霊夢/13スレ/899-900




俺の名前は○○。
近くの山を散策していたはずが、
気がつくと見知らぬ神社の前に立っていた。

「あら、普通の人間が来るなんて珍しいわね」
神社に入ると、十五、六ほどの年であろう少女が話しかけてきた。
巫女装束を着て、箒で地面の枯葉を払っている。

「・・・別に、泊めてもいいけど、手伝いしなさいよ」
俺は知らない土地を何の情報もなしに歩くほど馬鹿ではない。
しばらくこの神社に泊めてもらうことにした。


この神社に泊まっているうちに、様々なことがわかった。
ここは幻想郷という、自分のいた世界とは違う場所だということ。
この世界は、妖怪や魔法が実在する世界だということ。
神社に泊めてくれた彼女、霊夢はこの世界の実質的な管理者で、
他を圧倒する力を持っているということ。
そして彼女は、ずっと独りだということ。

俺はそれらを知って、彼女にできる限り優しく接するようにした。


「え、出て行くって、本当・・・?」
それから二月ほど経ってから、俺は元の世界に帰りたいと言った。

「そんな、ここの生活の何が不満なの!?」
何も自分は本当に帰りたいわけでは無かった。
食料には困らないし、外の世界と違って一日の大半を
仕事に費やすようなことはしなくていい。

「貴方がいないと、わたし、もう・・・!」
俺が元の世界に帰りたいと言ったのは、
この台詞を彼女から聞きたかったからだ。

俺の腕にしがみついて泣きじゃくる彼女を抱きしめて、
そんなに好いてくれているとは知らなかった、
それなら、ずっとここに居てもいいと言うと、
今までの泣き顔が嘘のように明るくなり、
ずっと一緒に暮らそうと言い放つと、
ブツブツとこれからの計画のような独り言を始めた。


こいつは使えるな、と心の中で思った。




「やだっ・・・私のこと嫌いにならないでぇ・・・!」
霊夢を利用するようになってから、
まるでこの世界の神にでもなったような気分だ。
気に入らない奴を彼女に言えばそいつは俺に這い蹲り、
食べたいものがあれば、どんな無茶な注文でも、
あらゆる手段を使って必ず霊夢が用意してくれる。
少し度が過ぎると霊夢も俺に注意しようとするが、
外に帰るなどと言って脅しをかければ、
上みたいな台詞を吐きながら絶対に俺の言うことを聞いてくれる。
今まで優しくしてきたのも、全てこのためだった。
もはや霊夢は、俺の操り人形と化した。


「おい、霊夢をたぶらかすのもいい加減にしろ」
或る日、霊夢と散歩をしていると空から女の子が降ってきた。
金髪の魔法使いで、黒い衣装に身を包んでいる。
確か、魔理沙とか言っただろうか。

「私がたぶらかされてるって、なに言ってるのよ」
「そうだろ、こんな最低野郎と散歩なんて!」
最低野郎とは、俺の事だろうか。
この女、誰に口をきいているのか分かっているのか?

「こいつはお前の事を騙して良い様に使ってるだけの
最低最悪の屑野郎だって言ってるんだ!」
「これ以上○○を悪く言わないでっ!」
とうとう霊夢が我慢の限界に達したらしい。

「あんたみたいな女に○○の何が分かるって言うの!?
私に心から優しく接してくれて、
私のことを一番心配してくれて、
私を一番愛してくれている○○の何がっ!」
俺の考えとまるっきり反対の事を叫ぶ彼女は、
なんだかとても滑稽に見えた。

「霊夢、目を覚ませ、こいつはお前の害・・・」
それが、奴の最期の言葉だった。
霊夢が袖から突き刺した針は、正確に奴の心臓を貫いていた。

「・・・さぁ、○○、散歩をしましょう?」
このとき俺は確信した。
この世界の神は、まさしく俺なのだと。


「ふふっ、これで、ずっと一緒・・・」
俺は彼女に頼んで、蓬莱人の肝を取ってきてもらった。
これを食べれば、不老不死になるらしい。
これで俺は、永久に老いることも死ぬことも無く、
彼女を使ってこの世界の頂点に君臨できる。


我侭を通すための武器として。
性処理のための玩具として。
単純で都合の良い召使として。

今日も俺は、彼女を利用する。









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最終更新:2019年02月09日 18:45