稗田家に居候しながら畑仕事に精を出していた俺に、酒飲み仲間が頭を下げてこう言ってきた
「俺の娘を貰ってやってくれねぇか!?」と
最初は戸惑ったし、いきなりこいつはどうしたのかと思った、会ってくれるだけでも良い!!と彼の熱い弁に負け、俺は彼の家に行ったのだが、此処で軽い宴会が開かれてしまい、帰りが遅くなってしまった。
阿求は俺が何時もの時間より1分でも遅くなると心配を始めるのだが、大丈夫だろうか・・・それと、酒飲み仲間の娘さんとは不思議と意気投合して、友達からをすっ飛ばして恋人になった
酒が入っているからだろうか、目の前がぐるぐると回り出す。もう少しで家にたどり着くと言うのに、やけに足が重い
「あ・・・・?」
ドサッと俺はついに倒れてしまった。そして、近づいてくる見慣れた着物姿の彼女は
濁った暗い眼で酷く、嬉しそうに笑っていた
次に俺が目を覚ましたのは座敷牢の中だった、ご丁寧に服は脱がされ脱走出来ない様になっている
「目が覚めましたか?○○様」
「阿求・・・どうして・・・いや、その前に何でおれはこんな所に?」
阿求は、酷く儚げに笑っている、同じ座敷牢の中にいる俺と阿求、しかし、何時もとどこか違う。彼女の血色が何時になく良いのだ。それどころではない、病弱で、起きては書に向かい、食事を少し取って、と言う彼女ではなくなっているようだ。まるで別人のよう
「クスクス・・・○○様、どうなさったんですか?」
阿求は自らの足で少しずつこちらに近づいてくる。待て、彼女は一人で歩けたか?最近は病が進行し、誰かの手を借りてやっと歩ける程度だったのに・・・
「阿求・・・一体お前に何が有ったんだ・・・」
「知っていますか?○○様、嫉妬は人を鬼に変えるんですよ?橋姫のように・・・ね・・・?」
彼女が着ている着物は、こんなにも赤く、生臭い匂いがしていただろうか?そして、彼女が後ろの障子を開けた時、俺が見たモノは―――――
最終更新:2011年11月11日 22:09