妖怪の山 八坂神社

しっとりとした闇が包む寝所
翡翠色の髪をした少女が黒髪の少女と唇を重ねていた
「○○ちゃん・・・・きもちいい?」
「うぅん・・・きゃふっ!」
「○○ちゃんのココ・・・・トロトロ・・・」
同性同士の性愛
黒髪の少女はただ、翡翠色の少女の愛撫を受け入れる
まるで何かの刑罰を受ける罪人のように


最初何が起こったか私は分からなかった。
乗っていた学校のバスが谷底に転落したのに気付いたのは、冷たい水が私の肺に入り込んだ時だ。
ああ・・・私は死ぬんだ。
恐怖はなかった。
きっと「あの子」が私を待っている。
罰を与える為に・・・・

「おや?気がついたかい?」
「ここはあの世?」
「まぁ・・・あの世には近い場所だけどあんたはまだ生きているよ」
「あの世に近い・・・?」
「ここは幻想郷。私は河童の河城にとり。にとりって呼んでよ盟友!」
「幻想郷?盟友?」

私を助けてくれた少女は河童という種族で、いつもの水浴びをしていたら川上から流れてきた私を助けたそうだ。

「でも山の巫女はすごいね!あんたが来ることを予知していたんだから!」

にとりの話では妖怪の山。つまり目の前の大きな山の山頂にある神社にいる徳の高い巫女が外界から大切な客人が来るから粗相のないようにとの話があったそうだ。
濡れた制服が乾いた頃、私はにとりと一緒に空を飛んだ。
頬を撫でる風。
それは否応にも彼女を思い出す。

私の家は寂れた神社のたった一つ残った氏子で、その神社の巫女と私は友達だった。
山々に住む妖怪や精霊。特に殺し合いの戦いをしたのに、今では一緒に暮らしている二人の女神の話。
幼い私には全てが本当に思えた。
彼女が壊れ始めたのは私達が高校生になった頃だ。
彼女の両親が亡くなった。急な雨で増水した川で水死したのだ。
それを機に彼女は両親と住んだ家ではなく山奥の神社に住み始めた。
周りの大人達、つまり私の両親は食料品を用意したりしていた。
ある日、私が神社に行くと見慣れない巫女装束を着た彼女がいた。
彼女は普通じゃなかった。
まるで常識を失ったように、カナコという神とスワコという神の話を熱病にかかったように話す彼女は壊れていた。
そして私は・・・・・・

「ついたよっと!」
「ありがとうございます。にとりさん」
「いいって!」

崩れた参道
湖の運ぶ清浄な風
そこにはあの日、地滑りで「あの子」と一緒に消えたはずの神社があった。

「○○!会いたかった!!!!!!」

消えたはずの彼女・・・・東風谷早苗が私を抱きしめていた。


幼子のように傍らで眠る早苗を見ていると神奈子様と諏訪子様が寝所に訪れた。

「いいのかい?帰らなくても?」

「ええ決めたことだから・・・」

「幾ら決めたからって言っても・・・・」

あの日の夜の事を私は全て知った。

「神様なんていないじゃない!!!!!現実を見て!」

あの言葉を聞いた早苗は現世を捨てる決意をした。
そして神社と一緒に幻想郷へ移住した。
最初は机上に振舞っていた早苗。
でも、少しずつ病んでいった。
そのため早苗に力を貸して、現世から友達を呼んで落ちついたら現世へ帰還させる計画を立てた。
だが、そのため早苗が選んだ手段はバスを転落させ私以外の乗客を殺してしまった。
だからこれは贖罪。
彼女を受け入れることのできなかった・・・・変わってしまった私への罰。

「○○ちゃん・・・・ずっと一緒だよ」

私は早苗の汚れを知らない寝顔を見ながら目を閉じた。

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最終更新:2012年02月16日 13:23