道に掘られた穴の中で何事かをする少女が一人
その白い指は土に汚れ、擦りむいた肌からは血が滴っていた
「これでよしと!今度は○○がちゃんと掛かりますように・・・」
落とし穴には鋭い竹槍が植えられていた
幸運の素兎こと因幡てゐが○○と出会ったのは、てゐが自分で掘った落とし穴に引っかかったからだった。
○○はナマジ能力があったために外界帰還を諦めざるを得なくなった元外来人一人だった。
「位置がわかる程度の能力」。
人間ナビゲーションシステムと言えるこの能力を使い、○○は便利屋を営んでいた。
特に永遠亭は最大のお得意先といえた。
以前と比べ人里に関わる機会が増えたとはいえ、積極的とは言えなかった。
そのため、必要な物品や嗜好品を○○が代わって購入して運ぶことが多い。
「あちゃぁ・・・策士策に溺れるかね・・・・」
てゐは頭上の青空を眺める。
「・・・・いいアイディアなんだけどね」
足元にはヤゴコロ印のトリモチ。
空を飛べるはずのてゐが、恨めしそうに空を見つめているのにはそういう理由があった。
「部下は絶賛発情祭り中で絶対に来ないし、鈴仙は・・・・助けてくれないだろうな・・・・」
てゐの脳裏を兎の丸干しになった自分の姿が過る。
「ったく!誰だよこんなところでマンホール工事をしているのは!」
絶望に満ちたてゐに希望の光が射す。
「ここだよ!助けてくれぇぇ!助けたら幸運をあげるから!」
「ん?うわっ!こんな子供を罠に掛けるなんて外道がいるのか!これから助けてやるから!」
○○はロープを投げてゐを引き上げた。
「助けてくれてありがとう!」
「大丈夫か?」
「あたしは大丈夫。健康には自身があるんだ。これから永遠亭へ行くのかい?」
「ああ。よく知っているね?」
「まあ・・・ちょっとした腐れ縁でね」
それからてゐは○○と会うことが多くなった。
「今日も大荷物だね○○」
「姫様のリクエストでプラズマテレビを購入してきたんだ」
「ぷらずま?」
「動く絵の見える箱さ。今度姫様に見せてもらったらいいよ。それと・・・・」
○○がブリキで出来た箱を手渡す。
「コレは?」
「ドロップっていう飴だよ。僕と同じ元外来人が作っているんだって」
「なんで?」
「いやぁ、なんでか最近ツいているみたいでね。幸運のお裾分け」
「ありがとう○○!」
その夜、てゐは夢を見た。昔々の夢を。
鮫に嬲られ、血まみれになった自分
様々な人間に助けを求めても、助けてくれるものは居なかった。
そんな中一人の男が薬を塗り助けてくれた。
もう忘れてしまった、その顔は○○と同じ顔をしていた。
てゐが目覚めると、その白いふとももを蜜が濡らしていた。
ある日を境に○○は永遠亭に現れることが無くなった。
最初は外界に帰ったのかと思ったが、能力持ちの外来人が外界へ帰れるわけがない。
永遠亭の鈴仙に訪ねても、苦虫を噛み砕いたような顔で知らないと言われた。
募る思いはてゐに絶えて久しい性欲を催させ、毎晩のように手淫をさせた。
「○○が落し穴に引っかかって大怪我をすれば、モットアエルヨネ?」
てゐは落とし穴を仕掛け続ける。
愛しの○○が落とし穴の中で待ってくれているのを願いながら。
――――某日の文々。新聞――――
『蓬莱人夫婦、前人未到の72時間姫始め』
竹林の案内人こと、藤原妹紅さんと夫の藤原○○さんがまた人間の限界に挑戦した。
二人は1月1日から1月3日に夫婦揃ってテクノブレイクするまで休みなく交わったとのこと。
・二人の馴れ初めを教えてくれますか?
「いつものようにニート姫と殺し会いに行こうとしたら、落とし穴に落ちて気を失った○○を見つけて介抱したら・・・・その・・」
「告白して・・・・なぁ?」
「・・・・言わせんなよ○○」
・なぜ前人未到の挑戦をしたんですか?
「○○が赤ちゃんが欲しいって言ってくれて」
「蓬莱人は孕みにくいと聞いて、なら孕むまでしていたら・・・・72時間超えていました」
・今年の抱負は
「「健康な赤ちゃんを産むことです」」
なお、永遠のライバルこと蓬莱山 輝夜からは
「孕んだら殺しに行くわ。そうしたらまたコロシテクレル?」
永遠亭の女医 八意 永琳は
「出産は永遠亭でね。貴重なサンプルが手に入るわ」
最終更新:2012年03月12日 21:00