その男はある日、前触れもなく現れた。
鉄で作られた仮面をつけたその男を村人は警戒していたが、気前よく獲物を譲ったりひと抱えもある岩をどかして山道を作ったりして、少しずつ村人に受け入れられていった。
男は猟師であったが、弓も槍もなく狩りをしていた。
ふらりと山に行き、帰ってくる時には大物を抱えて・・・・
或る時、好奇心に駆られた若者が男をつけると、男が今まさにイノシシを仕留める場面にであった。
男が手をかざすと、急にイノシシが痙攣し泡を吹いて死んでしまった。
「あの男は人間じゃねぇ!化け物だ!!!」
若者は村長の家に駆け込み捲し立てる。
すぐさま男が呼ばれた。
化け物なら殺してしまわなければならない。
男は村の人々に鉄仮面の下の素顔を見せた。
「おおおぉぉぉ・・・なんて神々しい・・・・」
男は語る。
自分はココとは違う場所で生まれ、ココに落された。
そして悪しき存在に無理やり婚姻させられたが、逃げ出すことができた。
もし、このままこの村に置いてくれるならこの村に幸をもたらそう。
男の言葉に嘘はなかった。
開拓村を襲う妖怪は男が手をかざしただけで、全身の肉をそぎ落とされるような苦しみを訴え村を襲うことはなくなった。
死の淵に立つ、病人の痛みを消し安らかに旅立てるようにした。
村人達は天人のようだと噂をしていた。
それは男が訪れた時と同じように、前触れなく起きた。
空から大岩が降ってきたのだ。
驚いたことに、その岩には人間が乗っていた。
村人達は天人が男を迎えに来たと感じ、男の小屋に案内した。
「うふふ・・・やっと見つけたわよ○○」
「天子どうして此処に!」
「やっぱり地上の民は馬鹿だわ。ちょっと力を見せたら快くココを教えてくれたわ」
「畜生!」
○○と呼ばれた男が手をかざす。
少女はその場に崩れ落ち喘ぎ始めた。
「やっぱりいいわ・・・・その痛覚を操る程度の能力は」
「この変態が!」
「今度は言葉攻め?あまりのドSっぷりに私の四文字も有頂天よ!!!!!!!!」
「悪いが桃のフルコース地獄に戻る気はない!」
喘いでいた少女が男を抱きしめる。
「あまり桃を食べなかったせいね。力は私の方が上ね」
「嫌だァァァ!助けてくれェェェェェ!」
○○が村人に助けを求めるが・・・・
「おおおぉぉ・・・天人様が天に戻られる・・・・」
「なんて神々しい・・・・・」
皆手を合わせ彼と少女を拝んでいた。
「天界に戻ったらもっともっとアクメらせてね」
「離せぇェェェェェ!」
男の絶望の声が響く中、少女と男を乗せた大岩はゆっくりと空に浮かび上がった。
最終更新:2012年02月18日 16:02