英霊ナノハに関する第一回報告書第四次中間報告

制作者『調べ屋』アマネ

関連項目

タカマチナノハの簡易歴史表・前

備考
タカマチナノハの活躍した正確な年代は実は分かっておらず、
(本人の予測から、新暦75年の約三百年程昔としか分からない。)
正式な年代表に当てはめるのは困難。よって便宜上
『一年目』『二年目』とさせて頂きたい。

『一年目』:何処からその時代の『聖王』が拾ってくる。
そのときは酷く傷ついており、生死の境をさまよったが、聖王の
『どんな手段を使っても構わん、絶対に助けろ!』
との命令にある『特殊な手段』にて一命を取り留める。
聖王に初めて口説かれたのもこの時期。
(ナノハ本人の分析によると、本当に自分に惚れていた訳ではなく、
自分の戦闘能力に目を付けたから、らしいが真偽は不明。)

『三年目』:聖王軍に入りメキメキと頭角を表していたところ、特殊鎮圧部隊の隊員に抜擢、
様々な次元世界にて、名を轟かす。聖王に(強引に)
渡された複数のカスタムデバイスの運用方法を確立させる。

『五年目』:大規模な勢力との戦争、これを勝利に導いたとして、騎士団長の位に立つ。
(この時に『無慈悲』に敵を完全殱滅したらしいが、詳しくは語られていない。
また、騎士団長に選ばれたのは聖王の指示であり、敵を殱滅したことにより、
他の騎士達に恐れられていたので文句を言われない地位が必要であったためである。)

『六年目』:長年の聖王のアプローチに遂に折れ、后になることを承諾。
ただし、『相手はしてもいいが、子供は産まない』ことが条件、
(上記の件で団員達に恐れられていたこともあり。)団長職を退く。
聖王と新聖王の戦闘訓練も引き受けていた。

『七年目』:聖王が死亡しゆりかごも大破、先代聖王と先代后
(つまりナノハではない。)の忘れ形見である
新聖王が王位継承できる歳まで、一時的に暫定聖王に。ただし、いくら皆を助けるためとはいえ、
聖王の命を奪ったものを『聖王』と呼ぶには嫌悪感を抱く者が多く
『魔王』の蔑称で呼ばれ、ナノハ本人も咎めはしなかったため、『魔王』の名が半ば公認となる。
(実はもう一つ由来があるのだがここでは伏せさせて頂く。)


『九年目』:二年後、数少ない味方の助けを借り、なんとか新聖王が即位するまで王座を守り通す。
『もう一年あったらきっとダメだった』とはナノハの談であり、
彼女が弱音を吐く程、『王』というのは大変だったとみえる。
新聖王が即位するとナノハは新聖王により、聖王を殺した罪を問われ、今までの功績を踏まえて、
極刑は免れたものの、前線送りへ、かつての最強の騎士の参戦に兵士達は喜ぶも、
(この頃にはゆりかごも修復が完了している。ゆりかごの修復のため
戦争のしようがなかったのもナノハが王座を守れた要因の一つであろう。)
一部のナノハを快く思っていない者達の妨害があり、背中も安心出来ない日々が続く。


後半部分は次回に──



地を駆けるは蒼、蒼、赤、宙に佇む色は白、ぶつかり合う色は
朱、黒、白、金、桜、赤、更に不可視の無色。色とりどりの煌びやかな見た目だが
しかし、第三者が居たのならばこう言っただろう──あれは戦争だ。と──


「・・・ショート」
『ショートバスター』
開幕早々いきなり大砲を撃つナノハそれは一直線にアーチャーに向かい──
射線上に割り込んだセイバーに弾き散らされた。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
そのまま上段に振りかぶりつつダッシュで駆け、裂帛の気合いと共にナノハを一刀両断しようと振り下ろす。
セイバー会心の一刀は、しかし相手の身にめり込む前に──
「ビット」
「────ッ!?」
彼女の金色の従者から出る、紅き刃にて止められといた。
──どんな武器だろうと、間合いとタイミングを外せば、その威力は激減する。
いかな聖剣だろうと、いかなセイバーのクラスを誇る英霊だろうと、その縛りからは逃れられない

──筈なのだが

(はぁー、ギリギリか)
その状態でも尚、刃は進み、ナノハの目前、十五センチの所で留まっていた。
魔力光の色が変わるほどの魔力を籠めた魔力刃、先の斬撃と己が経験から
目星を付けたビットの位置、ビットを固定するためのバインド、
それを二つ使い、尚上回るセイバーの斬撃。『まともに食らったら』と思うとゾッとするが、
しかし表情は眉一つ動かさず、むしろ──
「──やっぱり。剣には魔法も通じるみたいだね」
などと、笑いながら揺さぶりをかけるあたり、相当な胆力であると言えよう。
もっとも──
「──────」

ぶぉん!

──と、このように、今度はすくい上げるような斬撃を、即座に放つセイバーも負けてはいないが。
今度はまともに食らい、声も上げずに五十メートルほど空中に吹っ飛ぶナノハ──

──いや、幾ら何でもこれはおかしい。

そうセイバーは思ったのか追撃を掛けようとするが、
フッ!ガキィン!

「へっ───」
「むっ───」


距離を詰めていたランサーが追い付き、一瞬の空白の後、セイバーと再び激しい打ち合いを始める。
ランサーを倒せばナノハはどうとでもなると考えたか、
セイバーに加勢しようとするアーチャーに──天から大量の魔弾が降り注いだ──


──空中に吹っ飛んだナノハだが、何事もなかったかのようにあっさりと体勢を立て直す。
矢張り、先程のクリーンヒットはフェイント、実際はセイバーの一撃にタイミングを合わせて
押される形で空へと上がったのだ──。と、書くのは簡単だが
実践するとなると至難の業である。当たり前だが。

それに──
「くぅ・・・。──やっぱり空戦の一撃とは勝手が違うね。」
ダメージがゼロだったわけでもないのだ。何度も言うが彼女本来の戦場は空。
つまり、鍛えたスキルも、大半は相手も空にいることが前提のもの。
応用が効かないほど未熟ではないが、その程度では、陸の王者の一撃を完全に往なすことは出来なかった。
──が、何はともあれ空には上がれたのだ、狙うべきはアーチャー。
「クロスファイヤー・モードG・・・」
『クロスファイヤーシュート・Gシフト』
右手首周りに魔力スフィアを展開、既にロックしてある『眼』と同調させ──
「・・・シュート。」
『G』──ガトリングガンの様に連射した。


──セイバーに加勢しようとしていたアーチャーだが足を止め、
飛んできた魔弾を干将・莫耶で叩き落とす、だがいかんせん数が多い。
「む、ぬぉぉぉぉぉぉぉぉぉお!」
「アーチャー、私の影に!」
威力はそのものは大したことはないが、かといって
おとなしく何発も食らえば動きが鈍り、今度は先の大砲のいい的だ。
「──むぅ、すまん!」
やむを得ずセイバーが盾になる位置へ移動するアーチャー、
今度はセイバーとランサーに向かうが、セイバーはともかくランサーは
『矢除けの加護』があるとはいえ、魔弾を打ち払っている間に
セイバーに切り捨てられて終わりだろうと、そう思っていた矢先──。

──アーチャー達は知る由もないが、『クロスファイヤーシュート(以下、CFSとする。)』とは、
元々は彼女の教え子が使っていたものを、とある理由で彼女自身がアレンジして使ったもの
そして彼女の教え子は誘導弾としてコレを使っていた、つまり──

「──ブレイク」
ナノハが呟くと、今まで一直線の軌道だったのが、突然、二人をを回り込む軌道へと、動きを変えた。
「くっ───」
「へぇ───」
「チィ───」
三者三様の反応、特にアーチャーは舌打ち一つ鳴らすと、
直ぐ様、細い刀身を持つ長さ一メートルほどの剣──黒鍵と呼ばれる投擲用の剣である──。
を出現させ無数のCFSを迎撃する!
空中に花火が咲き乱れ、ナノハとアーチャー、双方の視界が遮られる。
ナノハの『眼』は直ぐにアーチャーを捕捉するが

アーチャーは──
奇怪な『矢』を弓につがえ、真っ直ぐにこちらを狙っていた──
「宝具───!?」
ランサーが驚きの声を上げるなか──。
「──I am the bone of my sword(我が骨子は捻れ狂う)」
「──゛偽・螺旋剣゛(カラドボルグ)」
アーチャーは『矢』放った──

アーチャーの放った『矢』それは反射的に放ったナノハのCFSをことごとく弾き散らし──
「──星の光よ」
『スターライトブレイカー』
『三つ目のビット』による天からの砲撃によって迎撃──
「──ッ!歪んだ盾よ!」
『ディストーションシールド』
──されずに突破し、続く『盾』にて防がれた──
「──ブロークンファンタズム」
瞬間、いきなり大爆発を起こした。堪らず吹っ飛ぶナノハだが、リカバリーをかけつつ、
「は、ぁぁぁ・・・。流れて、流星」
『スターダストフォール』
スターライトブレイカー(以下、SLB)で砕いた地面の破片を、
スターダストフォール(以下、SDF)でまるで流星群の如く降り注がせる。
その場から離れようとするセイバーとアーチャーだが、それをランサーが押し留める。
無論、ランサーにも直撃コースなのだが、彼の視界に入る位置に、常にナノハが居るため
『矢除けの加護』は発動している。よって、命中するのは相手のみ。
加えて、魔力攻撃ではないため、セイバーにも通じる攻撃である。

──これはまずい

一瞬のアイコンタクトの後、今度はアーチャーがランサーの相手となり、セイバーは──

「風よ────」

風の鞘の一部を解放し、その烈風を持って流星群を吹き飛ばす!
そのまま、ナノハへと風の刃が牙を剥くが──
「───ふぅん?」
空中にて華麗な舞いを見せ、事もなげに烈風を受け流し、そして──


「降り注げ、弾丸の嵐」『SDF』
間を置かず、先程から、ビットで生成していた、三百発余りの弾丸を撃ちだした。

原理は簡単だ、要は鉄槌の騎士の『シュワルベフリーゲン』と同じ類の魔法で
魔力で鉄の球ではなく弾丸を生成して、それをSDFで射ち出したのである。
セイバーに効くかどうかは微妙なところだろうが、セイバーにはそれが判らない。

──滝の様に降り注ぐ、弾丸の雨、既に『風』は一度使ってしまっている。
あの嵐を切り抜けるには、残りの『風』全てを使わなければ──いや、使っても吹き飛ばせるかどうか。
よしんば吹き飛ばしたとしても、もう一度使われたら詰みである。

もはや躱す術など無い。そう判断するしかない──

──だが、そんなものは、常人(こちら)の理屈。
その程度では英雄を測る事など出来はしない!

つまり──
「─────・・・」
ナノハ、ここに来て硬直。
それもその筈、三者とも──無傷で健在、降り注ぐ弾丸の嵐が届くその瞬間、
まるで示し合わせたかのように打ち合いを止め、
全員で凶弾の雨を弾き、散らし、叩き落したのだ。

──それが、ランサーが弾丸を叩き落とすための動作に入り自由になった瞬間に
セイバー、アーチャーも同時に凶弾を叩き落とす動きに入った結果である。
と、分かった者は少ないだろう。
サーヴァント達は一旦間合いを放し、戦場は束の間の静寂を得る──


──マスター達は揃って絶句していた。
「──なんなのよ、アレ・・・」
「・・・分からない、けどキャスターがとんでもない魔術師ってことぐらいは分かる。」
凛と士郎は知らない者として、(空中で)驚き──

「あれは・・・SLB?なのはちゃんのよりだいぶ細っそいけど・・・」
「でも、ビットによる、遠隔魔力蒐集。そしてその長時間保持・・
使用した魔力の再利用はただでさえ難しいのに、
それを遠隔蒐集で集束砲にまで持っていくなんて・・・」
「タカマチさんって凄腕なんやなぁ」
はやてとツヴァイは、知っている者として驚く。
そしてSDF時には──
「なっ、弾丸!?いつの間にそんなものを・・・。というか、一体どこの英霊なのかしら・・・」
「多分・・空に上がってからずっとだろ。・・・でも、『投影』とも違うな。なんだろう?」
空中の二人と──


「──ヴィータの?」
「はいです。タカマチさんのアレはヴィータちゃんの『シュワルベフリーゲン』」にそっくりです」
「古代ベルカの人っちゅうことか」
「ホントに昔の人なんですねぇ」
「で、名前が『タカマチナノハ』やもんな。しかも魔力の色は桜色。
 …案外、なのはちゃん本人かもな?」
「まさか。・・・そういえば、あまり会ったことはないのですが、どんな人なんですか?」
「そやねぇ~、・・・私と初代祝福の風を救ってくれた人や」
「・・・会ってみたいです。なのはさんに」
「・・・うん。任務が終わったら、会いに行こうな」
「はい。きっと生きて帰りましょう・・・」
──地上の二人は共に戦闘を見つめていた。

そして、遂に戦場は動きを見せる──


──ランサーと合流したナノハ、その周りには三つのビットがある。
「大丈夫?ランサーさん」
「ああ、しっかし、いつの間に三つ目のソレ(ビット)出してたんだ?」
「最初からだよ」
「最初ぉ?」
怪訝な声を上げるランサーに向かって
「うん。『細工は隆々』って、言ったじゃない」
「・・・って、オイ!俺のときからかよ」
「そういう事」
「全ッ然、気付かなかったぞ。・・・ってことは、なにか?
俺にさっきのアレ(SLB)がきたかもしれないってか?」
「『かも』じゃなくて、決め手のつもりだったよ?
だから空を飛ばなかったんだし。まぁ本来の一割もない威力だからから、
あたっても昏倒ぐらいで済んだんじゃないかな?」
焦るランサーに何でもない事の様に言うナノハ。
「まぁでも、ああいう奇襲はもう通用しないだろうね。だから・・・」
「だから?」
釈然としないながらも促すランサーにナノハは──
「セイバーさんは私が墜とす」
──とんでもないことを言い放った。


一方、セイバーとアーチャーは──
「──先程は助かった、セイバー」
「いえ、こちらこそ、いち早く意図を汲み取ってくれて助かりました」
「しかし──キャスターがあれほど厄介とは」
「ええ、恐らく常に実戦に身を晒してきたのでしょう。あの見切り、咄嗟の状況判断。
何より、私にも効果のある魔術を使えるとは」
「応用力も十分、というわけか」
「ええ、ランサーさえ仕留めてしまえば。と、侮りました」
「ならば、どうする?」
「──まずはキャスターを墜とします」


双方の方針は決まった、後は──雌雄を決するのみである。

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最終更新:2009年02月23日 20:13