チャイナが寝てて、烏帽子が来ない内に家を出る。
さて、どうしたものか。半端な事では死ねはしないし……ここまでなったら安易にくたばるってのもな。
だって悔しいじゃないかね。このまま泣き寝入りってのはな。
霊廟の連中に憎しみは抱いてないが、ちと一矢報いてやりたい気分ではある。


UFOに追いかけられる。
後ろから「お前もあいつらの仲間だなー、懲らしめてやる!」とか叫ばれて逃げる逃げる逃げる……穴にまた落ちた。
また穴かよ。


穴から更に地底の川を流れる。
暫く流れていくウチに橋の欄干で釣りをしてた男に釣り上げられた。
命の恩人なので礼を言っておく。何だかにやけた男なんで取っつきにくい。
橋の近くにある家で服を乾かした後、地上へ送って貰った。
尚、男=旦那に馴れ馴れしく話していたという事で、嫁さんらしい橋姫に嫉妬された。勘弁してくれ。
旦那からも嫁さんに嫉妬された事を嫉妬された。マジで勘弁してくれ。


九死に一生を得て地上へ帰還。飛行物体は……大丈夫。
水に浸かって駄目になった装備品を洞窟へ補充しに行く。
何だかチャイナと烏帽子が喚きながら出て来てしがみついてきた。
何処に行ってただの地上から気配が消えて心配しただの……。
ところで烏帽子よ。それはそれとして洞窟の広いところの敷居が1つ増えてるのはどうか?
どう見てもお前さんの私物と怪しい術式らしいもんが描かれてるのは気のせいか?
チャイナはぷんと顔を横に向ける、なんでお前が怒ってるんだよ?
烏帽子はドヤ顔で監視体制の強化だと言い放った。今回のような出来事があるからこそ、あちこち放浪癖がある同志を見張る必要がある。
「そして適任者である我がお主を監視するという事よ。光栄に思うがよいっ」
チャイナの視線が練って美味しいお菓子並の粘度になった。
にやけ面の嫁さんの視線に結構似てきたような。
緊急処置として仰け反る烏帽子のこめかみに拳をあて、ウメボシの刑に処す。


うーん、何だか坂道転げ落ちるように事態が悪化してる。
人間のままだったら悲観して、雑貨屋で売ってたモスバーグM500で頭粉砕する位だ。
閻魔様には怒られるだろうけど、俺、孤独を愛する傍観と観測を愛する男だから。
現世に居た時みたく、女で心をまた砕かれるの、絶対やだから。


ウンウン唸りながらお寺の外周をウロウロする。洞窟は……危ない。いろんな意味で。
あいつらは一応あそこに居る。俺の背中に烏帽子製のヒトガタの紙を貼ったから大丈夫だそうだ。
訳解らないなぁ、とぼやきながら歩いていたらお菓子の国に出た。
変なちっこいのに追いかけられて広い場所に出たら、真っ黒い芋虫みたいなのに頭からモグモグされている奴が居た。
取り敢えずセミオートに残った弾丸を全部ぶち込んで気を逸らしてみたら、脱出したモグモグされてた奴が弾幕で撃破。お菓子の国は夢幻と消えた。
「いやー、外界から流れてきたあやかしが来たんで倒そうと思うたら油断したわ」
でっかいシッポを付けた姉ちゃんはけらけら笑って酒瓶をぐびりと傾け、俺の方に飲み口を差し出してくれた。
「儂は佐渡の二ッ岩マミゾウと申すムジナじゃ。礼代わりに一杯どうじゃ?」

……俺は歩くだけで成立するフラグ製造器か?
取り敢えず後で雑貨屋に行こう。そしてショットガンを買って頭を吹っ飛ばして見るんだ。

続く

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最終更新:2011年09月29日 20:37