冷たい雨の中、一人の女が立ちすくむ
煌びやかだった遊廓はただ無残な廃墟を晒していた
楼主の八雲紫が捕まえられた後、幻想郷の暗部であった遊廓は破壊された
彼女は騙していたのだ
外来人を攫い、妖怪の相手をさせ妖怪化したら適当な女妖にあてがう
周りには外界へ帰還させたと言い放ちながら・・・・
「・・・・全て嘘じゃったんじゃな」
外界から戻ってきた女・・・二ツ岩
マミゾウは雨に打たれながらも、その瞳には燃えるような情念を滾らせながら呟いた
冷たい色の満月が彼女を見下ろしていた
「あなたぁ~昼食よ!」
「美鈴か・・・ありがとう」
― ○○がいる・・・長く見ん間にわし好みになりおって ―
「私はあなたの妻なんだから当然でしょ?」
「ガキが生まれた以上、異論はないさ」
― あの牝が○○の妻じゃと!!! オマケにガキとな! ―
― ○○を取り戻すためには・・・殺るか ―
「お父さんお母さん!ただいまぁ~」
「お帰り」
「お帰りなさい」
「うん!今日のおやつは何?」
「咲夜さんがショートブレッドを焼いてくれているから、お勉強をしてからお茶にしましょうね」
― あれが○○の子供・・・○○に似てめんこいのぉ ―
人里の寺子屋
人里の守護者こと 上白沢慧音が教鞭をとるこの学び舎は人妖問わず受け入れていた。
「今日の授業はこれでおしまいだ。各自予習と復習を忘れないようにな」
「はい!先生」
「それと・・・最近変質者が現れているとのことだ。○○は霧の湖方面だったな。送っていくから放課後入口で待っているように」
「へんしつしゃ?」
「○○の香りをくんかくんかしたり、リコーダーをぺろぺろする羨まし・・・不埒な輩のことだ」
「じゃあ 待っています」
「良い子だな・・・○○は」
「慧音先生遅いな・・」
「そこのぼっちゃん、こちらへおいで・・・」
「?」
「○○のことじゃよ・・・」
「僕のこと?」
「そうそう。今から面白い見世物を見せてやるからのぉ」
○○の見ている前で老婆が手を握ると、手の間から人型、鳥、蛙、犬の弾幕を形成し操って見せる
「すごーい!」
「大したもんじゃろ!」
「うん!これって弾幕だね」
「坊は弾幕に興味があるのかえ?」
「お家の咲夜お姉ちゃんに教えてもらっているけど、いつの間にか手や顔がヌルヌルになっていたり・・・ボタンが掛け違ったりしたりするけど」
「坊が秘密を知りたいなら、教えてやらんこともないがの?」
「本当!」
○○は気付かない
目の前の狸女が肉食獣のような笑みを浮かべているのを
「おーい○○何処だー!」
「慧音先生だ。僕はここだよー!」
「探したぞ○○!」
「僕ここでおばあちゃんに弾幕を・・・おばあちゃん?」
そこには誰もいなかった
深夜の紅魔館
門番の紅美鈴が所帯を持ったことから、彼ら家族は主人の
レミリアから一軒家をもらっていた。
コンコン!
眠気眼の○○が窓を見ると、昼間見た弾幕が窓を叩いている。
「これは昼間のおばあちゃんの・・・・」
人型の弾幕が手(?)招きする。
「ついていけばいいの?」
紅魔館を囲む森
弾幕に連れられて歩いて行くと、そこには見たことのない人物が立っていた。
「おばさんだれ?」
「昼間弾幕を見せたじゃろ?」
「違うよ!おばあちゃんだった」
「妖怪に年は関係ないじゃろ?さあ、こっちへおいで・・・・」
「嫌ぁぁぁ!」
○○が逃げようとするが弾幕に囲まれる。
「手荒い手は使いたくなかったんじゃが・・・」
幼い○○にそれを避けることはできなかった。
「ふふふ・・・たっぷり楽しんだあとこれをダシに逆親子丼プレイ・・・・グフフ」
まさに下衆の極みのような笑みを浮かべ、気を失った○○を抱えて飛ぼうとするが・・・・
「○○をどうするつもりだ!この変質者が!」
牛の角を生やした人里の守護者が、満月を背にし立っていた。
その手には何故か○○の純白の褌が握られていた。
「・・・その褌はどうしたんじゃ」
「悪戯な風が恵んでくれ・・・・そんなことはいい!」
ふと背中が軽くなった。
確認しようと振り向いたマミゾウの首筋に銀のナイフが当てられる。
「○○さんを視姦、もといお加減を見にいって正解だったわ・・・・狸汁は精がつくかしら?」
悪魔の狗こと 十六夜咲夜が立っていた。
その背後には褌一丁に剥かれた○○が寝かされている。
「何故剥いたんじゃ?」
「○○さんにケモ臭がつかないためです」
「その鼻血は?」
「これは姉心です!断じて鼻血ではありません」
一色触発
緊張を破ったのは○○の寝言だった。
「小悪魔さん・・・・ばっちいよ・・・そんな・・・・」
その夜、小悪魔が消えた。
「幾ら3秒ルールっていっても・・・床に落ちたクッキーを食べるなんて・・・」
○○は心地よい夢を見ていた。
翌日風邪をひいたのは無理もない。
最終更新:2015年05月06日 20:47