探究は終わらない
「やあまた来たよ。マミさん」
「お!○○かい」
民間の伝承についてのフィールドワークで佐渡に来て半年。
うらびれた農村の一角にある廃屋と変わらない古書店に入り浸ることが多くなった。
この古書店は宝の山といっていい。まあそのおかげで店主のマミさんに頭が上がらないのだが。
以前借金の帳消しとして店の大掃除を手伝った時だ。
消えたはずの和田家文書のコピーを見つけたことだってあった。
マミさんは「偽書だよそれ」って言っていたけど。
「それで勉学の方はどうだい?」
「ええ教授も面白いアプローチだっていってくれました!」
研究とは神学的な観点での狐と狸の対立を考察した論文だ。
「これもマミさんのおかげですよ。学会でも高評価でしたし」
僕はマミさんの入れてくれたコーヒーを味わいながら、これからの研究プランを練っていた。
「ねぇ○○これでまた私に借りができたね?」
「そうですねまた掃除の手伝いではとても返しきれないですね。」
「・・・・すぐに返せる方法を知っているよ。」
「え?!」
「昔の知り合いから助けてくれって言われて、ちょっと遠くまで行くことになったんだ。」
「それは急ですね。」
「うん。だから○○も来てほしいんだ」
「でも・・僕は大学の研究もあるし・・・・」
「モウオソイヨ?」
普段のマミさんからは感じられない寒気を感じ立ち上がろうとした時だ。
足がもつれて床に転び落ちる。
「・・・○○は神話や妖怪の話が好きだったよね。これから行くところはそんな幻想が辿りつく最後の楽園。」
マミさんの頭には狸の耳、意思があるように触れる尻尾。
「逃げたい?でももう迎えがきたよ」
店の入り口からまばゆい光が差し込む。
「サァ イコウ?」
佐渡新聞 号外
「佐渡にUFO出現!!!!」
UFOとみられる謎の発行物体は廃村の廃屋付近に止るとまばゆい光を発し、そのまま本州付近に猛スピードで進み消えた。
目撃者の証言よるとそのUFOは赤、青、緑、レインボーに輝いていたとのこと。
最終更新:2015年05月06日 20:43