幻想郷の魔法の森にある香霖堂。
そこに〇〇と言う外来人の青年が住み込みで働いてる。
半年前に秘湯を探しに山に入っていたら幻想郷に迷い込んだらしく、気がつけば魔法の森を迷っていて途中、獣に襲われそうになり必死で逃げている最中に偶然、香霖堂を見つけ匿ってもらい店主である森近霖之助から幻想郷について説明をして貰った〇〇。
さっきまで怯えていたのが嘘のように、今度は好奇心に満ちた目をしていたのを見た
霖之助は一つ提案をした。
霖之助「ウチは外来の品も扱っているけど、イマイチ使い方がわからない物もあるから使用方法と店を手伝ってくれるなら食と住は約束するよ?」
と、言うと〇〇は二つ返事し、しばらく留まることにした。
性格は明るくて気さくで飄飄としていて里人達はもちろん、商品の配達先や来店して来る幻想郷の重鎮の女性達にも受け入れられていた。
突然だが、女性はよく会話に建前を使う。
それは幻想郷の人妖及び神の女性にも当て嵌まるみたいだ。
最近、霖之助が里への買い出しに行く時に店番を任されるようになった〇〇。
それを見計らったように幻想郷の重鎮達が客でよく来店した。
紫「最近、ウチにゴキブリが出たのよ。」
そう言うのは、幻想郷の管理人【?】である八雲紫。
〇〇「あらら…ちょっと待って下さい。確かいいのがあったはず…あったあった。はい、これをどうぞ。使用方法ちゃんと読んで下さいね?」
そう言って〇〇が出したのはバルサン。
慧音「料理を少し作り過ぎて困っているんだよ。」
〇〇「そんな時はこれをどうぞ。これに入れて
チルノに頼んで冷凍するといいですよ?」
そう言って出したのはジップロック。
幽々子「この前買った蓄音機が調子悪いみたいで雑音が入るのよ。」
〇〇「あぁ、それは多分針がダメになっているんですよ。針は消耗品ですからね、はいこれをどうぞ。」
そう言って出したのは蓄音機用の針。
諏訪子「あ~う~、〇〇。」
神奈子「最近、里で盗っ人が多発しているみたいなんだよ。」
〇〇「あぁ~、もし神社の大切な物が盗まれたら信仰に関わりますね。じゃあ、取りつけも簡単なこれをどうぞ。」
そう言って出したのは簡易版の警報機。
それぞれに要望に見合う商品を出し、上手く営業する〇〇。
そこへー、
霖之助「ただいま。…これは皆さん、いらっしゃい。」
霖之助が帰って来た。一瞬だけ妙な間があったが全員に挨拶をしそそくさと奥に引っ込んだ。
それは何故か?
理由は余りにも強いプレッシャーを感じたからだ。
全員が〇〇に対して「ウチに来て。」や「言い訳作ってあげているんだからさっさと来ようよ。」という雰囲気があるのだが〇〇本人は気付いていない。
そして、霖之助は先日見てしまった。
今日みたいに〇〇にアプローチも虚しく帰る時、全員が虚ろな目「早く〇〇を連れて行かないと…。」と呟きながら帰って行くのを。
〇〇が配達や買い出しで行った時に話した里の茶屋や商店などの若い女性が後日、上記の女性達にかなりのいちゃもんをつけられているのを。
それを見てから霖之助が買い出しに行くことにしたが、霖之助は思った。
霖之助(〇〇君、もうすぐで多分、お別れだ。)
ーと。後日、〇〇は香霖堂から忽然と消えた。
最終更新:2011年07月10日 05:54