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真逆真逆の魔法との出会い。
夢は正夢で助けた小動物は魔法使いで呼ばれた気がしたと思えば本当に呼ばれていて何だか知らんうちに変な杖と
弩派手な衣装を身に纏った私は華麗にワルモノ(よくわかんない黒いの)を退治してジュエル・シードとやらを
封印したのでした――
なんて。
突拍子も無いことを言ってみたり。
いやぁ、全部、事実なんだよね、コレ。


そういう訳で一連の行動を終え、あやうく逮捕されかねないところを逃亡、夜の公園について一息ついた私と小動物。
たまたま空いていたベンチに腰掛けると、小動物はようやく口を開いたのだった。
「――すみません」
開口一番、謝罪。それにしても驚きなのが、小動物がフツーに喋ってること。
声帯とか舌の厚みとかどうなっているの、こいつ?
そういった細かーいことは後にするとして。
「――とりあえず、何が何だかわからないんだけど、教えてくれるよね?」
巻き込んでおいてやっぱもういいです、ってのはナシよと言外に伝えてみる。
それでも良心らしきものがせめぎ合っているのだろう、なにやら戸惑っている様子。
「すいません、やっぱり、今日のことは――」
「あ。そういえば自己紹介がまだだったね」
この面白そうな機会を潰されてたまるかッ。
どうせ巻き込まれるならそこで主役になってやる、というのが私の信念。
何よりコレはアレだ、あの日出会ったあの女(ひと)と近い何かに違いない、と本能で悟った。
ならば近づかない手はない。別に、あの女に会って何かがしたい、というわけではない。
ただ、名前が知りたかった――
――そんだけ。
とゆーわけで。
「私、高町なのは。小学校三年生(9)。家族とか仲のいい友達は、なのはって呼ぶよ」
正直小学校三年生(9)のくだりは必要とは思えないけど、それでもとりあえず言ってみる。
年齢は魔法少女にとってはお約束的なものだろう。多分。
「えと、僕はユーノ・スクライア。スクライアは部族名だから、ユーノが名前です」
「ユーノくんかぁ……何だか十年後にはハブにされてそうな名前だね」
「ちょ」
それはないだろ、ってかなんだよそれ――なんて感じの意思が篭もった視線を向けられる私。
でも気にしない。ズブトく生きていかねばやってらんないのよ。
という訳だから、ね。
「で、今日のアレは一体、何?」
聞こうとした、直後。
「……ッ! あ、痛たた……」
包帯が巻かれたあたりを押さえる小動物――もとい、ユーノくん。そういえば怪我してるんでしたね、コイツ。
よく考えればなんか大事そうな話をこんな屋外でするわけにもいかんだろうし、そうね。
とりあえずは、お家に帰るとしますか。


それで、お家に帰ってきた訳ですが。
こっそりと玄関に入ってきた私はお兄ちゃんにあっさりと見つかるのでした。
まずい。
猛烈に、まずい。
普段はいろんな女の人と仲良くしているお兄ちゃんは、とても厳格なのです。
優柔不断な女性関係とは違って、とても厳格なのです。
最近は、ようやく忍さんという一本道にきまったみたいですけど。
「こんな時間に、どこにお出かけだ?」
「ええと。夜のお散歩ってことじゃ、ダメ?」
無言。腕を組んでこちらを見下ろしているお兄ちゃんは、近づき難い雰囲気をかもし出している。
まずい。
非常に、まずい。
いやーな汗が出てきているのを感じて、頭が混乱しつつある中、救いの女神は背後からやってきたのでした。
「あらぁ、可愛い!」
「お、お姉ちゃん!?」
なんで逆から来るのさ、なんて思ってしまう。が、これはチャンスかもしれない。
「なんだか元気ないねー。なのははこの子が心配で様子を見に行っていたんだね?」
女神様は逃げ道を作ってくれました。ありがとう。ほんっとうにありがとう。
「……だからと言って、内緒でというのはいただけない」
言ってくれればついて行ってやったぞ、というメッセージが感じ取れる。
ソレこそ普段はいちゃついている二人だけど、ちゃんと可愛がってくれているのですよ。
「まーまーいいじゃない。こうして無事に戻ってきたんだし。
それに、なのははいい子だから、もうこんなことはしないよね?」
「……お兄ちゃん、内緒で出かけて、心配かけてごめんなさい」
素直に謝る。実際のところ悪いとは思っているし。けど、こんなことをしないとは言い切れない。
だから、そこはあえて流す。
やや憮然とした表情ながらも、お兄ちゃんはうなずいてくれたのでした。
「……しかしな、従姉妹が来ている時に、黙って出るというのはいただけないな」
でも最後に小言。まあそれはしょうがないとして、ね。
「……従姉妹?」
何ソレ。
知らん。


「お帰り、なのは」
「久しぶりね、お邪魔してるわ。――大きくなったわね、なのは」
前者、お父さんは私が出かけていることに気付いていたそうだ。めっちゃ心配していたらしい。
で。
後者、知らないお姉さん二人組み。
お兄ちゃんやお姉ちゃんの言う「従姉」ってのはこっちなんだろう。きっと。
片方はれっきとした日本人の美人さん。
――でもさ。
もうかたっぽ、金色の髪で、緑色の目をしている美人さん。
こっちを従姉って呼ぶのは、やや無理が無い?


「元気そうで何よりです、ナノハ」
もしゃもしゃとケーキを口に運びながら馴れ馴れしく挨拶をしてくれた、金髪のお姉さん。
そのケーキは多分店の余り物なんだろう。余ったものだから、いくら食べても問題が無い。そうでなければ問題である。
近くにうず高く積み上げられたお皿を見て、そう思ったのでした。
「あ――? ええと、その」
お二人は誰ですか? なんて聞こうとした矢先。
黒髪のお姉さんは、私の『目』を視て言ったのでした。
「まあ、忘れていても仕方ないわね。
いくら『従姉』って言ったって、『四年』も会っていなければわかるはずが無いもの」
「四年……?」
「そ。『従姉』の『遠坂凛』に、『セイバー』。やっぱり、忘れていた?」
四年前。

……
あの女(ひと)以外に、なんていうか他人(よそもの)に会っていたっけ――?
「あ、思い出しました。たしか、お父さんのお見舞いに――」
いた。気がする。そういえばいたよねこんな人。いたいた確かにいた。
セイバーさんに見覚えがないのは、お父さんの仕事で結構外国人さんに会っていることが多かったからだろう。
ごっちゃになったに違いない。
そうでもなければ、この異様な存在感を持つ従姉さんを忘れるなど無いだろう。
――多分。


「まあ、お互いあれから忙しかったからね。ほら、なのは、挨拶しなさい」
「あ、すいません。――おひさしぶりです、凛さん、セイバーさん」
「ん。いい子にしていたみたいね」
従姉、凛さんが私の頭を撫でてくれる。確かに四年前にも頭を撫でてくれた記憶がある。
ただ――違和感だけはどうしても拭い去れなかった。
記憶はある。けれど、それが本物であるとは思えない感覚――
「それで、ナノハ。それは?」
セイバーさんがもきゅもきゅとケーキを貪りながら、しごく真面目な表情で、
ようやくユーノくんのことに触れてくれたのでした。


「……! きゃーっ! かわいいっ!」
「うん、イタチか?」
「違うよ父さん、フェレットだよ。最近流行りのペットだよ」
お父さんは親父にありがちな流行モノに乗り遅れた感を醸し出し、お母さんは年甲斐なくユーノ君を愛でる。
うちの家族はきゃーきゃー言ってユーノくんと戯れる。お父さん、フェレットはお手なんてしない――しちゃったよ。
アレの正体がユーノくんであることを考えればできて当たり前なんだけど。
ただ、それをどこか危ぶむような表情で見つめるのが、二人の従姉さんである。
「……なのは、そのフェレットを、わざわざ、この時間に迎えに行ったの?」
凛さんが訝しげに訊いてくる。そりゃ、小学生が出歩く時間でないからだろう。
「はい……見つけたとき、怪我をしていたからずっと気になっていて」
「ふうん」
どこか納得しきれていない様子で、一応頷いてくれた。
飼っていいかと聞けば、両親二人ともわりとあっさり許してくれたのでした。


「なのは、あの従姉妹さんたちなんだけど」
「うん? どうしたのユーノくん?」
「……二人とも、特に金髪の人の方――魔力量が異常だ。もしかしたら魔導師だったりするかもしれない」


「セイバー、なのはとあのフェレットのことだけど」
「やはり気付いていましたか、リン」
「ええ、両方から魔力を感じ取れたわ。特になのはの方――私に匹敵、もしかしたら超えているかもしれない」


「ジュエルシードを狙っているのかもしれない。一応、気をつけて」
「ううん……でもそれはないんじゃないかな? 小さい頃面倒見てもらった覚えがあるし、偶然だと思うけど」
「うん。でも、一応気をつけるだけはしておいて」


「この町で感じた魔力の突発的上昇、セカンドオーナーのいない霊地、莫大な魔力を持つ小学生――どうもキナ臭いわ」
「では、やはり当初の予定で?」
「ええ。ここを拠点に――しばらく滞在する」


「しかし、暗示まで使って。ここの人たちにはいい迷惑でしょうね」
「ちょっ……セイバーだって諒解してくれたじゃない!」
「しかしリン。そもそも貴女が財布をなくさなければですね――」
くどくど。

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最終更新:2009年03月13日 17:15