それはえらいやったなぁ。せっかくの休日やったのに。
もう帰るんか?……そうかヴィヴィオは楽しんでんか。ほな付きおうてやり
友人との通話を終えなのはは今日あった少年に悪態を突きつつ
脇で眠るヴィヴィオを抱きしめて眠った。
翌日、なのは近くの公園の噴水ではしゃぐヴィヴィオを眺めていた。
もう昔ほど若く○いせいで日々の疲れが溜まったのかベンチに座りつつ
いつしか日溜まりの中船を漕ぎ始めた。
次になのはが目を覚ましたのは娘と娘と同じ髪の色をした
少年に顔をのぞき込まれていた時だった。
娘だけならまだしも見知らぬ少年を前にしてなのはは背筋を伸ばした。
「ママ~疲れてるの~?」
「ううん、暖かくて気持ちよかったんでちょっと眠っちゃった、ごめんねヴィヴィオ」
「ですよね~いい日差しです」
屈託のない笑顔で相槌を打つ少年。
「で、君は誰なのかな?」
昨日の一件で娘に近づく雄に少々警戒心が沸いてるなのははいつもより固い口調で話しかけた。
「4日間限定の旅行をしていたら有名人を偶然見つけたんで声かけようかと思いまして
ついでに暇を持て余していた娘さんと遊ばせてもらいました。ボクあなたのファンなんです。
高町なのはさん。できれば少し話しがしたいなぁと」
「君ミッド出身なの?」
「いえこの世界出身です」
などなどヴィヴィオも交えて雑談をしてるうちにユーノ並みに
無害そうな雰囲気を醸し出す少年に対してなのはの毒気は抜けていった。
「お兄ちゃんすごいの~やらいの固いのおっきいいの色々もってるの~」
なのはが寝ている間に遊んでもらった内容を嬉しいそうに語るヴィヴィオ。
少年はいろんな不思議なものをたくさん所持してるらしい。
好奇心の強い性格のなのはもまた興味を惹かれた。
「へーすごいんだね。私にもどういう物をどうやって持ってるのか教えてくれる?」「はい。そうですね、なのはさんに合いそうなものは、と」
背後の空間に少年が手を伸ばすと波紋が浮かび何かに吸い込まれて行くように見えた。
もしかしてロストロギア関連かなという考えがなのはの脳裏を掠めたが
何かを掴みこちらに笑顔を向ける少年の顔を見ると
そんな考えも霧散してしまった。少年は見たことのないビンを三本手にしていた。
「それは?」
「これは若返るくらい疲れがとれる栄養ドリンクです」
「私に合いそうなもので栄養ドリンクかー私そんなに疲れているように見えるかな?」
「ごめんなさいでも疲れが溜まってるのは本当みたいですよ。
これはヴィヴィオちゃんの分」
少し苦笑いを浮かべるなのはと喜ぶヴィヴィオ。結構美味しいんですと
自分の分を手にグイッと飲み干す少年。その様子に釣られ蓋を開けなのは達もまたそれを口にしてしまった。
「すごいね、本当に疲れが飛んで若返…る、くら、い?え?え?」
「あ、効果出ました?」
「おあ~ママが縮んでいく~」
なのはの体は飲み物を飲み干した途端みるみる縮みかつて
魔法と出会った頃の姿にまで縮んでいた。
「種明かしをするとなのはさんのビンに
だけちょっと細工を
させてもらいました。若返りの薬というのを混ぜてみたんです」
「え~なんでこんなことするの?」
「現在のなのはさんは有名でよく知られていますが実は昔から活躍されてると聞き
その姿も見てみたいなというファン心理です」
う~と不満を漏らすなのはに少年は悪びれた様子もなく笑顔で答えた。
「できれば変身もしてもらえると嬉しいですが駄目ですか?」
「えーなんか嵌められる気分でいい気がしないよぉ。でも今までの服ぶかぶかに
なっちゃったし仕方ないなぁ。人目もないみたいだし…いい?レイジングハート」
Yes my master
機械音とともに全裸になる変身が展開されていく。この世界で滅多に見ることのできない
現象を前に少年とヴィヴィオともう一人の少年は感嘆の声をあげた。
その三人目の声に金髪の少年は苦笑いを浮かべヴィヴィオは喜んだ。
「ぶかぶかの服から魔法少女…か。いいものを見た。ありがとうギルガメッシュ」
「ボクはあなたのためにやったわけじゃないんですけど。
趣味が同じとか思われたらちょっと心外だなぁ」
変身を終えなのはが目を開けると会いたくないランキング上位の少年が目の前に。
「うぇ?遠野志貴、君?もしかしてまたヴィヴィオに…」
「違う!俺はあんたに用がある」
「な、なんなの?」
眼鏡を外しナイフを手にゆらり近づいてくる少年になのはは異様なものを感じ身構えた。
「俺は魔法少女とか結構好きだ。だから…」
「だから…?」
なのはは恐る恐る尋ねた。
「あんたの中の成長するという概念を殺し尽くす!!」
「エエー!?」
最終更新:2008年05月10日 12:22