有角隻腕の仙人 茨木華扇
今、彼女は仙界の道場にいる。
弟子であった○○を助け出すためだ。

○○と華扇との出会いはもう十年以上前に遡る。
華扇が修行として滝にうたれている時、絹を引き裂くような悲鳴が聞こえてきた。

引き裂かれた服
そこから延びる白い柔肌

今まさに人間の少女が妖怪に手籠にされようとされていた。
普段の華扇なら無視するところだが、同じ少女が凌辱され喰らい殺されるのは我慢できなかった。
すぐさま弾幕を妖怪に放ち少女を助ける。
少女は安心したのか華扇の腕の中で意識を失った。

助け出して分かったことがある。
○○、助けた人間の名前だが、○○は「少女」ではなかった。
顔は中性的で色素の薄い白い肌から華扇は少女だと判断したが、意識を失った○○を介抱する際に服を脱がした際未発達な男性自身があったのだ。
それと・・・・身体を走る縄や蝋燭の後も・・・・・

意識を取り戻した○○に尋ねると、涙を流しながら話し始めた。
それは吐き気を催すような話だった。
○○の母親とその「客」に毎晩「気持ちの悪いこと」をさせられたこと。
薬物欲しさに母親に売り飛ばされ、気がついたら森に居たこと。

華扇は○○を引き取り弟子にした。
打算が無かったわけではない。
妖怪の山に最近人が入ってくるようになった。
人間と妖怪の棲み分けを重要だと考えている華扇にとって、人間の弟子を持つことは人里での活動範囲を広げることができる。
つまり、人里で妖怪の危険性を説く工作員に仕立て上げるためだ。
続く十年は華扇にとっても○○にとっても幸福な日々だった。
華扇にとっては一緒に笑いあえる同居人を
○○にとっては愛情を
お互いがお互いを埋め合う関係が心地よかった。
十年が経った。
○○は仙術のおかげか14歳程の姿を保ち、その術も中級妖怪すら倒すことができるようになった。
華扇は○○に独立を許した。

人里が騒がしくなったのは一月程前だった。
華扇は聖人と邪仙、亡霊が復活し人里に布教に来たことを鳥たちの会話から知った。
そしてその邪仙に若い仙人が連れ去られたことを。

「○○!助けに・・・・うっ!」

暗い道場に浮かび上がる二つの人影。
少年が青髪の少女と重なり合い、少女は少年を四肢で強く抱きしめその少年の愛撫を受けていた。
少年が振り向く。
瞳には光が無く、涙と涎が中性的な顔を汚していた。

「あはっ!ししょーだー。ぼくつかまっちゃった~」

「○○・・・なんで?」

青髪の少女 霍 青娥が身を起こす。
長い時間まぐわい続けていたのだろう、むせかえるような淫臭が漂う。

「お前は○○が言っていた師匠か?」

「有角隻腕の仙人 茨木華扇だ!貴様○○に何をした!」

華扇が包帯に包まれた腕を巨大化させる。

「何って、お前さんが教えなかった房術を教えているだけじゃ。○○は最初嫌がっておったが終いには自分から腰を振るようになってな・・・・」

「この畜生が!」

巨大化した手が青娥を殴りつけ壁に叩きつける。
たとえ邪仙といえども、あの一撃を喰らえばそうそう立ち上がれない。
華扇は○○の元へ駆け寄る

「○○!早く逃げるわよ!」

彼女が冷静であったなら、このようなこともなかったのだろう。
しかし、○○を助け出すことしか頭になかったことが彼女を窮地に陥らせた。

「!」

自らを覆う弾幕と、その後ろで微笑む青娥。

「潰したはずじゃ!」

「壁をすり抜けたんじゃよ。これは礼じゃ受け取れ!」

無数の弾幕を受け華扇は意識を失った。


華扇が目覚めるとそこは先程まで戦っていた道場だった。
立ち上がろうとするが、妖力封じや霊力封じの札が貼られ衣服すら身につけていなかった。

「お目覚めかな?」

「これはどういうことだ!」

「何仙術の授業じゃよ。同じ仙人同士仲良くせんとな。」

○○が姿を現す。

「気絶している間にお前の中を覗いた。浅ましいのお。弟子に慾情し自慰を毎晩していたとは?」

「クソ!」

「○○もお前を愛しておったというのに。」

○○の顔が近づき、唇を重ねる。
焚かれている香に催淫効果があるのか、身体が泡立つのを感じる。
そして・・・・

暗い道場
二人は重なり合っていた。
かつて生みの母親から味わった凌辱から人を愛することができなくなった仙人と、弟子を導くべき存在であるが故恋心を隠した仙人。
邪仙に堕ちた二人を縛るものはない。

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最終更新:2012年02月16日 13:17