人里のはずれ、質素な家が秋姉妹と○○の住処だった。

外来人○○は人生の終焉を迎えていた。
「豊穣の神」秋穣子、秋静葉は衣類を脱ぎすてその白い肢体をさらす。
「ねぇ○○」
木の実の飾りを着けた少女、秋穣子は○○の横たわる布団へと入ろうとする。
「・・・・・」
○○の姿はやつれ果て、声すらも発せなくなってもその表情にあるのは明確な否定だった。
「あなたが私たちにその病を移したくないからまぐわってくれないのは解っている!!でも・・でもあなたの生きた証が欲しいの!!」
紅葉の髪飾りを着けた少女、秋静葉は泣きながら○○を抱きしめる。


人里のはずれ、烏さえよりつかない柿の木が生えていた。
半ば枯れたようなその木には秋にたった一つ柿の実が生えるという。
それを食べたら不老不死になるとか、幸運が得られるといった噂があるが誰もが怯え、それに手を出す者はいない。
その木に近づくと風の音に混じって赤ん坊の泣き声が聞こえるというのだ。

秋のある日
たった一つ柿がなり、その根元には秋姉妹がいた。
その手には大きな籠があり、柔らかそうな布が敷いてあった。

ボトンッ!

籠に柿が落ちヒビが走り割れ始める。

オギャァァァァ!

柿の実から現れたのは人間の赤ん坊だった。

「ごめんね○○。神様にさせてあげられなくて。でも妖怪だから病気になることはないしもう苦しむこともないよ」

穣子が囁く。

「秋しか生きれなけれど毎年生まれ直せるから色々愉しめられるよ・・・・さあ私達の家に帰りましょうね。」


「お姉ちゃんは去年のお母さん役だったから今年はお嫁さん役だね」
「じゃあ穣子は○○を産湯に浸けて、お乳をあげなくちゃね。すぐ大きくなるけど摘み食いしちゃだめよ?」

姉妹は○○の泣き声を聞きながらこれから冬までの愉しみ方を考えていた。


  • 秋○○
 種族 妖怪たんころりん(柿の妖怪)
 危険度 激低
 友好度 そこそこ

 近年、妖怪の山の麓に住みついた妖怪。秋姉妹と一緒に過ごすことが多い。
 種族的な理由で冬には死滅するが翌年の秋には復活する。

 「食べてみたけれど柿だったよ」
 ・柿の妖怪なんだから味も柿だったのだろう

 「以前診た患者と顔が良く似ているんだけど、気のせいかしら?」
 ・同居人の秋姉妹は○○については詳しく知らないようだ。曰く、いつの間にか生えていたとのこと。

 「○○に撫でてもらうだけでおいしい柿が沢山なってくれる。妖怪妖怪っていうけどなんか豊穣神みたいだな」
 ・たんころりんは柿から変じた妖怪だ。そのため柿との親和力が高いのかもしれない。

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最終更新:2011年11月23日 14:39