少女は夢を見ました―――
少女は不思議な出会いをしました―――

出会ったのは黒い衣装を纏う、鈍い光沢をたたえる銀髪、血のように紅い瞳

その人は少女を慕っていました。
それは当然です、少女を慕う者達の頭領だから、慕う者達とすべて繋がっているのだから。
その人は少女にあいさつをする、少女はその人に挨拶をする。
そして少女は触れてしまいました自分の家族が行ってきた行為を
主の為に剣を振るう烈火の将、槌を振るう鉄槌の騎士、空間をつなげる泉の騎士、彼女らを守らんと己を盾とする守護獣
しかしそれは殺戮のため、欲望のため、主に言われるまま家族たちは凶刃を振るいます
切り裂かれる兵士、潰される騎士、体を貫かれ魔力を奪われる魔法使い、盾に噛み砕かれる戦士
それだけではありません暴走したそして歪んだ力は世界をそして主さえも喰らいます
滅びの日、主を喰らい暴走した力は世界を滅ぼします、そして人々の怨嗟の声が少女に響きます。
少女はその怨念と憎悪に取り付かれ壊れかけました、しかしその人は少女を優しく抱きしめてこういいます。

「貴方をこのような目に合わせない、そしておこさない、なぜなら私たちは皆貴方の事が好きだから」

それはその人自身いや闇の書と言うプログラムが生み出した意思、始めて触れた温もりはとても尊いモノでありました
だからこそすべてを賭けてもこの少女、家族と読んでくれる少女を守りぬこうとしました。
その人の温もりに少女は心地よさを覚える、亡き母が父が彼女をそう温かい体で抱きしめてくれたように、抱きしめてくれたその人の体もとても温かいものでした。
しばらくその温もりに身を委ねました。そしてその人は言う。

「夢の中ですがお茶とお菓子のご用意をしますのでしばしお待ち下さい、そしてしばしの間共に語らいましょう」

その人は少女に一礼すると消えていった。
孤独、少女は一人ぼっちだった。
だけど少女に寂しさなんてありません、何故なら少女には家族がいるから、自分の事を愛しそして自分が愛する存在がいるのだから…
ふと少女の目の前に扉があります。
その扉には厳重な鎖が巻かれております、そして大きな鍵が丸で木の実のようにいくつもぶらさがっています。まるで何か巨大な怪物を封じ込めるように
少女はほんのはずみでその扉に触れてしまいます
すると扉を縛り付けていた重厚な鎖は錆びて砕け散り、同じく鍵もまた消滅してしまいました
少女の目の前には扉と取っ手があります。
少女はそれを触れてはいけないものと一瞬思ってしまいますが、ちょっとした好奇心の為かその取っ手に触れてしまいます。
そして少女はそのドアを開いてしまいます。

―――それは騎士たちが忘れ去りたいもの、管理プログラムが忘れ去りたいもの、闇の書すべてを忘れ去りたいもの

               「ソレハ殺戮ノ果テノ敗北」

闇の書をもった人がある星にやってきます。
彼は自分の住んでいた星(世界)から追い出されました、彼は憎んでました、自分を追放した星(世界)に
復讐の為に彼は書の力を解き放ちます、書の力、神の力に匹敵するものをもって追放した者達への復讐、そしてこの星の王とならんが為
無論その星にいる者達、英雄達は剣や槍や弓や斧などの様々な武器を手に抵抗をします
しかし騎士達は抵抗する英雄たちを次々と屠りその力を書へと還元していきます。
騎士達は英雄達に幾度となく敗れることがありました、しかし騎士達は死にません、何故なら書の力を持ってすれば騎士達を復活させる事等容易いのです
そして何度も復活する騎士達の前に英雄達は膝を屈します、この世界は彼の物になってしまうのでしょうか

星(世界)には世界を守護する者達がいます、それは鳥、それは竜、それは神、それは青(カンプ)、それは人、星(世界)にとっては様々です
守護者達は自分の星(世界)を汚すものを許しはしません、守護者が呼び寄せた英雄は騎士達と戦い打ち倒し打ち倒されました
たとえ騎士達を撃退した英雄でも、大陸を駆け巡った英雄でも、国を救った英雄でも、たとえ倒しても何度も復活する騎士達の前には適わず力尽きます
守護者達は苦悩します、守護者達には汚す者達を倒す為にあらゆる策を練ります、幾度となく復活する騎士達を倒しその元凶を叩き潰す力を持つ者を

それは12の試練を乗り越え、その力を得るために家族を親友をそして自分から知性などを投げ捨てただ力を求めた英雄「凶戦士」
それは祖国を守り続けてその苛烈さ故に国や民に裏切られても尚に国を信じて戦い抜けた英雄「騎士王」
それは自分の欲望のためにただ大陸を駆け巡った、しかしその純粋さ故に多くの英雄達に慕われている英雄「征服王」
それは神すら己にとって踏みにじり平伏させる存在ですらない、世界を制し全ての頂点に立った、しかし立った故に孤独になった英雄「英雄王」

それは大地の守護獣にして、あらゆる霊長類に対して絶対的な殺害権を持つ白き獣「ガイアの魔犬」
それは遠い星(世界)からやってきた星の意思そのもの、実はうっかり者、最凶の祖「水星」
それは最初に堕ちたもの、その力をもって堕ちたものを束ねる長、最古の死徒「六王権」

本来なら神聖不可侵である偉大な英雄や手を出してはいけない堕ちたものを呼び出そうとしましたが守護者達はもう一つの存在を思い出しました
しかしそれを呼び起こすのは躊躇します、それはあくまで狩るべき存在が指定された者
守るべき存在を犯し、衝動に任せたままにその猛毒を喰らい、犯されそして堕ちた者を狩る者
それは数少ない真祖の「最高傑作」、それは「真祖の白き姫」、それは「悪魔と戦うもの」、それは「朱の月を受け継ぐもの」、それは「最強の兵器」

                  その名は「アルクェイド・ブリュンスタッド」と言う


それは自我亡き兵器、受けた指令をただこなし、そして全てを狩りつくして眠りそれをただただ時の流れるまま続けたもの
しかしそれはあくまで堕ちた者を狩るだけの指令を受けた兵器、果たしてその兵器は星を犯すもの達を排除するのでしょうか
守護者達は一計を行い、その兵器に対してとある刷り込みをします、刷り込む計は簡単でした
即ち星(世界)を汚すもの、騎士達を堕ちたものとして認識させるのです、騎士達だけではなくそれは書の所持者そして書そのものを
そして刷り込みによってそれらを騎士達を主をそして書を「堕ちたもの」と認識した「兵器」は容赦なくそれに対し己の務めを果たしました
そして騎士達は守護者達の計によって「兵器」が眠る城にまで運ばれます

「やめて…」

少女は言います
目に映るヴィジョンは家族が次々と殺されては復活してまた殺されるその繰り返し
騎士と将を守るはずの守護獣はその盾を砕かれ、魔狼は口から裂かれます
ある時は「兵器」に牙を付きたてようとしますが、突き立てる間もなく頭から叩き潰されます
ある時は「兵器」の手が体を貫きます
ある時は真っ二つに切り裂かれます、引きちぎられます、エトセトラエトセトラ

「やめて…」

少女は言います
泉の騎士は「兵器」の力を奪おうとします、しかし奪うことは出来ません
何故なら彼女の手では「兵器」の力をつかみ切れないから、しかし痛みはあるはずです
しかし「兵器」にとって常人にとっては崩壊するほどの激痛が走る行為でも気にも留めません
何故なら「兵器」には「痛み」と言うプラグラムがないからです「ただ堕ちた者を狩る」それしかプログラムされていない
つまり「痛み」をプログラムされていない
そして「兵器」は容赦なく泉の騎士を惨殺します
頭を潰し、手を潰し体を引き裂く、地に付いた騎士の頭を容赦なく踏み潰す、エトセトラエトセトラ…

「やめて…」

少女は言います
鉄槌の騎士はあらゆるものを潰すと言う信条の下「兵器」を潰そうとします
しかし振り落とす前に「兵器」によって体を裂かれます
例え振り下ろしてもその槌は「兵器」に触れることも適いません
しかし万分の1の奇跡でその槌が「兵器」にあたっても「兵器」は壊れません、何故ならその槌は「兵器」の細腕一本で受け止められたからです
そして「兵器」の細腕は槌を一瞬で砕きます、そして「兵器」容赦なく鉄槌の騎士の小さき体をコワシます、引き裂きます、潰します、コロシます

「やめて…」

少女は言います
烈火の将はまとめる存在として実力はあります
しかし「兵器」にとってそれは些細な違いにありません
刃は受け止められ、蛇の刃も「兵器」に絡み付いても全く効果がありません
レヴァンティン」と言う炎の魔剣の業火でも「兵器」を燃やすことは出来ません
そして自身の持つ最高の技である神速の隼も「兵器」にとっては少しばかり威力の高い魔術にしかすぎません
放たれる矢は「兵器」の片手で捕まれます
そして将は無残に冷酷に「兵器」によって殺されます。

「やめて、お願いやめて!」

少女は叫びます
殺された騎士達は、すぐに無限復活プログラムによって再生、そして「兵器」と戦い惨殺されていきます
そして「兵器」が着込む「兵器」の心を表す純白なドレスと野は血によって彩られ次第に「深紅」へと変貌していく
何度も何度も繰り返し繰り返し、生を受けては消し飛ばされる、戦いを挑んで殺される、それは無間地獄
殺される都度に家族から発せられる絶叫は少女の心を容赦なく抉っていく
そして烈火の将の魔剣が持ち手毎砕かれ将は倒れ付し苦悶の声をあげるそれを尻目に「兵器」は容赦なく止めを刺そうとする

「やめて!お願いや!シグナムを、家族をこれ以上傷つけんといて!」

浮かぶヴィジョン、ホログラムであるにもかかわらず少女は騎士と「兵器」の間に割り込む

「もう十分やろ、お願いや…もう許して…うちの家族を苦しめんといて…」


少女は叫び「兵器」を見据える、「兵器」は絶世の美女と言っても差し付けない顔をしていた
自然に伸びたとは思えないほどのロングヘアーは綺麗に優雅に棚引き、そして血のように紅い瞳は少女を魅了する
そして兵器は少女にむけて歩き出す、それでも少女は「兵器」の顔を見据える
その意思は家族を守るという一点が少女を突き動かす
だが所詮はホログラム、「兵器」は少女の体を通り烈火の将に止めをさす

「何で!何でこうする!何でや!黙ってないで答えや!」

将の死に少女は泣き叫び「兵器」につかみかかろうとする
しかしそれはただのヴィジョン、少女の手は「兵器」に触れることは出来ない

「ううあぁぁぁぁ」

何も出来ない無力に少女は涙を流す
そして少女は見る、少女を抱きしめてくれた人、闇の書の管理プログラムと「兵器」の戦いを
その戦いは壮絶、一言で言うと神話に匹敵する戦いであった
拳と拳が打ち合うたびに空気と大地は激しく揺れ動く
神速と言う名にふさわしい戦闘、黒と白の光が互いにぶつかり合う

そして―――

「消え去れ」

「兵器」が始めて口を開く、たった4文字の言葉であったが心に響くほどの美声
「兵器」の顔が「深紅」から「黄金」に変化する
そして管理プログラムの至るところにどこからか現れたのか鎖が絡みつき、動きを封じる
もがき鎖を外そうとする管理プログラムしかしその都度に鎖は絡みつく
そしてプログラムは驚愕の表情を浮かべる、自分自身に

          「月が堕ちてきている事を」

             「偽りの月よ…」

         「プルート・ディ・シュヴェスタァ」

そして月はプログラムに落ちた―――

そして何もない野で「兵器」は呟く

「逃げたか…潰したのは一人」

だがこの世界から堕ちた者は消えた
その結果「兵器」は自分の城へ戻る、また次の任務を行うため長き眠りにつく

―――主!

声が聞こえる、ああそうや…私を抱きしめてくれたプログラムはお茶とお菓子を用意してくれたんや…
少女は声の主を見る、主の顔を真っ青であった。
そうそれは…

「申し訳ございません、主にとって不快な映像を見せるなんて」

必死に頭を下げるその人に少女は自分が悪かったといいそして全てを問いただす

「なんやったんやこれは」
「これは…私たちが一度だけ味わった敗北…本来なら抹消したいのですが深く根付いており消去できなかったのです…その為封印をしていたのですが…」
「分かった」

少女はそう言うとプログラムを抱きしめる。

「主?」
「過去につらい事もきつい事もぎょーさんあった…だけど私はそうさせへん、貴方にも家族にももうこんな目に合わせへん、安心してな」

プログラムは涙を流す、それは初めての涙…
少女は言う

「だから、貴方に名前を付けたる…今度会ったときに立派な名前を」
「嗚呼…」
「辛気臭い話はここまで、折角用意してくれたお茶が冷めてしまう、行こうな」
「はい」

少女と後に「祝福の風」と呼ばれる女性の二人きりのお茶会は開かれる
そして「祝福の風」は誓うこの優しき主を守り抜くと…

「久しぶりね秋葉さん」
「ええ、忍さんもお変わりなく」
「くぅん」
「あら、久遠も元気そうね」
異端の血筋を持つ当主、しかし二人の仲はよかった。そして月村邸宅の一室で久しぶりに二人きりでゆっくりとすごす
「そういえばノエルさんとイレインさんは?」
いつも親友の傍らにいるメイドの姿がいない、赤主の問いに夜の一族の顔が曇る

「え?襲撃?」
「ええ、二人組の女性に襲われて…二人は私を逃がす為に必死になって戦って何とか撃退したけれども、損傷がひどくて」
「そんな…彼女たちの戦闘能力は高いはず、それに琥珀が例の事件の際に改修して戦闘能力は上昇した、そう簡単にやられるはずでは」
「秋葉さん…闇の書をご存知ですか?」


そして愛するものを守るためこの世界で再び戦争は勃発する。

「うん、アルクェイドさん、私高町なのはとアルクェイドさんは友達だよ、そうだよねフェイトちゃん」
「うん、ええアルクェイドさん、友達ですよね」
「クス、うんそうだね!」


小さな魔法使いは真祖と遭遇する

「真祖、教えてください、貴女と闇の書に一体何の縁が…」
「私もです、アルクェイドさん…」
「忍、なのはちゃん…」

明かされる因縁、そして―――

「あの時以来だな真祖」
「ふん、真坂この世界にまたノコノコと現れるとは闇の書」

「変わったな真祖…あの時は「兵器」にか見えなかったお前がこうなるなんてな」
「それはこっちのセリフ、私にも大切な人がいる、それに愛しき我が子を滅ぼす真似はさせん」
「私にも大切な人がいる…大事な人がいる」
「考える事は同じって言う訳ね…」
「ならば、真祖…我が闇の書の力お前に託そう」

                      「「ユニゾン!」」

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最終更新:2008年10月30日 07:15