死なない青い鳥(○○シリーズ)
ヤンデレかどうか果てしなく微妙だけど、深夜のテンションで投下
死なない青い鳥
俺は博麗の旦那をやっている。まあ、例の如く俺の姓名は博麗〇〇だ。
今は博麗神社に変態連中が集まり飲み会を催している。大方ここに集まる女達の旦那は毎日夜伽をやらされているせいか、げっそりしている。俺の親友も混じっているが、元々は病弱で長くない命だったが、薬師特製の秘薬で1000年単位で生きるようになったらしい。ちなみにこいつの嫁は天狗らしい。
久しぶりに話し込んでみる。
「よお。久しぶり。多少やつれてるが他のに比べるとかなりましだな」
「おお。お前は全くやつれてないのがうらやましい限りだ」
やはり友人とは馬が合うようで、軽く半刻は話し込んでしまった。
こいつの嫁が腕を掴み他のとこに行っちまったので、話は打ち切られてしまう。
物好きな俺の嫁が近づいてくる。
「〇〇くーん。今日の片付けはしっかり手伝ってね~」
軽く酔ってるらしくうとうとしている。
「分かった分かった。しんどいなら寝とけ」
嫁は俺に手を降りながらそのまま裸の畳で眠ってしまったようだ。
絡むべき相手がいない。暇で仕方がない。
ここは、吸血鬼に絡むと洒落込もう。
「よお。
レミリア、お前もお前の旦那も含めてしぶといな」
他の連中はちらほら酔い潰れているが、こいつは優雅に紅茶を飲みだしているからおかしい奴だと毎回思う。
「酒に飽きちゃったんだもん」
相変わらずガキみたいな発想してる。
「お前が私に話しかけてくるなんて、変な感じ」
気のせいだ、と軽くあしらう。
「なんとなくお前が適任かと感じてな」
お嬢ちゃんもふぅん、と軽い感じだ。
少しの沈黙の後、俺は淀みなく話し始める。
「お前は青い鳥って知ってるか」
そんなもん知ってる、とだけ答える。
俺は続ける。
人間ならば、誰の心の中にも夢見るという意味で青い鳥を飼っているんだよ
それこそ老若男女一切問わず、だ
しかし、いつかは現実にぶつかるもんだ
自分の力じゃどうにもできない現実にな
そこで気付くんだよ
自分は特別な人間じゃないって
夢は醒めてしまう
しかし、いつまでも青い鳥を生かしておけなくなる訳だ
ここで、二択を強いられる
青い鳥を信じて生かし続けるか、現実を見据えて消すか
夢を叶えるならば死守せねばならんし、絶望したならば完全に息の根を止めねばならん
芸術やら学問やらを追究するならば前者で、只の人間にならざるを得んならば後者だ
「人間の分際で偉そうに御口舌垂れるじゃない」
そっけなくしている。
「お前に聞いてみたい。俺の心の中には、まだ元の世界に戻れるやも知れぬという青い鳥が生きている。しかし、現実には確実に無理だ。俺はこの青い鳥を何故コロしきれないんだかお前なりの考えを教えてくれ」
お嬢ちゃんは答える気配がないようだ。
「こいつが答えてくれるさ」
蝙蝠は飽いたのか、それだけを言い残し館の御一行はお帰りなすった。
「ごきげんよう」
こいつさんが出てきた。まあ、紫とかいう隙間から出てきた女の事だが。
「その質問は私が答えてみるわ」
隙間の妖怪はさらさらと答える。
「あなたは中途半端だからよ。チルチルとミチルみたいに自分から何かをするわけでもなく。外の世界に転がってるニートとやらみたいにはなから諦めてるわけでもなく。中途半端に夢を見て、それを叶えない。あなたはいつまでも夢を見るつもりかしら。」
意外とまともな返答が帰ってきた。
「その顔を見る限り、死んでないようね」
またまともな返答が帰ってきた。
「あなたと霊夢はお揃いね。自分にすら興味が無く、ただ生きてるだけのところが」
気が付くと、宴は終わっていた。他の連中は皆帰ってしまった。
俺と霊夢だけしか残っていない。
思い出してみると、霊夢は偏屈な奴だった。
私を監禁したり、毎晩寝かせてくれなかったり、料理に血やら体液やらを入れられたりした。結局私が折れて結婚した。
しかし、あいつは私との結婚という夢を見続け、夢を実現することによって青い鳥を飼うのを止めた。その点では、あいつは凄い奴だ。愛のためにそこまでする理由は解りかねるが。
ただ、あいつの言うことは今では違う。俺は今まで通りだったが、霊夢は変わった。その差が大きいのだろうか。
その時、霊夢が酔いから醒めて起きる。
「〇〇。片付け手伝ってね」
起きて初っぱなからそんなことを言い出す。
片付けが終わったら、今日も夜伽だろうな。
結局、俺の中の青い鳥は死ななかった。
そういえば、チルチルとミチルは最後に自分の家に青い鳥がいることに気が付いて、話が終わった。あの兄妹の心の中にいた青い鳥はどうなったんだろうか。
それがわからんのがお伽噺のキモなんだろうが。
あとがき
深夜のテンションで書いたキテレツな話なんで、ヤンデレっぽくないなら、wikiとかには載せなくて結構です。
それではお目汚し失礼しました。
感想
- なんか、スゴい -- 葉山ソウタ (2020-05-16 09:17:54)
最終更新:2020年05月16日 09:17