幻想郷に迷い込んで早くてもう一年になる外来人の青年〇〇。
人妖問わず隔てなく接する彼はこの一年で沢山の知り合いが出来た。
だが、彼は一人暮らし故の不満…と、言うべきか。
ある考えが芽生えていた。それは寂しさの余りペットでも飼おうかと考えの真っ最中だった。
〇〇(う~ん…やっぱり、大切な命だし餌とかちゃんと責任を持たないとなぁ。だと、すると花とかを育てるのも…いやいや柄にも無い。)
何日もそう考え、仕事仲間にも相談してみるが。
里人A「だったら、犬がいいぞ〇〇。」
里人B「いやいや、やっぱり猫だろ。」
と各々が飼っているペットの話を延々と聞かされ参考にはならなかった。
しかし、〇〇は気付かなかった…。
里人との会話を聞いてた者達が動いていた。
夕方、仕事も終え自分の家である小屋に向かう〇〇。小屋は里の脇にあるのだが、今日はその帰り道の曲がり角に人が…いや、何かが待ち伏せしている気配がビシバシと感じて曲がれないで帰れずにいた。
〇〇(な…何だ?この異様な雰囲気は?)
そう考えている〇〇の耳に子犬のような鳴き声が聞こえて来た。
〇〇(あぁ!危ない!!何処かに子犬が居る?何処だ?)
辺りを見渡す〇〇。だが、その鳴き声は角を曲がった所からだった。
〇〇(マジかよ!?…よしっ!!)そう意を決し曲がり泣き声する方を見るとそこには…。
椛「クゥーン、クゥーン!!」
白狼天狗の犬走椛が首輪をつけ「捨て犬、拾ってあげて下さい。」と書かれた木箱から前のめりに〇〇を淀んだ目と歪んだ笑顔で見上げ尻尾を振っていた。
〇〇(椛…君は狼だよねぇぇええーー!?)
これには〇〇も数秒間、固まり理解すると前を通り過ぎた。後ろからさらに泣き声が大きくなった気がしたが気にしない。
すると、その近くから物凄い視線がし恐る恐る振り向くと…。
咲夜「私は悪魔の犬。」
そう言う犬耳と尻尾をつけた紅魔館のメイド長十六夜咲夜が同じく「捨て犬、拾ってあげて下さい」と書かれた木箱に居た。
〇〇(それは揶揄だよ咲夜さぁぁああーーん!?)
そう思った〇〇が再び物凄い視線が複数感じて、振り向くと。
鈴仙「……。」
てゐ「……。」
鈴仙とてゐがやはり【捨て兎】と書かれた木箱の中から〇〇を「その目、キモっ!!」という目で見ていた。
〇〇(鈴仙、てゐ…その目、キモっ!!)
さらには…。
藍「……。」
橙「ニャー、ニャー。」
八雲藍とその式の橙が【捨て狐と捨て猫】
空「うにゅう~。」
燐「ニャー、ニャー」
旧地獄の地獄鴉のお空と地獄猫のお燐が【捨て鴉と捨て猫】
神奈子「……。」
諏訪子「ゲロゲ~ロ。」
果ては守矢神社の二柱の神である諏訪子と神奈子が【捨て蛙と捨て蛇】の後に「拾ってあげて下さい。」と書かれた木箱に入っていて可愛く【?】鳴く、その列が〇〇の家の前まで続いていた。
〇〇(明白に拾えと!?ペットは欲しかったけど、その前に捨て犬や猫はまだしも【兎】に【狐】や【鴉】に果ては【蛙】に【蛇】は自然に居るのが当たり前の動物でしょぉぉおーー!?皆さん役職に神様や妖怪としての誇りはぁぁあーー!?)
淀んだ目をしている全員にそう心でツッコみながら小屋へ脇目を振らず走り駆け込み戸を閉め布団を被り震える〇〇。
外から「〇〇【さん】拾って~。【下さい。】」という声と戸を叩く音がするが、すぐに轟音が聞こえて来た。
弾幕勝負が始まったのであろう。
しかし、事態はそれで終わりではなかった。
外で弾幕勝負をしている彼女達が連れ戻しに来た身内や主などに「〇〇が一人暮らしは寂しい。」と一部欠けているが大体は事実なことを話した。
すると、「だったら、〇〇も一緒に連れて行きましょう。」となり弾幕勝負が激化し辺りが少し荒野となった。
勝者に連れて行かれる時に〇〇は思った。
〇〇(俺、飼われる方だったのか…。)
最終更新:2018年08月24日 22:06