168 の作者です。今度は射命丸〇〇さんのヤンデレかどうか微妙な話をどうぞ。

生きる

俺は元々糖尿病を患っていた。薬を毎日注射しないといけないのは、慣れてはいたがやはり面倒くさかった。
最も、今は射命丸という名字で、人間ではなく天狗として生きているから関係なくなったが。
何でも文が薬師に頼み込んで糖尿病を完治する薬を作ってもらったらしい。その代わり、人間を辞めるはめになったのは良い思い出だ。

射命丸は新聞を作っていて、それのお陰でカメラを使う。俺もジャーナリストやら映画監督やらを目指していて、自前のカメラを持ってここに迷い込んだ。共通点で話が広がったのが今の嫁との馴れ初め。
ちなみに、親友である現名字博麗の奴の馴れ初めは、確かあいつが霊夢のスカートをめくったのがそうだとか。まあ、あの隙間妖怪の言うことだから信用はせんが。

「〇〇。ただいまー」
嫁が帰ってきた。お帰りのキスをたっぷりお見舞いする。
あややや、と顔を真っ赤にしてるのはとても可愛い。だが、籍に入る前はストーカーまがいの盗撮や盗聴、俺が好きすぎて俺の髪の毛で毎日自分を慰めていたという剛の者だ。
早速飯を協力して作ることにした。女がしっかりしないと、と本人は俺に台所に立たせてくれなかったが、お前に俺の飯を食わせたいと言ったらコロッと落ちた。単純だがそこも可愛い所だ。

さくっと飯を食い終わり、晩酌を始める。妖怪になってから酒を飲んでもそんなに無理しなくてもよくなったのは良い。
しかし、少し昔の事を思い出す。
「どうしたの?そんなにしんみりした顔して」
嫁が興味深々で話しかけてくる。
「ああ、ちょっと外の世界の事を思い出してな」
嫁の目から急に光が消える。帰さないよ、と一言だけであるが、重みのある言葉をいただく。
「望郷の念じゃない。懐古の念さ」
昔話をしてもいいか、と文に聞いてみると、話を聞く体制になった。
少しずつ口に出してみる。


俺と博麗のは16ぐらいからの仲でな。文芸部なるものにあいつを勧誘したのが始まりだ。
無茶苦茶癖のある奴だし、なんとなく小難しい例えを持ち出すが、大阪帝国大学っていう外の世界の名門大学に入るぐらい勉強が出来た。
俺は映画監督になりたくて芸術大学に入った。
あいつはいろいろ冷めた見方をする奴だったけど、良い奴だ。
まあ、あいつは置いとこう。


ある日、俺は腎臓を傷めてしまった。糖尿病のせいだった。糖尿病が完治しない限り治らないと医者に通告されたよ。もって3年てな。絶望したよ。たった3年だよ。無理もないよな。それで、一週間はショックで寝込んだよ。
だけど、ある日に病院でテレビを見てたんだ。テレビはこないだ説明したからわかるだろ。
そしたら、俺の尊敬する映画監督の作品が新しく発表されたんだよ。それのキャッチコピーに心を動かされた。

"生きろ"

たったの三文字だ。だけど思ったよ。言われなくたって生きてやるって。それからだよ、毎日外に出てカメラに風景を写し始めたのは。


「そのうち、ここに迷い込んだんだ」
「そうだったんだ。でも、本当にたった三文字?」
「そうだよ。でも、人の心を動かすには三文字でも十分だったよ」
おしまい、と言うと文は先にシャワー浴びるね、と風呂場にたったか向かった。
毎日朝昼晩と情事を行ってんのにまだやんのかよ、と心の中で毒づく。

今日も幸せだ。愛する嫁と健康に過ごせて。やっぱり生きるって良い。


またまたそう言えばだが、あいつの名字が博麗に変わった頃に例のキャッチコピーを教えてやったっけな
そしたら、だから皆死ねばいいのに、て返ってきたな
あいつに青い鳥の話を教えたらどういう返事が返ってくるかな
中途半端に夢見がちだしな
その上努力を嫌い、才能を否定する奴だ
変な回答が来そうで仕方がないが














あとがき
またまたろくに推敲してない文章です。
分かるとは思いますが、ころころ変わるのが面倒くさいので主人公は常に〇〇です。ご了承ください。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2012年07月08日 13:50