部屋の扉が開くと、幼い少女がとたとたと駆けてきて、俺に抱きついた。
そのまま抱きつかれて、ベーゼを交わす。
しばらくしてから顔を離して、彼女が一言。
「やっぱりあなたはおいしいわ。全部ね…」
今日も、レミリアがこの部屋に来た。

膝の上の彼女は、足をブラブラ揺らしながら俺に話しかける。
「結局私は、何かに依存しているだけなのよね。咲夜にも、パチェにも、美鈴にも、フランにも、○○にも」
「そりゃ、一人で生きていける奴なんて、悲しいだけだろ。皆、お前が好きだから傍にいるんだろうし」
「じゃあ貴方は、私の事嫌ってないの?」
「まあ、好きかと聞かれれば、好き…だな」
「うれしい」
向き直ると、羽で俺を包み込む。
「でも、閉じ込められてるのは良い気分がしないな。自由になりたい」
「それは駄目」
俺を見つめる。
「私は脆いから…一人でもいなくなれば、きっと、壊れる。今の私に、貴方は不可欠の存在。私の大切な人だもの」
物憂げな瞳が俺の心に溶け込んでくる。口説かれているようなものだ。
うれしくない、と言えば嘘だが、軟禁されている点はいただけない。
不意に顔を上げるレミリア。どこか歪んだ目だった。
「あなたは私のもの。あなたの身も心も、全て私のもの」
そういうと、腰掛けていたベッドに押し倒された。
「やる…のか?」
「どっちもよ。言ったでしょう?全部貴方は私のものだって」



小一時間後。
柔らかく青い月明かりのベッドの上で、俺達は並んで横になっていた。首筋を指でなぞって見た。血がついている。
「ごちそうさま」
幼い外見に似合わない、妖艶な笑みを浮かべたレミリア。
その口には、少しだけ血が付いていた。
「もう…慣れたよ、お前の吸い方。俺ももう終わりかな」
「そんなこと無いわ、むしろ此れからが始まりなんだから。」
服を着直しながら笑う。
「なあレミリア」
「何?」
「お前さ…俺を軟禁してること、後悔したことはあるか?」
まずい質問だったかな?
彼女は答えず、部屋のドアに近づいていった。そのまま帰るかな、と思った矢先。
「後悔…してるかも。でも」
振り向いたレミリアの顔は、不思議と綺麗だった。
「私は、貴方を愛してる」

彼女が出て行った後、もう一度自分の血をみて思う。
俺は今、幸せなんだろうか?

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最終更新:2011年11月17日 12:57