始まりは、バイトも大学も休みなある日の午後だった。
知らないメアドからメールが来た。
その内容は…。
【昨日は楽しかったです。よかったら、写真を送って下さい。】
と、女性みたいな文体だが身に覚えが無いものだった。
〇〇「『失礼ですが、メールを送る相手を間違っていませんか?アドレスをよく確認して送って下さいね。』で…送信っと!」
数分後ー、また返事が来た。
【そうなんですか?すみません、私■■市の〇●さんって方に送ったつもりだったのですが。】
〇〇「へぇ~…珍しいこともあるんだなぁ。『自分も■■市に住んでいて〇〇って一文字違いの名前ですよ。』っと。」
数分後ー、また返事が来た。
【ホントですか?なんて偶然。こんなことって、なかなか無いですよ。よかったら友達になって下さい。】
〇〇「何か怖いな…。もう止めておくか。」
それから一週間後、バイトの休憩中に件の女性からメールが来た。
【ごめんなさい私、〇〇と知っていてメールしました。】と…。
あまりにも怖くてほっといたら数日後、またメールが来た。
【〇〇、出掛ける時にはちゃんと鍵をかけないと。あと、靴はちゃんと揃えないといけないし、人との境界がわからないあのメス猫はダメよ?】
〇〇「…え?何?どういうことだ?」
友達と飲みに行くつもり不安になった自分は引き返し家であるアパートの部屋のドアの前で固まった。
確かに閉めたはずの鍵が開いており、乱雑に置いてあった靴が揃えられており、何より先日デートしたあの娘と一緒に写した写真を入れた写真立てが割れていた。
〇〇「なんてことがあったんだよ…参ったなぁ。」
蓮子「それはまた…。」
今、大学の食堂で最近の仔細を話しているのは知り合いである「
秘封倶楽部」の二人だ。
みんなは「変わった二人」だと言うが、話すと面白い二人なんだがなぁ。
蓮子「ねぇ〇〇。今から貴方の部屋に行っていいかしら?」
メリー「話を聞くだけでも、怪しい雰囲気があるからちょっと調査したいのよ。」
〇〇「いや…急に言われても今日は用【デート】があって…。」
蓮子・メリー「何を悠長なことを言っているのよ!?」
二人の気迫に圧された〇〇は(すぐに帰るだろう。)と思い仕方なく家まで案内することにした。
その日から、〇〇は忽然と姿を消した。アパートの家財道具を一切残して。
それからまた数ヶ月後に秘封倶楽部の二人がほとんど周辺に気付かれることなく大学を退学した。
退学理由が妊娠したためとは誰も知らない。
最終更新:2011年11月23日 13:07