アルティメット・サディスティック・クリ―チャ―こと、風見幽香の朝は早い。
「まぁ好きではじめた仕事ですから」
まず、水と肥料の吟味から始まる。
「やっぱり一番うれしいのはお客さんからの感謝の手紙ね。この仕事やっててよかったなと」
今日は納品日
彼女は収穫されたハーブをワゴンに詰め、注文主の所へと向かった
基本的な形は決まっているが、最近の送り主の嗜好に合わせ多種多様なものを作らなければいけないのが辛いところ、と彼女は語る。
「やっぱりこの仕事はキツイわね、愚痴ってもしかたないんだけどさ(笑)」
「自分が気持ちよいのももちろんだけど、使ってくれる人はもっと気持ちよくないといけないね」
「もちろん出来上がった物は一つ一つ私自身で効能を試しています」
ここ数年は、安価な永遠亭製の媚薬に押されていると言う。
「いや、私は続けるわ。待ってる人がいるから───」
「時々ね、わざわざ手紙までくれる人もいるんですよ。内気でシャイだった彼氏が野獣に・・・またお願いしますって。ちょっと嬉しいですね」
「お忍びで遠くからわざわざ求めて来るお客さんが何人もいる。体が続く限り続けようと思っているわ」
「やっぱねえ、手摘みだからこその新鮮さってあるんです。媚薬がいくら進化したってコレだけは真似できないんですよ。」
「やっぱりアレね、いまどきのヤンデレはすぐ即効性の媚薬に頼っちゃうのよ。逆レイプの方が早いとか、能力を使うとか・・・」
「でもゆっくりとハーブ漬けにした方が依存度も高くて。ほら、そこにいる○○もそう。毎晩、○○とハーブ入りローションを使っているわ」
「これからもハーブを通して、愛の素晴らしさを伝えたい」
そんな夢をてらいもなく語る彼女の横顔は伝道師のそれであった。
今日も彼女は、日が昇るよりも早くハーブの世話を始めた。
明日も、明後日もその姿は変わらないだろう
ハーブ農家の朝は早い
最終更新:2012年07月05日 23:45