 「殺さない」 無表情で「ソレ」は言う。 「貴様は志貴を殺した…楽に殺してやるものか…存分にその罪を刻み込んでやる」 「ソレ」は泣いていた、赤い涙を流していた。私は理解した、この人は大事な人を奪ってしまったのだ、私はその報いを受けているのだ、 絶え間ない苦痛の中で私は愛しき血のつながっていない子供の顔を浮かべる。 ―――私がいなくても生きていけるかな…大丈夫だよね、強い子だから… 絶え間なき苦痛…そして私はそれから解放された。 4人の女性がその場にいる、一人は「兄さん、兄さん」と泣きながら男の亡骸に縋り付き泣いている。 一人は法衣を着てただ男の亡骸を眺めている、その表情は悲しそうだった、もう一人はその光景をじっと見ている。 「アルクェイド…」 「終わったわ…殺した…後悔させながら甚振って…」 「アルクェイド、貴方はこれからどうするのです?」 法衣を着た女性が血塗れのドレスを着た女性に問う、血濡れの女性は言う。 「帰るわ…私の居場所に…志貴がいない…こんな場所にはもういれない」 血濡れの女性は言う。 「この眼鏡貰っていっていい、ブルー?」 血濡れの女性の問いに長身の女性はそっけなく言う。 「いいわよ、元々それは姉貴のだし」 血濡れの女性は最愛の人の頭を撫で微笑むと言った。 「ほんの刹那の時だったけど楽しかったわシエル、妹、ブルー…さようなら」 血濡れの女性は眼鏡を愛おしそうに抱きしめるとその場から去った。 しばらくして、地球と言う世界に存在した時空の守護者を自負する者達が消滅するのはそう長い日ではなかった。

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