かつて高町なのはとセイバーが邂逅し、刃を交えた時
同様にこうした空と陸において似たようなシチュエーションがあったが――
今回は少し違う、、
風を切り裂き、地を駆けるライダーに対して
このフェイトもまた6課最速の魔道士だった
故になのははセイバーの速度に翻弄されたが
彼女は敵を見失ったり、速度で遅れを取るなどして相手にまかれる事は無い
ここが仮に遮蔽物の多い市街地であったなら話は別だが
現在ライダーが疾走しているのは峠の一本道
右には絶壁、左は奈落
狭い車道には空爆から身を守る遮蔽物など一切無く
まさに上空からの爆撃を迎えるに当たっては最悪の環境
つまりこの追走は現在、フェイト側に圧倒的に天秤が傾いた状態なのだ
地面に打ち込まれていく雷槍を見事な側転でギリギリ回避していくライダー
だがその脇腹や腿を雷がかすり、皮膚をきつね色に焦がす
槍や矢というのは直進するのがセオリーだ
それを環状魔法陣を用いた加速発射システムによって
無理やり再発射、あるいは曲げて追尾性を持たせているフェイトのランサー
得手あれば不得手あり、、、
高町なのはなどが使う、スフィアによるシューターほどのホーミング性能を
この矢に持たせる事は難しい
なのはがセンターとして、基本動かずに弾道を操作するのに対し
フェイトは常に機動力を生かして動き回るタイプだ
自分の高速軌道を制御しながら、射撃もコントロールするため
槍にそこまでの制御を持たせられないというのも一因である
だがそれでも、、今の状況で
彼女の矢が敵を仕留め損なう理由は無い
「はぁッ!!」
それに彼女自身、射撃だけでどうにかしようなどと思っていない
敵が幾度目かの空爆に晒され、弾かれ、ゴロゴロと地面を転がる
その隙を突いて今――
「行くよ! バルディッシュ!!」
<Yes、sir>
無数の槍に紛れて
自身もまた矢と化して急下降を敢行するフェイト
現在残る矢は7本
そして8本目は魔道士自身、、
敵の逃げ道を塞ぎ、追い詰めていくは雷撃の乱舞
体制の崩れたライダーにサイスを叩き込むフェイト
間一髪、横っ飛びでかわすライダーだったが、そこに新たに打ち込まれるランサー
キリが無い、、攻撃の切れ目が無い
その多角的な追撃に対し、短剣で払うが
またもバチュン!という甲高い音と共に弾かれるライダー
その杭を持った手がブスブスと嫌な匂いを発している
感電の付加価値を持った金色の魔弾は弾くだけでも相手にダメージを与える事は先に言った通り
頭上を取られる事のイニシアティブはやはり途轍もなく大きく
今、勝利を手中に収めようしているのは間違いなくフェイトだった
「ランサーセット!」
消費した分の猛追の矢を、魔力の許す限りに追加するフェイト
矢継ぎ早に行われる魔力行使に彼女の体内のリンカーコアが唸りを上げる
遠距離、、は駄目だ
あのスピードで動く相手には長距離砲は当たらない
ならばこそ近接、中距離での戦術を五つ、六つ――
同時に展開する脳内シミュレーションに、用意される魔法は優に10を超えている
こうしたマルチスキルを持つ者の戦術の幅は驚くほどに広い
ただ、選択肢が多いといえば聞こえは良いが……
その能力を使いこなし、フル稼働させるには卓越したセンスが要求される
例えばなのはやシグナムのような一極特化型であれば、ある意味では単純無比
小細工無しで己が才能に見合った武器を磨き、それに全てをかければ良いのだ
いわばジャンケンでグーしか出せない物は、選択の必要は無く
相手がどうあれ、より強力なグーを出す事のみを考えれば良いという理屈
だが万能型は違う
初めに何を出すか、どういう戦法でいくか
相手の戦力や思考を読み、慎重に最適な戦術を取らねばならない
常にグーに対しパーを、パーに対しチョキを出す事を求められる彼らの攻防というのは言うまでもなくシビアの極み
選択を間違え、下手を打てば――そのまま一瞬で決着がついてしまう事もあり得る綱渡りの攻防なのだ
故に彼らの頭の回転の速さは一般の人間の三倍以上と言われる
その道ではフェイトや高町なのはが尊敬と共に認めている、二人が未だ敬愛して止まない人物こそ
フェイトの義理の兄にして、なのはやフェイトにとっては先輩の魔道士に当たるクロノ=ハラオウンその人であった
その演算能力や処理能力、思考展開の速さから逆に付いていけるインテリジェントデバイスが無く
仕方無しにカスタマイズされたストレージデバイスを使用している彼
いつだったか、高町なのはがふと零した言葉、、
―― クロノ君みたいな魔道士にはなれないね、私は ――
砲撃と飛行のセンスはあれど、決して万能ではない彼女の口から出た
それは決して、自分を卑下した物ではない純然たる事実
もっとも、その言葉は単に個の特性を言い表した言葉なだけではなく
クロノに対しての尊敬の念が篭った言葉であった
実際、その白い魔道士が十年の厳しい教導を経ても
なお至れぬ境地に男はいた
否、、それは初めから巨大な魔力を持っている――
類稀なる素質を持って生まれた者には一生垣間見る事のない頂であろう
―― 至弱を知る者のみが至強に至る ――
劣っている魔力量
恵まれなかった才能を補う
人知を超えた努力と工夫
備わらないからこそ辿り着ける境地がある、、
そんな努力の達人を体現したのが他ならぬ彼であったのだ
ともあれ、そんな磨き抜かれた 「いぶし銀」 の技巧を持つ魔道士の教えを受けてきたフェイト
兄直伝の高速思考は、幼少からの10年の練成を経て
生まれ持った高機動の資質に更なる輝きを与え――
近、中、遠距離を戦場のどこにいても味方をフォロー出来
また誰よりも早くそのポジションを自ら埋める事の出来る、という
恐るべき特性を秘めた魔道士へとフェイトを成長させる
付いた渾名が最速のオールレンジアタッカ――「ライトニング (雷光)」
先の話に出たクロノをして 「あと1,2年で越されるかもな…」 と愚痴らせるほどの
彼女の織り成す驚速の連携は、無限のバリエーションを以って
まさに鳴り止まぬ稲妻の如く敵に降り注ぐのだ
「サンダー、、、レイジッッ!!」
ここへ来て彼女のもう一つの代名詞
雷属性の砲撃魔法が右手から打ち出された
金色の破光が、纏わり付く金の矢を払い振り切ろうと悪戦苦闘するライダーを打ち抜こうと迫る
「――――!」
それも紙一重でかわす騎兵であったが、、
バシュッ!という感電の音が鳴り響く
高圧の電流を伴った砲撃が
かわした筈の彼女の肩口を少し掠っただけで
その衝撃が全身に伝わり、きりもみしながら吹き飛ぶライダー
まさに打ち放題――トリガータイムだ
敵にこちらを犯す手段が無い以上
上空から狙い打てるフェイトにリスクはない
その絶対の優位を誇るフェイトを相手にとって
決定打だけは受けないようにしている相手もまた凄まじい
だがそれでも徐々に、徐々に、勝負の天秤は金髪の魔道士の方へと傾いていく
相手は度重なる槍の雨を回避するため地面を転がり、飛び退り
既に擦り傷と感電による火傷で痛々しい姿を晒している
そして魔道士が縦一文字に振るった鎌も
人間離れした反射神経で避けるが、、、
もはや反撃の糸口も、その場に踏ん張る事も出来ずに吹き飛ばされてしまう
「もう抵抗するな! 武器を捨てて投降しろッ!!
無駄な怪我が増えるだけだと分からないのか!?」
再度、相手に降伏勧告を呼びかけるフェイトだが
その紫の髪たなびく背中には全く届かない
空からの一方的な蹂躙
なまじ敵が強いだけに、その攻撃は決定打にならず
相手の生皮を一皮一皮剥いていくように痛めつけていく
だが相手を弱らせるにはこれしか術は無く、、心優しい執務官には酷な仕事となった
何とかライトニングバインド――設置型の捕縛陣に相手を叩き込みたいフェイト
その電流を伴った強固な戒めは、フィールドも無い相手の体力を一瞬で奪い
心身共々に抵抗の意思を瞬く間に削いでしまう
それを決めることが出来れば、、すぐに終わらせられるのだが――
(シグナムは………)
ふと相方の騎士の安否を気遣うフェイト
敵を追うのに夢中になって、あまり騎士の戦っている戦地から離れないように気を配る
交戦中でも、互いのフォローを忘れない
それがチームというものだ
そしてその時―――数100mほど離れた木々生い茂る地点から、、
ゴォォウ!!と、凄まじい業炎が立ち上った
離れていても、その火山の噴火のような轟音は聞き逃しようがない
(、、紫電一閃……)
その業火は他ならぬ、あのベルカの騎士が放つ必殺の太刀による物だ
向こうの戦況も佳境に入っているのかも知れない…
あるいは今の一撃で勝負がついた?
思考を巡らせるフェイト、、
ならばそろそろこちらも詰めに入ろうと思い立った――
(、、、、、、、、え……?)
その、、、、、、、、、、側面から―――
フェイトの思考の間隙を縫うように
こめかみに高速で飛来する迫るナニカがあった
「な、、なにっ!!??」
それは旋回するかのような
謂わば野球のカーブボールのような軌跡を描いて
彼女の顔面に突き立つ
それを銀色の光沢を放つ杭のような短剣だと魔道士が視認出来たのは
常時張っていた体表面を覆うフィールドが、その切っ先を辛うじて阻んで止めたからであろう
「、、、、ッッ!」
思わず息を呑んでしまう
頭蓋骨ごと串刺しにされなかったのは幸運、、
いや、攻め落とすだけという勝利目前の局面においても
念のために防御に魔力を割いていたフェイトの聡明さ故であろう
その凶器は他ならぬ、今追いかけている女性の手から放たれた杭のような短剣
長く伸びた鎖に繋がれているそれを完全にこちらに後ろを見せながら、、
魔道士の一瞬の隙を付いて投擲してきたのだ
それは本当に刹那の隙だった
ただ一時、この戦いから注意を逸らし
相棒の騎士の安否に気を向けただけ――
その間に思わぬ逆襲を受け
意外な反撃に息を呑む――
それだけの間、、、それだけの刻
追跡の中断と思考の混乱を招いたというだけで、、
しかしそれはどうしようもない事実――
サーヴァントならばそれだけのチャンスで
敵に生じた一寸の隙を強引にこじ開け
十分に戦況を引っ繰り返す事が可能であったのだ……
上空の魔道士に背を向けていた騎兵が今、ここでおもむろにターンする
全力で疾走していた彼女
その前方に向いていた速度を
ボコン!、とアスファルトを踏み砕くような切り返しと共に強引に方向転換
慣性の法則を脚力で強引にねじ伏せ
踵を返し、数歩助走――
そして、、、、、、
そして、、釘剣が相手にヒットし
敵の猛追に一瞬の陰りが見えたと同時に――
ホップ、、ステップ、、、、
「行きますよ―――――魔術師ッ!」
、、、、、、、大ジャンプ!!!!
ドォォォン、!!!という凄まじい擬音が何よりも似合う
まるでロケットが打ち上げられたかのような踏み切りと共に――
ライダーは宙空へと身を躍らせる
それは紫色の砲弾
放たれた対空の迫撃砲
乱れ散る長髪をなびかせて
その高度はぐんぐんと上昇――
10m、20m、、、、、ッッ!!
「そんなっ!??」
体勢を立て直すのに一秒も要してない
すぐにその相手に向き直った、、にも関わらず――
敵は逃走を止め
遥か上空に居を構えるこの空戦魔道士に向けて
捨て身のダイブを敢行したのだ
そのあまりと言えばあまりな跳躍力に悲鳴じみた声をあげるフェイト
当然だ……埒外なんてもんじゃない
翼持たぬ者が要するであろう常識的な跳躍力は
生物の構造上、その身体強度の限界を超えて飛ぶ事は出来ない
たとえば、もしヒトが10m以上飛べたとして
着地の際に地面に落ちる衝撃には当然、耐えられない
地を駆ける者に許された跳躍には制限がある
そう、彼らは決して――
「跳ぶ」事は出来ても「飛ぶ」事は出来ない
そのセオリーを無視して自身の身長の数十倍以上を飛べるものなど、ノミかシラミくらいのものだろう
ならばこそ、そんなセオリーを木っ端微塵に砕いた
ノミの化身と呼ぶには些か眉目秀麗過ぎる紫の女怪のそれは
もはや跳躍ではなく――飛翔
飛距離は伸びる、、30、、40、、、
「バルディッシュ! 迎撃を!!」
<Yes master>
ソレは瞬く間にフェイトの眼下にまで上昇してきた
地面から打ち放たれた、まさに対空砲撃と化した騎兵に対し
プラズマランサーを当てるのは難しい
ならば自ら迎撃――その砲弾を打ち落とす!
いかに凄まじい突進であろうと一直線
空戦による攻防のアドバンテージは今だ、空を自由に駆けるフェイトにある
「シールド!!」
紫色の砲弾に対し、フェイトはその右手に魔力を集中させ、、
今、全力のシールドでそれを受け止めていたのだ
宙空にて激突する紫と金色
空を魔力の残滓で染め上げる二人の光は
まるで月光に舞う蝶のよう
ギギギッギギッッ、、という鼓膜を削られるような
魔力陣の擦れる音が宙域一帯に鳴り響いた
「く、ぅ、、、!!」
凄まじい衝撃がフェイトの全身を駆け巡る
内臓が悲鳴を上げ、左肩の間接が軋みを上げるのを
歯を食いしばって耐える魔道士
装甲の決して厚くない彼女にとって
敵の攻撃を耐え抜き、真っ向から押し返すのは得意ではない
だが、この場合はそれでも受け止めるのが正解
その痛みと苦痛に耐えた時の見返りは――完全な勝利
下手に逸らしたり避けたりして敵を逃がし、再び地に降り立たせる事は無い
初めはその人外の跳躍、脚力に肝を冷やしたが
冷静に対処すればどうということは無いのだ
重力の楔に縛られた者が、空に住む者を前に宙に身を躍らせるという事――
それは自殺行為と呼ばれるに値する愚行だった
このまま相手の勢いを減退させ、弾き返すだけで
期せずして敵の無力化は完了
力なく浮き上がり、自由落下に身を任せる以外に術の無い肢体に
空中での同時連携を数十発叩き込めば、それでノックアウト
そして今まさに詠唱中のライトニングバインドを相手の落下地点に設置し、、
そこに叩き落して―――詰み、だ
思考内、一瞬で決着までの肯定を組み上げるフェイト
そして相手の体当たりが徐々にその力を無くし
金色の障壁に押し返されて、、、
「!!」
否、、フェイトが再び目を見張る
そこでも敵の行動はフェイトの斜め上を行くものだった
渾身の力で張られた防御壁を抜けないと悟った相手は
何と空中で体を入れ替え、両足でシールドを思いっきり蹴り付けたのだ
防御壁を踏み台にして自ら急降下
その両足で蹴りつけられた障壁がゴウンと揺れる
そして―――髪をなびかせて何事も無かったように地上へと帰っていく騎兵
「逃がさない!!」
冗談じゃない、、
これでは攻撃の食らい損、盾の張り損だ
この大チャンスに、せめて障壁展開の魔力消費分の戦果を上げないでどうする?
地に急降下するライダーをすぐさま追撃するフェイト
敵の足は未だ地面についてない
完全に地上に到着する前に回り込んで相手を拾えば、まだエリアルでのKOは十分可能だ
普通ならば流星のように地に落ちていくライダー相手にに追いすがれるものではないが
この魔道士の機動力ならばゆうに可能
急降下して空から逃れようとする騎兵に更なる急降下で猛追をかける黒衣の魔道士
その左手を再び相手に向けて翳す
「セット、、、」
再び具現するプラズマランサーが、、
否、地上に落ちて未だ生きている分も再稼動を始める
大地から剣山のように
その切っ先をライダーに向ける槍
完璧な詰めだ
地上と空中からの挟み撃ち
これは、、かわせない!
「ファイ―――」
奔流する魔力を翳した手に集め
複数の雷槍に命を飛ばし
相手にとどめを指そうとするフェイト、、、、
その手首に――――
「あ、ッッ!??」
突然、驚きと共に何かが絡み付く
その何かはまさに今、雷槍を打ち出そうとしたフェイトの左手首を締め上げ
思いっきり体ごと引っぱってくる
何が起こった!?
前後不覚に陥る魔道士
その引力で体勢を崩し、同時詠唱によってそのテーブルに接地された
フェイトの数々の魔法が霧散してしまう
「―――本命はこちらです」
耳に響くその声
敵、、あの紫の騎兵――
ライダーの「今まさにしてやったり」、という呟きだった
そう、そのリストに巻きつき
ギリギリと締め上げているのは――鎖、、
言うまでも無く、彼女の武装である
短剣の尾から伸びている金属の縄であったのだ
上空30m以上の高度から降下したライダー
翼無き者とは思えないほど、彼女は見事に
地面を滑るように着陸し、悠々と地上に降り立った
そして再び、走り出す――
今度は、、連環によって繋がれた「エモノ」を引き摺って
一瞬の躊躇が生んだ状況
左手に巻き付く敵の縛鎖
これでフェイトの制空権は大幅に制限され
先ほどまで為す術の無かった騎兵の攻撃は十分に射程内となる
(油断しちゃ駄目だって、、自分に言い聞かせたばかりなのにっ……私のミスだ!)
再び地を駆けるライダーと
先ほどまでと打ってかわって
10m前後の低い高度にて彼女と並走しながら飛ぶフェイト
騎兵が駆ける一本道であった山道は再び林道へと景色を変え――
道路の周りにちらほらと、生い茂る樹林が高々と聳え立っている
その中を疾走する二人
そして―――舞踏は新たなるステージへと移行する
目の前に迫るのは――――数え切れないほどの木々生い茂る森
フェイトの顔が青ざめる、
直感で判断するまでも無く、、あそこに入ってしまったらまずい
それは間違いなく自身の特性の大半を殺されるフィールドに他ならない
あそこは高速戦闘と機動力を旨とする自分のアキレス腱に、楔を打つ戦場だ
引きずり込まれたら戦局は急転直下……
一気に相手へと傾く事になる
「バルディッシュ、上昇するよ!! 出力全開ッッ!!!」
まるでクルマがマフラーから排気ガスを放出するかのように
フェイトの全身から黄金の魔力が噴き出した
肢体は次第にピッチアップ――頭から上昇の機動を描き
強引な上昇、出力任せに高度を稼ごうとする
相手がそれを阻むなら――その鎖に繋がれた体ごと宙に引き上げてしまえばいい
何せ魔力量自体はバカ魔力と称されたなのはと同等かそれ以上のフェイトだ
人間の体一つなど、簡単にに持ち上げられる
そう思い立ち、急速アップトリムを敢行するフェイト……
だが、、、、、それでも、
(―――――上がらない!??)
アクセル全開
空へと舞い上がる筈の機体が、、、これ以上の高度を許さない
ギリ、ギリ、、ギリ、、、ギリ、、、、ギリ、、、、ギリ
左手首が捻じ切られるほど絞まる
その戒めの鎖の先にあるのは――
疾走しながら、まるで根っこのように両足で地を食み
鎖を渾身の力で引き付けているライダーの姿だった
「、、痛ぅッッ…………」
強烈な引き合いで魔道士の肩関節が外れそうになる
凄まじい膂力だ
Sランク魔道士の出力に身体能力で拮抗するなど、、
まるで馬や牛と綱引きをして勝つビックリ人間そのまんまの構図である
そして――激走に激走を重ねる両者、、
道なりに走るライダーの前方には直角に折れたコーナーがあり
それに対し減速せずに突っ込んでいくライダー
先のカーチェイスでは、自転車でありながらヘアピンをノーブレーキでクリアした彼女である
自身の足ならばこの鋭角のカーブも難なくクリア出来るだろう
そのグリッピングポイントに差し掛かる紫紺のサーヴァントが
つづら折れるコーナーを理想的なラインで――曲が、、、、、、
「――――、!」
、、、、、、、、、、、、、、らない!
もはやレースごっこは終わりとばかりに
何とそのままコーナーを曲がらずに直進したライダー
道路を跨ぎ
ガードレールを陸上のハードルのように飛び越え
ものの見事にコースアウト
そのまま眼前に広がっていた深い森林へとその身を飛び込ませる
当然、、フェイトを引き摺ったまま―――
「く、、、、、ううぅぅ……!!」
必死の抵抗空しく
まるで牽引車に引きずられるかのように
上空から力任せに引き入れられたフェイト
まるでカメレオンの舌によって絡めとられ
その口へと放り込まれる虫のように――
ぽっかりと空いた森が、、、
金の髪の魔道士を飲み込むのだった
今、深く昏き森で繰り広げられる、、
美しき女神達の織り成す
チェーンデスマッチの開幕である
――――――
最終更新:2009年01月13日 11:46