休暇

ある日、幻想郷の紙くずこと文々。新聞が休刊した。

あるものは余りにも実りのない新聞製作に飽きて辞めた。

また、あるものは執筆者の射命丸文が病気になったと噂した。

しかし妖怪の山からは公式のアナウンスはなかった。


「よぅ○○!久しぶりに飲みに行かねぇか?」

「いや俺はいいよ。カミサンが拗ねちまうよ」


○○の妻、彩とは嵐の激しい晩に出会った。

服はボロボロ、ところどころ引掻き傷や切り傷があり彼女がどのような目にあったかは○○でもわかった。

○○と同じく幻想入りしたのだ。

当初は珍しい「女の外来人」ということで人里の重鎮から無理やり縁談させられることがあったが、あるものは突風で屋根から落ち命をなくしたり、精神の均衡を失くすことが続発した。

そのため、里人からは煙たがられるようになった。

「○○さん・・・・私怖い・・私の記憶がないのがこんなに怖いことだなんて・・・」

「記憶がなくても構わないよ。俺だってココに来た時は不安だったからよくわかるさ」

○○が引き取り手のない彩を引き取って同居して半月。

二人は同居人としての関係から、お互いの性を知り夫婦となった。

○○としては博霊神社で祝言を行ってもらうつもりだったが、彩が「二人だけで祝言を挙げたい」と照れながら話すので二人の祝言は長屋でひっそりと行われた。



外来長屋の○○の部屋

そこに彩の姿はなかった。否、そこに彩は居た。いつもと似ても似つかぬ姿となって・・・

彩の紅い髪は艶やかな黒髪に

○○が初任給でかった着物はカッターシャツとプリーツスカートに

そして背中からは黒い烏の羽が・・・・

はたても困ったものですね・・・こんな記事を書くなんて」

手にある花果子念報と書かれた血に染まった紙きれには「文は休暇中?!その足跡を追う」と書かれていた。

「折角、百年の有給休暇をもらって人里でバカンスを楽しんでいるのに・・・」

「彩?かえってきたぞ~」

「あ!○○ちょっと待って着替えているの~」

文は妖力を封印し何時もの着物に着替える。

○○は本当に善人だ。見ず知らずの私を助けてくれ、私が誘わない限り私と身体を重ねたりしなかった。

本当は百年程人間として生活しようと思ったが○○を天狗にするのも悪くないかもしれない。


「なんかバタバタしていたけどどうかしたのか?」

「いやぁ五月蠅い鼠退治していたら服が汚れちゃって・・・」

「晩飯は久しぶりに八目鰻でも食べに行くか?」

「いいの?」

「いいって!こんな綺麗なお嫁さんのためには俺は何でもするって」

「・・・・本当に?」

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最終更新:2011年11月23日 14:49