「"あいされてこいよ"カチャカチャ……ターンッ っとな。よし、本日の業務終了。
 さっさと小町のとこに帰るか」
「ああ、○○、まだいましたか、丁度よかった」
「げぇっ、映姫様」
「……仮にも上司に向かって「げぇっ」とは何ですか。
 大体貴方は常日頃から目上の人に対する――」
「ああはいはいはいはい、わかりました俺が悪かったですすいませんでした。
 ……で、用事があったみたいですけど、何スか。もう帰るとこなんですが」
「いえ、ちょっと奥の書庫で書類探しを手伝ってほしくて……
 2つ3つ程度なのですが、ダメですか?」
「そんくらいならすぐ終わるでしょう。
 お安い御用ですわ。ちゃちゃっとやっちゃいましょう」
「こま――奥さんを待たせてしまうようで申し訳ないですが、お願いします」
「へーい」

ギィ……バタン ガチャン!

「あれ、映姫様、なんで鍵なんて――」
「――これでようやく二人きりになれましたね」
「映姫様?あの、淡々とにじりよるの怖いんで止めてもらえません?」
「一度ゆっくり、貴方とお話がしたいと思って――想い続けていました」
「あ、さっきナメた事怒ってます?それならちゃんと謝って――」
「なのに、貴方ときたら知らん顔で、あろうことか"あの女"と……」
「え、えいき、さま……?」
「――私の想いを受け入れる事。それが、あなたにできる、善行、です」
「ひっ――小町、助け――ッ!」




「――ッ!?」
「気のせいか。○○の気配がしたように感じたんだけど」
「……それにしても、帰ってくるのが遅いねぇ」
「残業するような男じゃないはずだけど」
「晩御飯が冷めちまうじゃないか……あの馬鹿」

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最終更新:2022年05月22日 01:37